投資情報室

旬なテーマを深堀り♪ドル円相場の行方は?ユーロの動向にも注目

2017年7月21日(金)
投資情報室 藤井明代

上値の重いドル円、ユーロ高の影響も!?

20日までの日経平均は、2万円台を挟んだ膠着状態が継続しました。為替市場でのドル高・円安一服を背景に日経平均の上値は重く、2万円より上を積極的に追う動きは限定的となりました
ドル円相場は、先週末に発表された米6月消費者物価指数や小売売上高などの経済指標が予想を下回ったことからドル売りが進み、足元では1ドル111円台に押し返されています。

直近数ヶ月のドル円相場を確認すると、3月中旬から現在まで、約1ヶ月の周期で高値と安値を付け、規則性のある推移を辿っています(図1)。3月10日に1ドル115.50円の円安水準を付けた後は円高方向に押し戻され、4月17日に108円台、そして5月11日には114円台の円安、6月14日には再び108円台の円高とBOX圏での推移となっています。この値動きがしばらく続くと仮定すると、直近高値の1ドル114.49円が目先の高値となり、8月頃まではやや売り圧力が意識される可能性がありそうです。
次にチャートパターンをみると、4月17日の安値と6月14日の安値でダブルボトムを形状したものの、7月11日に114円半ばより上に進むことができず、円安転換のタイミングを逃しています。
現在のドル円相場は75日移動平均線を下値に持ちこたえている状況です。短期的には、75日移動平均線を維持できるか否かが注目ポイントとなりそうです。

【図1:ドル円 日足チャート】

ドル円日足チャート
  • ※2017年7月21日11時現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成

ドルの上値が重い要因には、米国の金融政策を巡る思惑以外にも、ユーロ相場の動向が影響していることが考えられます。
図2に示す通り、足元のユーロドルの動きを確認すると、4月下旬に窓を空けてユーロが伸長して以降、急速にユーロ高が進行しています。4月下旬は仏大統領選第1回投票が行われ、マクロン氏とルペン氏が決選投票に進出したタイミングです。決選投票にこの2候補が進んだことで、欧州主義者であるマクロン氏が勝利するとの思惑から安心感が広がりました。これを主因として、為替市場ではユーロ高が進行。また、6月下旬からは欧州も金融政策正常化へ向けた転換が始まるとの思惑が広がり、これもユーロ高に拍車をかけました。ユーロドルは6月27日に大陽線をつけ、1.12台から1.13台まで急速にユーロ買いが進み、その後もユーロ高が継続しています。

【図2:ユーロドル 日足チャート】

ユーロドル日足チャート
  • ※2017年7月21日11時現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成

このようにユーロが強含むとユーロドルでドル安が進み、その影響でドル円相場でもドル安が進む要因となります。これが、足元でドルの上値を抑える一因になっていると考えられます。そのため、しばらくはユーロ動向にも留意しながら、ドル円相場を追っていく必要がありそうです。



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藤井明代

藤井明代

auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト

東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。

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