河合達憲の波乗り投資戦略レポート

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今月の波乗り投資戦略レポート

『「二番底形成か」「底割れで大底模索か」』
~決算発表「未公表続出」でダウントレンド回帰を想定

「世界の潮流」と「日本の対応」

5月下旬から6月下旬にかけてのマーケットを検討するうえで、最重要なのは(新型コロナ終息の行方は大大前提として当たり前として)、期初段階の決算発表が5月11~15日で終了するが、この実体悪を織り込む期間が5月18~月末いっぱい辺りということだ。
まず、新型コロナに対する「世界の潮流」と「国内の対応」をおさえておきたい。
世界の潮流では、新型コロナ(COVID-19)の感染拡大と抗ウイルス薬の治験による開発が進みつつある。現時点では富士フイルムのアビガンの生産進展と、米ギリアド・サイエンス社の「レムデシビル」の短縮化(10日間投与から5日間での有効性)が確認された。抗ウイルス薬の治験進展により、米国では経済活動の再開がより現実的になっている。
抗ウイルス薬と、ワクチン開発は切り離してみておくとよい。抗ウイルス薬は重篤患者の生命を救うことを主眼としており、ワクチンは新型コロナウイルスの感染や羅患を抑えることが主眼だ。まずは、有効な抗ウイルス薬が開発されれば生命へのリスクは低下し心理面は安寧する。ワクチン開発はデリケートであることから1年以上の時間を要するが、それまで生命へのリスクさえ低下すれば、世界中の恐怖心がかなり和らぎ、経済活動再開への道筋もみえるだろう。

図1

ところが、その経済活動再開と同時進行で「(今回のCOVID-19によるパンデミックの)犯人探し」に矛先が向かいつつある。4月30日にトランプ大統領が感染拡大を巡り中国を強く批判したことで、昨年に続いて米中対立の再燃から世界経済の下押し懸念が高まった。トランプ大統領は中国が初期対応を誤った結果、新型コロナが世界に拡散したと指摘、中国製品への関税引き上げや損害賠償金の請求などを検討している模様だ。

昨年2019年は米中貿易摩擦で世界経済が停滞したことに続いて、本年2020年は新型コロナウイルス感染拡大の責任問題で米中対立だ。いづれも米中の対立が世界経済の停滞に連鎖している。
米中対立が表面化しつつあるなか、米ミネソタ大学の研究チームが、新型コロナのパンデミックが最長2年間は続く可能性が高いとの予測を発表した。世界各国が経済活動再開に動きつつ、新型コロナの長期化懸念の高まりが投資家心理の悪化につながると推察されることが現時点での世界の流れといえるだろう。

図2

次に、国内の対応としては、5月いっぱいまで外出自粛の要請は続くものの、6月からはいよいよ経済再開に向けた世界の動きにキャッチアップしていくとみている。日本は先進国の中でも数少ないCOVID-19の感染拡大の押さえ込み成功国になるのではないか。
それは対人口比率に対する感染者数をみても明らかになるだろう。いづれパンデミックの終息宣言がWHOから発せられた後に、2月27日の急な休校要請から始まった日本人の外出自粛への取り組みは、賞賛に値するものになるであろう。
国民の多くが法的強制力のない自粛という国家要請に粛々と取り組んだ勝利ではないか。権利ばかりを主張し「外出自粛要請」などと温い対策では言うことを聞かない国々では、未知のウイルスとの戦争状態であることを打ち出し、国家非常事態という宣言の元、法的強制力をもって「外出禁止令」を発しなければ感染拡大は抑えられなかった。それらの国々とは異なる異例の国であることを誇るべきだ。
これが建国2680年という世界最長の歴史を有する日本という国家の誇りではないか。
(※世界2位は建国1719年のサンマリノ共和国、日本は2位から1000年近く長いダントツの世界最長国であることを再認識してほしい)

業績予想「未公表続出」への不安感

国内では6月からの経済活動再開に向けて動き出す初期段階だが、やはりパンデミックとの戦いの後の経済状況は「焼け野原」であることを再認識するのも、やはり経済活動再開後であろう。
6月からのマーケットでは、この「焼け野原」を再びダウントレンドで織り込む時間帯にはいるのではないか。マーケットが「焼け野原」を認識するのは5月11~15日の期初段階の決算発表が出揃った5月18日からの約2週間とみている。
2020年度の企業業績発表は、例年ならば4月下旬から5月15日までの期末後45日以内ルールとされているが、今回は大きく「後づれ」し、5月11~15日に約1926社、さらに今回は異例で15日以降にも後づれしており、18~22日の週に198社、25~29日の週に114社、GW明けの11~29日までで合計2238社の企業の決算発表が予定されている。

