投資情報室
旬なテーマを深堀り♪日経平均は短期デットクロスを形成、今後は一目均衡表の雲に注目
2017年7月7日(金)
投資情報室 藤井明代
欧州発の金利上昇、日本株の物色にも変化
今週の日経平均株価は19,929.09円と、週間ベースで104円下落し、2万円の大台を割り込んで取引を終えました。国内の材料に乏しい中、北朝鮮を巡る地政学リスクが懸念されたほか、米国や欧州などで金融政策の正常化へ向けた動きが加速するとの懸念が重荷となりました。
特に、6月27日にECBの年次フォーラムでドラギ総裁が「すべての兆候はユーロ圏の景気回復の強まりと広がりを示している、デフレ圧力はリフレに変わった」と語った以降、欧州の金融緩和策縮小に対するマーケットの反応は過敏になっています。7月6日には、6月開催分のECB理事会の議事要旨を受けて、改めて金融政策の正常化へ向けた議論が進むとの観測が強まり、欧州国債利回りが軒並み上昇し、世界の金利上昇へ波及しました。
日本株式市場では、これまで相場をけん引してきた内需系銘柄が急速に売られ、金利上昇の恩恵を受けやすい保険・銀行株などが買い戻される動きが継続しました。
日経平均の日足チャートをみると、6月20日の高値20,318.11円を付けてからローソク足で陰線をつける日が多くなり、やや調整含みの動きとなっています。7月6日には5日移動平均線が25日移動平均線を上から下へ抜けるデットクロスを形成しました(図1)。加えて25日線は上昇後に下向きに転じ、ローソク足(株価)も両線を下回っている状態です。そのため、短期的な売りシグナルが点灯したと捉えることができます。
- ※2017年7月7日現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成
日経平均テクニカル分析
次に日経平均の一目均衡表を確認します(図2)。一目均衡表では、7月6日にローソク足が相場の基準として判断する基準線を下回りました。また、遅行線もローソク足を下回ってきており、短期的に弱い相場に転換してきていると読み取ることができます。一方で、基準線はまだ上向きを維持していることから、売り転換と判断するには時期尚早かもしれません。
来週以降は、ローソク足とそのすぐ下に位置する雲(先行スパン1)の動きに注目しています。ローソク足は雲の上に位置する場合は上昇トレンドと捉えることができます。
この雲は抵抗帯ともいわれ、その雲が厚ければ厚いほど抵抗の強さを表します。雲は6月9日から12日にかけてねじれが発生してから、徐々に厚さを増しており、抵抗の強さも増しているとみることができます。
現在、先行スパン1は19,729.24円で推移しています。来週はこの値を下値メドとして反発し、短期的な上昇トレンドを継続できるかに注視したいところです。仮にローソク足が雲の中に入った場合には、雲の厚さゆえに雲を抜けられないもみ合い状態が継続することも考えられます。
ローソク足が雲の上を保てるか否か、これにより日経平均が2万円を維持できるかの方向性も左右していきそうです。
【図2:日経平均株価 一目均衡表(日足)】- ※2017年7月7日現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成
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藤井明代
auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト
東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。
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