最良執行方針

2023年11月改定
auカブコム証券株式会社

この最良執行方針は、金融商品取引法第40 条の2 第1 項の規定に従い、お客様にとって最良の取引の条件で執行するための方針及び方法を定めたものです。
当社では、お客様から国内の金融商品取引所市場に上場されている有価証券の注文を受託した際に、以下の方針に従い執行することに努めます。

1.対象となる有価証券

国内の金融商品取引所市場に上場されている株券、新株予約権付社債、ETF(株価指数連動型投資信託受益証券)及びREIT(不動産投資信託の投資証券)等で、金融商品取引法施行令第16 条の6に規定される「上場株券等」が対象となります。

  • フェニックス銘柄である株券、新株予約権付社債券等、金融商品取引法第67 条の18 第4号に規定される「取扱有価証券」については、お取扱いしておりません。

2.最良の取引の条件で執行するための方法

以下に表す用語の定義はそれぞれ次のとおりです。

【用語の定義】

  • SOR(Smart Order Routing)
    金融商品取引所市場、PTS(私設取引システム)、ダークプール等複数の市場又はシステムのうち、最良の価格で約定できると思われる市場又はシステムを自動的に選び、また自動で注文発注する注文形態をいいます。
  • PTS(Proprietary Trading System)
    金融商品取引所市場を介さず株式や債券を売買することのできる証券会社が開設している電子的な私設取引システムであり、当社ではCboeジャパン株式会社(以下「Cboeジャパン社」と言います)及びジャパンネクスト証券(以下「ジャパンネクスト社」と言います)が運営する市場に取次ぎます。
  • ダークプール
    証券会社が顧客または証券会社の自己取引の売買注文をシステムで付け合せ、対当する注文があれば東京証券取引所の立会外取引システム(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムです。その付け合せを行うシステムの内部における気配情報が外部に対して非公表な事から「ダークプール」と一般的に呼びます。
  • MSプール
    モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社(以下「モルガン・スタンレー社」と言います)が運営するダークプールです。
  • レイテンシーアービトラージ
    SORによって複数の取引施設に回送される注文の到達時間(レイテンシー)の差を利用して、先行して到達した取引施設の気配及び約定情報を高速な通信設備を利用して取得し、これを用いて他の取引施設で先回りして売買することにより利ザヤを稼ごうとする投資戦略及び行為のことをいいます。
  • IOC注文
    指定した値段かそれよりも有利な値段で、即時に一部又は全数量を約定させ、成立しなかった注文数量を失効させる条件付注文です。

(1) 当社はSORを導入しております。対象銘柄は、株式会社 QUICKが指定する主要市場が東京証券取引所であるすべての上場株券等です。
当社では、お客様からいただいた上場株券等に係る売買注文は、当社が自己で直接の相手方となる売買は行わず、すべて委託注文として取り次ぎます。

(2) 当社は、お客様からいただいた上場株券等に関する注文の執行先として、国内の取引所金融商品市場・PTS市場・MSプールを採用しております。この執行先のうち、最良の取引の条件として最も有利な価格で執行すること以外のお客様の利益となる事項を主として考慮するため、お客様からいただいた上場株券等に係る注文は、お客様からご指定がない限り、原則国内の取引所金融商品市場に取り次ぐことといたします。
ご注文いただいた上場株券等が上場している取引所金融商品市場が1箇所である場合(単独上場)には、当該取引所金融商品市場に執行します。また、複数の取引所金融商品市場に上場(重複上場)されている場合には、株式会社 QUICKの情報端末において証券コードを入力して検索した際に最初に価格情報が表示される取引所金融商品市場(主市場)に執行します。当該市場は、同社所定の計算方法により一定期間の売買高を勘案して決定された市場です。
ただし、当該市場でその銘柄が整理銘柄にある場合、又は同社がデータを提供できない場合は、東京、名古屋、福岡、札幌の順で、主市場を選定します。これら主市場は、注文画面にあらかじめ選択されますが、お客様は、当該注文画面で、ご希望する取引所金融商品市場へと変更することができます。この場合、当社は、お客様からご指示いただいた取引所金融商品市場において執行します。