この決算発表は、さらに異例が続くとみている。期初段階の決算発表は2つの発表がなされる。一つは、前期決算の着地を実績値として発表するいわゆる前期業績の成績発表である。3月期決算企業の場合、第3四半期終了の4月~12月までは2月15日までに発表されているので最後の第4四半期(1-3月期)を足しこんだ通期の実績値である。
二つめは、今年度通期の業績の予想発表である。投資家やセクターアナリストはこの今通期の業績予想を最も注目する。
今期の決算発表が異例という理由は、例年の今年度通期の業績予想が「未公表」となる企業が続出する可能性が高いことだ。
すでに決算発表の前半戦突入した4月27日現在で集計しても、決算が終了した2月期・3月期企業308のうち123社が通期業績予想を「未公表」としている。約4割の企業が通期業績予想を未公表としていることが、マーケットには不安感を増大させるのではないか。

図3

そもそも株式投資とは将来株価を予想するという不確定なものである。将来株価の上昇を予測するための指針は投資家それぞれの価値観に委ねられており、何を指針として投資すると確実性が高いかという「完全な」指針は未だに存在しない。
しかし、そのヒントは数多く存在する。株価分析の歴史の中で、現時点で最も有効性が高いのが、どうやら将来株価は企業業績によって決まるのではないかという不確かな指針である。しかし、この企業業績も実は「絶対的な指針」ではなく、数ある指針のなかの最も有効性の高い「不確かな指針」であるということだ。
そのただでさえ「不確かな指針」である企業業績予想において、半分近くの企業が「未公表」ならば企業業績の全体像はみえない。
元々、真っ暗な暗闇のなかで投資することに、何らかの指針を求めて行き着いたのが「企業業績予想」である。いわば、企業業績予想とは将来株価を照らす「懐中電灯」のようなものだ。
その懐中電灯が光ってくれなければ、暗闇の中での投資を余儀なくされる。投資家は暗闇の中では不安感を覚える。つまり、株を売って暗闇から逃げたくなるという投資家心理がおこるとみている。

この今通期の業績悪化が見通せない「暗闇」であることに不安感をもちだす時間帯が5月18日以降の決算発表終了後の姿であることを予測しており、マーケットは再びダウントレンド入りの道を再開すると推察している。

日経平均は1月17日の年初来高値24115円から約32.2%下落して、3月19日には16358円の年初来安値を示した。その後、順調に戻りを示したが、いよいよ再び下落基調に転じる時間帯が、5月下旬から6月下旬の約1ヵ月間とみている。

最後に、この反落基調の下値メドが、18000円割れ辺りの「二番底」で止まるのか。16358円の大底を割り込んで「底割れ」し再び底値模索となるかは、6月以降の「世界の潮流」と「国内の対応」を分析して見定める必要がある。

正直にレポートしておくと、過去経験したことのない未知なるウイルスによるパンデミックに見舞われた状況下において、世界と日本のマーケットを分析して予測するには、現時点での未来予測のヒントはあまりに稚拙すぎる。よって、わずか2ヵ月先の未来さえ予測するには困難な状況であることが結論といえよう。 5月下旬から6月下旬に再びダウントレンドを開始する可能性が高いことだけが、今辿りついた現状分析に基づく将来予測であるということだ。

(執筆・文責 河合達憲 拝)

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プロフィールキャプション
http://www.radionikkei.jp/personality/kawaitatsunori.html(新しいウィンドウで開く)

河合達憲(かわいたつのり)
auカブコム証券 チーフストラテジスト
近畿大学大学院・博士前期課程修了。日本で数少ない証券専攻修士号のマスター称号を有する。中堅証券調査部にて調査・情報畑一筋で20数年来、企業調査や投資戦略、投資手法などのストラテジー構築に従事。ファンダメンタルとテクニカルを融合した投資分析を実践しており、各種マネー誌や月刊宝島、夕刊フジ等の銘柄推奨コンペティションでの優勝など各賞を多数受賞した実績により推奨銘柄の的中率の高さは実証済み。マクロ分析から個別銘柄までトップダウンアプローチでの分析力も定評。近著『9割の人が株で勝てない本当の理由』(扶桑社)、最新刊『株の五輪書』(マガジンハウス)など著書多数。毎週火曜夜のauカブコム ストラテジーセミナーが大人気を博し、TV・ラジオにも多数のレギュラー出演する傍ら、2013年より大阪国際大学、及び大阪国際大学短期大学部にて大学講師としても登壇中。

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