投資情報室
旬なテーマを深堀り♪巨大化するEC市場、宅配クライシスの川上で商機を見出す企業
2017年4月28日(金)
投資情報室 藤井明代
巨大化するEC市場と宅配クライシス問題
足元ではEC(電子商取引)の急増を背景に、人材不足や残業の未払いなど宅配サービスに関わる問題が取り沙汰され「宅配クライシス」として連日メディアを賑わしました。今週はヤマトHD(9064)傘下のヤマト運輸が27年ぶりに宅配便の値上げ方針を発表したほか、従業員の長時間労働を招いたことなどから役員を処分する方針であることも判明しました。 こうした宅配に関する様々な報道などを受け、直近では宅配ボックス(ロッカー)関連銘柄としてアルファ(3434)やダイケン(5900)、セゾン情報システムズ(9640)などが、またEC通販の検品や宅配を請け負うファイズ(9325)などが大きく動意付きました。 宅配クライシス問題が取り沙汰される背景には、近年のEC市場の急拡大があります。4月24日に経済産業省が発表した最新の「電子商取引に関する市場調査」によると、2016年のBtoCのEC市場規模は前年比9.9%増となり、はじめて15兆円を突破しました(図1)。また2005年から2016年までの年平均成長率は14.5%を超えており、右肩上がりに上昇しています。物販を対象にしたEC化率も前年から0.68ポイント上昇の5.43%へ増加しており、特にスマホ経由の伸び率の高さが際立っています。 今回発表された経済産業省の調査では、初めてCtoC(ネットリユース)の市場規模の推計も行われました。フリマアプリの市場規模は2016年に3,000億円を超える市場となっており、今後も拡大傾向にあると公表されています。
- ※ 出所:経済産業省『平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)調査結果』よりカブドットコム証券作成
こうしたECの拡大を背景に、EC運営企業を支援する市場規模も成長しています。図2に示す通り、ECサイト構築市場も右肩上がに成長し、ITRの最新調査では2020年には200億円まで拡大する予測となっています。新規事業者の参入も増加しており、今後はECサイト構築にかかる価格競争の激化は避けられないものの、集客や販促分野など、そのほかの重点投資が増加することも予想されます。
- ※ 出所:UZABASEデータ(ITR『ECサイト構築市場2015』)よりカブドットコム証券作成
そこで今回はEC支援を手掛ける企業に注目し、主な関連銘柄をピックアップしました。EC構築を支援する主な企業には、ソフトクリエイトHD(3371)やシステムインテグレータ(3826)などが挙げられ、その実績はトップクラスです。また、マーケティングや販促支援企業にはアライドアーキテクツ(6081)やメタップス(6172)などがあります。 今後は特にスマホ向けEC市場の急成長が見込まれることから、スマホ向けサービスやアプリ支援のニーズ増加が予想されそうです。また越境ECに目を向けると、2016年の対中国向け市場規模が前年比30.3%増と成長率が著しいことから、中国向け支援サービスなども引き合いが増加していきそうです。
EC支援を手がける主な関連銘柄
- ※ 銘柄コード順、時価総額は2017年4月26日終値データ
- ※ 会社四季報、Astra Managerよりカブドットコム証券作成
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藤井明代
auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト
東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。
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