(3) 当社が定める一定の基準を満たし、「SOR取引・MSプール取引及びPTS取引約款」に同意いただいたお客様におかれましては、株式会社 QUICKが指定する主要市場が東京証券取引所である銘柄に限り、SORを選択し注文いただくことができます。

(4) SOR対象銘柄、比較対象市場等
SORを利用可能な銘柄は、2.(1)の通りです。
SORにおいて価格を比較する取次ぎ先市場等は以下の通りです。

  • モルガン・スタンレー社が運営するMSプール
  • Cboeジャパン社のCboe Alpha市場(Cboe PTS)
  • ジャパンネクスト社のJ-Market市場(ジャパンネクストPTS)
  • 東京証券取引所(立会内取引)

(5) SOR対象市場等の選択の方法及び順序
即時約定可能な注文について、お客様毎の設定やご指示に基づき、SOR注文では、SOR対象市場等となる取引所金融商品市場等のうち気配情報を発信する市場等(東証、Cboe PTS及びジャパンネクストPTS)の同一時点における気配情報を包括的に取得する様に設計されています。東証の最良気配値と同一又はより優位な価格のMSプールの気配を確認し、東証が定める制限値幅内において、その時点における東証の最良買い気配及び最良売り気配と同一又はより有利な価格の範囲内で、IOC注文を複数の取引所金融商品市場等に発注します。SOR注文は価格を主な要因として、どの取引所金融商品市場等に発注するかを決定します。なお、最良気配が複数の取引所金融商品市場に存在する場合、原則として、MSプール、東証、Cboe PTS、ジャパンネクストPTSの優先順位で発注しますが、流動性、呼び値、手数料等の市場環境の変化等で変わる可能性があります。※信用取引のSOR注文は、MSプールへの取次は行われません

SORにて発注いただいた場合でも、以下のケースに該当すると、お客様が指定した注文価格及び執行条件で東京証券取引所に注文を行うことがあります。

  • (ア)東京証券取引所の立会時間外に発注いただいた場合
  • (イ)東京証券取引所の前場及び後場のそれぞれで初値未決定の銘柄の注文である場合
  • (ウ)東京証券取引所において特別気配、連続約定気配等が表示されている銘柄の注文である場合
  • (エ)東京証券取引所で売買停止が行われている銘柄の注文である場合
  • (オ)PTS市場又はMSプールに反対気配が存在しない場合

(6) レイテンシーアービトラージへの対応
SOR注文は、複数の取引所金融商品市場等にある気配と同時に対当することを目指してIOC注文を発注することにより、即時約定可能な注文を回送しています。

(7) SOR非対象銘柄
株式会社 QUICKが指定する主要市場が東証でない銘柄は、SORの対象とはなりません。SOR非対象銘柄について、2.(2)のとおり注文を執行します。

3.当該方法を選択する理由

(1) 上場株券等に係る注文を原則国内の取引所金融商品市場に取り次ぐ理由
より価格を重視するという観点からは、PTSを含め複数の取引所金融商品市場等から最良気配を比較することはお客様にとって最良の執行となり得ると考えられます。しかしながら、現状の当社のSORサービスでは「注文訂正」および「自動売買」がご利用いただけないことも踏まえ、金融商品取引所に発注いただくことが、お客様の執行ニーズに応える最も合理的な方法であると判断し、当該方法を採用しております。

(2) SORを導入している理由
当社はSORを導入しております。近年、金融商品取引所の立会取引以外の株式売買における流動性が増加していることから、よりお客様に有利な価格と判断される取引を提供するために、SORを介して、執行を行うことが、お客様にとって合理的な面があると考えられます。

