第11回 フィボナッチ・レシオ
フィボナッチ・レシオは黄金分割としてもマーケットで使われている比率です。
ひと言でいえば、1対0.618という比率が基本となるものです。
はじめに1をふたつ並べて書きます。次にその1と1を足し2を右に並べて書き足します。その次は1と2を足して3、さらにその次は2と3を足して5としていきます。
そうすると 1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89…となります。これをフィボナッチ級数といいます。そして、前の数字を後の数字で割ります。1÷2、2÷3、3÷5とするわけです。そうしますと次第にその答えの数字は0.618…に収斂されていくのです。
この0.618という数字こそがフィボナッチ・レシオの基本なのです。
この比率は自然界の法則の1つとされ、「最も美しいもの」の比率とされています。
例えば、ピラミッドやパルテノンとかいった宮殿の建築をはじめミロのヴィーナスといった芸術作品にも使われています。
ミロのヴィーナスは身長を1とするとお臍の位置が下から0.618のところに位置しています。身近なところでは名刺のサイズ(縦横)、人間の頭のつむじといった例も挙げられます。
つまり、私たちが違和感無く受け入れている美しい形はこの比率で出来上がっているものが多いのです。
マーケットでこの比率が使われる理由としては、株価というものは森羅万象あらゆるものを織り込むものといわれ、そのすべてを織り込むものであれば株価の動きもこの自然界の美しい形、つまりはフィボナッチ・レシオで表すことができるのではないか、ということが考えられます。また、エリオット波動といわれるマーケットで使われているリズムがあるのですが、このリズムの拡大、縮小にこのフィボナッチ・レシオが当てはまったりしている点を挙げることができます。
利用法
マーケットでの使われ方は大きく2つに分けられます。時間のフィボナッチと株価のフィボナッチです。チャートというのは横軸に時間、縦軸に株価をとっているものが通常です。そこで、横軸の時間をフィボナッチの比率で区切って分析をしたり、縦軸の株価をフィボナッチの比率で区切って使用して値段の分析をしたりします。
まずは時間の分析から見てみましょう。
ここでは、伊藤忠商事の週足を例に見てみます。
画面に表示された期間の高値をスタート地点としてそこからフィボナッチ級数で経過した日柄を観察します。スタート地点から 1 が13週、 2 が21週、 3 が55週、 4 が89週となっています。すべてピッタリに変化を指し示しているとはいえませんが、日柄分析の参考になると思いませんか。
次に株価の分析を見てみましょう。
ここでは、日経平均株価を例に見てみます。
画面に表示された期間の高値と安値の値幅を1として、高値から0.618(安値から0.382=1-0.618)、安値から0.382(高値から0.618)を示します。
画面の中での中段の保ち合いでの高値や安値がフィボナッチ級数の線の箇所に当たったりします。ということは、その線が上値メドや下値メドになりやすい、ということもいえます。
1 は高値から0.618、 2 は高値から0.382(安値から0.618)になっています。
このフィボナッチの形が美しいと映るかは個人によって違うと思いますが、自分のあった使い方を考え、探してみるのも投資手法を広げるよい機会だと思います。