投資情報室
旬なテーマを深堀り♪夏枯れアノマリーは本当?日経平均や新興市場指数の月別騰落からみる季節性
2017年8月10日(木)
投資情報室 藤井明代
8月夏枯れの要因は?過去の月間騰落率を指数別に検証
今週のマーケットは、海外ではバケーションシーズンに入り、日本でもお盆休みを控えて夏枯れが意識される展開となりました。例年、この時期は「市場参加者が減少し、株安・円高が進行しやすい」などのアノマリーが広がります。
特に「8月は日経平均が下落しやすい」とのアノマリーを耳にします。その主な要因の一つとして、為替市場でのドル安・円高進行が挙げられます。海外がバケーション入りすると債券市場で債券の新規発行が減少し、需給要因から債券価格が上昇する傾向がみられることがあります。債券価格の上昇は金利低下につながり、米長期債の金利低下につながります。すると、為替市場でのドル安・円高の材料となり、輸出企業の影響を受けやすい日経平均にとっての悪材料となります。
また、日本株式市場の売買シェアの約6割を占める外国人投資家がこの時期にバケーション入りすることで、マーケット全体の取引量の減少も意識されます。
その他にも9月末へ向けたヘッジファンドの解約売りが45日前にあたる8月中旬頃に入りやすいなどの思惑も重なり、日経平均が下落しやすいとのアノマリーが広がりやすくなります。
では、実際に日本株式市場に季節性が見られるのか、日経平均やその他主要指数の月別平均騰落率を検証していきます。
以下の図は、マザーズ指数が算出された翌年の2004年から2017年7月までの約13年間の指数別・月別平均騰落率をまとめたものです。
【指数別/月別平均騰落率(2004年~2017年7月までの月別平均)】
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- ※2017年8月現在、Astra Managerよりカブドットコム証券作成
上記のデータにある通り、過去13年間の月別平均騰落率では、日経平均のみならず、TOPIX、JQ、マザーズの4指数で8月の下落率が最も高くなりました。また、2部指数は5月に次いで2番目に8月の下落率が高くなっています。
この結果から「8月は日経平均が下落しやすい」との噂は概ね事実であり、季節により騰落率に傾向が出ていることがわかります。また興味深いのは、マザーズ指数の下落率の高さです。同指数は変動率も高いですが、8月の下落率は-4.6%と相対的に下落率の高さが目立ちます。マザーズなどの新興市場は個人投資家の影響を受けやすいため、8月は個人投資家も警戒感を持ってマーケットに臨んでいる可能性が高いと思われます。
もっとも、マザーズ指数は組み入れ上位数銘柄の影響を大きく受けやすいことや、検証した騰落率は平均値であるため、下落率が高い年の影響が反映されやすくなります。そのため、必ずしも8月に下落するのではなく、下落時の値幅が大きくなりやすい傾向がある点をご参考いただければと思います。
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藤井明代
auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト
東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。
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