(3) SOR対象市場等の優先順位付けの理由
モルガン・スタンレー社が提供するダークプールであるMSプールは、アンチ・ゲーミング対策(注:ダークプールにおいて小口注文等を発注し、大口注文の動向をいち早く探った上で、機動的に収益機会を探る投資行動に対する抑制策、例えば、受付する注文形態を制限したり、IOC注文をMSプールの参加者から受付けない、またIndications of Interest(取引意図の表示)を発信しない等の対策を意味します)が採られていることから、MSプールへ注文の回送を優先することは、以下の「SOR対象市場等の選択の方法及び優先順位の選択理由」に記載の理由から、お客様にとって優位な注文執行の実現に資するものと考えています。また、MSプールで対当しない注文に関しては、東証の最良気配値と同一又はより優位な価格での気配が存在することを考慮すると、東証が定める制限値幅において、SORが、東証に加えてCboe PTS、ジャパンネクストPTSにアクセスし複数の取引所金融商品市場の気配を比較することは合理的であると考えられます。なお、当社はCboe PTS並びにジャパンネクストPTSと戦略的な資本関係を有しておりません。

(4) SOR対象市場等の選択の方法及び優先順位の選択理由
当社は、お客様の注文に係るシグナルを低減し、約定率(注:発注時点で対象市場等にある対当予定の呼値につき、発注した結果、実際に対当して取引が成立する確率を意味します)及びより優位な価格での約定機会を可能な限り高めることを目的として、SORを導入しており、上述のSORの対象市場等の選択の方法及び順序はこの目的が達成されるように設定しています。お客様の注文処理及び注文の回送に係る当社の一般的な考え方については、当社担当者にお問い合わせください。

(5) レイテンシーアービトラージへの対応方針及び対応策の選択理由
2.(4)で記してある方法により注文を発注することで、お客様の注文を利用したレイテンシーアービトラージが発生する可能性を最小限にできると考えております。

(6) ダークプールを利用する理由
近年、ダークプールの認知度が高まることにより、ダークプール全体の売買代金が増加していることから、お客様へより有利な価格改善を目指してSOR経由によるダークプールでの執行を提供しております。

4.その他

(1) 次に掲げる取引については、それぞれ次に掲げる方法により執行いたします。

  • お客様から執行方法に関するご指示(当社が自己で直接の相手方となる売買のご希望、執行する金融商品取引所のご希望、事業者の開発したツールを利用し当社取引基盤システムに発注等)があった取引
    ・当該ご指示いただいた内容で当社と合意した執行方法で執行します。
  • 単元未満株等の取引
    ・取引規定に基づき指定された執行方法により、単元未満株等を取り扱っている金融商 品取引業者に取り次ぐ方法
    ・単元未満株の取引については、金融商品取引所での取引ができず、他の有力な市場も存在しないため、単元未満株を取扱っている金融商品取引業者に取り次ぐ方法により売買を行います。当該方法が、取引機会確保の面から、お客様にとって最良の取引につながるものと考えています。
  • 信用取引の決済取引
    ・東京証券取引所以外の金融商品取引所において新規建を行った場合、当該金融商品取引所
    ・信用取引の決済取引は、新規建てした市場でのみ可能であるため、そのように執行いたします。
  • 規定または約款において執行方法を指定している取引
    ・指定された執行方法
    ・サービス対象の銘柄・市場取引状況等の影響を受けるため、当社任意の方法で執行いたします。
  • 当社による強制返済・任意決裁の取引
    ・信用取引の強制返済および現物取引の任意決裁
    ・処分対象の銘柄・市場取引状況等の影響を受けるため、当社任意の時期、方法で執行いたします。

(2) システム障害の対応
当社および取引所金融商品市場等でシステム障害等が発生した場合、2.(2)に掲げる方法によることが難しいため、やむを得ず、2.(2)に掲げる方法とは異なる方法により執行する場合がございます。その場合でも、その時点で最良の条件で執行するよう努めます。


最良執行義務は、基本的に最も有利な価格により注文を執行する義務を指すものですが、これに関わらず、例えば、コスト、スピード、執行の確実性、取引時間帯等さまざまな要素を総合的に勘案して執行することも最良執行義務の範囲内であります。したがって、価格のみに着目して事後的に最良でなかったとしても、それのみをもって最良執行義務の違反になるものではない点にご留意いただきたいと存じます。

以上

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