第4回 一目均衡表とは
“一目均衡表”という名前を聞いたことがありますか。この一目均衡表はマーケットで大変人気のあるテクニカル分析です。
特徴は“時間”というものに重きをおいて分析を行うところにあります。
そもそも、一目均衡表は一目山人(ペンネーム)という人が長い年月をかけて開発した純国産のテクニカル分析です。相場の帰趨は、一目瞭然、ひと目見てわかる、というところから名前がつけられました。
百聞は一見にしかず、まずは一目均衡表を見てください。
上図を見るといろいろな線が引いてあり、「いったいひと目で何がわかるのであろうか」と感じる人もいると思いますが、まずは、ひと目でわかっていただく前に、描かれている線について解説をしておきます。
ひと目でみる
相場の方向性は基準線が示しており、基準線が横這いの時は方向感なく、基準線が上昇すると相場は強気相場、下降すると弱気相場に変化して行くと言われています。
また、基準線の上昇が伴わない上昇は短命に終わるとも言われています。
なお、転換線と基準線の2本の線がクロスしたりするときは重要な意味を持ってくると言われています。つまり、基準線の下にあった転換線が相場の反転に伴い、上昇してきて基準線を下から上にブレイクする時、ないしは基準線の上にあった転換線が下落してきて基準線を上から下へ抜ける時、などが重要であるというのです。前回勉強した移動平均線でいう、ゴールデンクロス、デットクロスのようなものです。
ただし、一目均衡表の世界では、これを転換線が基準線を下から上に突き抜けるときを「好転」、逆に上から下に突き抜けるときのことを「逆転」と呼んでいます。
好転は相場が強気相場になった、逆転は相場が弱気相場になった、ということになります。
また、先行スパン1と先行スパン2との間に構成されるものを「雲」と呼んでいます。この雲は株価の抵抗帯になったり支持帯になったりします。
私はこの点を、株価を飛行機、先行スパンを雲にみたて、飛行機と雲の関係で説明します。
飛行機が雲の上にいるときは高度が下がってきても雲がクッションのように支持してくれるし、飛行機が雲の下にいるときは上に上昇しようにも雲が覆いかぶさって抵抗帯になるのです。すなわち、株価が雲よりも上にいるときは上昇基調、株価が雲より下にいるときは下落基調と見て取ることができるのです。
雲の中に飛行機が入ると、雲の上限で跳ね返され、雲の下限でも跳ね返されます。つまり、雲の中でもがくような形になります。
つまり、株価が雲よりも上にあるときは、雲は支持帯として上昇トレンドを表わし、株価が雲よりも下にあるときは、雲は抵抗帯として下降トレンドを表わすのです。
また、雲は先行スパン1と先行スパン2の計算が基になっています。先行スパン1と先行スパン2を比べると先行スパン1の方が短期の動きを表わしますので、先行スパン1の方が現物の株価の動きに近づきます。ですので、通常、上昇相場で株価が雲の上にいるときの雲は雲の上限が先行スパン1、下限が先行スパン2になります。調整的な下落があった場合には先行スパン1、つまり、雲の上限で止まる可能性があるのです。下落相場の時に株価が雲の下にいるときの雲の上限は先行スパン2、下限が先行スパン1になります。
ですから、上昇相場でも先行スパン1が雲の下限を形成しているとき上昇力は強いものではないし、下落相場で先行スパン1が雲の上限を形成しているときの下落圧力は強いものではないのです。
遅行スパンは当日の終値を26日前にさかのぼって記入します。つまり26日前の株価と当日の株価を比較することになります。当日の株価が26日の前の株価よりも高いときは26日前にその株を購入した人は、現在、利食える(売却して利益を出すことができる)水準になっていることを意味しますので相場が強い状態を示します。逆に当日の値段が26日前よりも安いときは利食える水準にないのですから、相場が弱い状態を示します。となると、遅行スパンが26日前の株価を上回る時ないし下回る時は強気相場、弱気相場の転換を表わすことにもなるのです。
さらに週足の一目均衡表を見てください。ここでは三菱電機を例にしています。雲がクロスしたところに特に注目してください。雲が薄くなったところは飛行機のエンジンも火力が少ない状態で雲を突き抜けていけるので変化が起きやすいと言われています。
ただし、変化がおきやすいといっても、今までの動きと逆方向になるというのではなく、上に行くのか下に行くのかは別にして雲のクロスしている箇所から、新しい株価のトレンドが出る可能性があるという意味です。
先行スパン1と先行スパン2がクロスするということは短期と長期のコストが一致するとも見て取れるので強気派と弱気派の力が均衡している状態でもあるのです。
ですので、変化が起きやすい状態と言えるのです。