第8回 RSI(Relative Strength Index)
株価が10日間も上昇し続ければ、多くの投資家は心理的に「かなり買われたのではないか・・・そろそろ下がるのではないか」(買われ過ぎ)、逆に10日間売られていたのであれば「かなり売られた・・・そろそろ上昇するのではないか」(売られ過ぎ)などと考えたくなるものです。
しかし「買われ過ぎだ」「売られ過ぎた」と言っても、どこまでが買われ過ぎでどこまでが売られ過ぎなのか明確な基準があるわけではありません。
つまり、それぞれが場当たり的な判断になっているのです。
ですので、何とか一定の基準を設けて「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を客観的に把握しないとなりません。
そこで登場するのが、RSIです。買われ過ぎ、売られ過ぎを数値で把握しようとするものです。
つまり、RSIは買われ過ぎ、売られ過ぎに着目したテクニカル分析です。
株価が上昇し続ければ、即ち、買われ過ぎと判断し売りを考え、逆に下落し続ければ売られ過ぎという判断をし、買いを考えるというものです。
計算式
以下の式でRSIを求めます。
最初に14日間RSIを求める式(公式1)
- A:14日間の値上がり幅の平均
B:14日間の値下がり幅の平均
2日目以降の14日間RSIを求める式(公式2)
- A’:14日間の値上がり幅の平均
B’:14日間の値下がり幅の平均
具体例
2日目からが前日比較をできる起算日となりますので、14日間のデータを取り込むには15日分のデータが必要になります。さきほどの公式によると14日間の値上がりした平均を求めますので、まず、14日間の値上がりした合計を求めます。
(20円+20円+10円+10円+30円+40円+10円+20円+10円)
=170円
次にこの合計(170円)を14で割ります。
170円÷14日間=12.143
この12.143が公式1のAにあたる数値です。
次に14日間のうちの値下がりした値段の合計を14で割ります。
(10円+10円+20円+10円+20円)=70円
70円÷14日間=5
この5が公式のBにあたる数値です。
そして、
RSIは70.83となります。
そして、翌日(16日目)以降は公式2を使用します。
つまり、A’の計算は以下の通りになります。
12.143×13=157.859に16日目の値上がり幅を足します。
ここでは16日に下落していますので0を足します。
よって、157.859を14で割ることになります。
157.859÷14=11.276
B’は以下の通りです。
5×13=65に20(16日目の値下がり幅)を足します。
65+20=85 85を14で割ると
85÷14=6.071
16日目のRSIは、
ここではRSIの公式として2つを(公式1、公式2)紹介しましたが、公式2を使わず、常に公式1の式だけで、つまり、常に14日間のみのデータだけで算出する方法もあります。
そこで、計算されたRSIを表示すると以下のようになります。
日経平均株価 14日RSI
TOPIX 14日RSI
RSIの見方
売買の目安としてはRSIの数値が70%以上になると買われ過ぎゾーン、逆に30%以下になると売られ過ぎゾーンに入るとされています。
そして、それぞれのゾーンに入った後に反転した動きになったところで買われ過ぎゾーンの時は“売り”を、売られ過ぎゾーンの時は“買い”を考えるとされています。
つまり、RSIの冒頭で述べました「買われ過ぎ」、「売られ過ぎ」を感覚的なものではなく数値で把握するというものです。上図のグラフを見て確認してみてください。
計算日数
RSIはその計算日数を変えるとその振幅の回数が多くなります。ちなみに、5日のRSIを見てみましょう。
14日RSIよりも5日RSIの方が70%ライン、30%ラインを越える回数が多いのが見てとれます。確かに14日RSIだとそれぞれのラインを越える回数は少なくなります。銘柄によっては1年間ほとんどシグナルが出ないケースもあります。
逆に5日だと頻繁にシグナルが出ます。もちろん、いいタイミングでシグナルが出ることもあるが“ダマシ”(はずれること)もまた多いのも事実です。
筆者の経験をここで述べさせていただくとすれば、14日のRSIを使用するよりは5日から10日までのRSIを使った方が上手くトレードできた回数が多かったようです。
日経平均株価 5日RSI
TOPIX 5日RSI
14日間という期間に拘らず、計算日数も是非工夫してもらいたいです。
短くした場合に、買われ過ぎ、売られ過ぎの数字を80%、20%などとする工夫も有効です。
逆行
これは一つの売り買いのシグナルを出す方法です。
RSIが70%ないしは30%のラインを超えている時、例えば70%以上の時に株価は上昇しているのにも拘らず、RSIの数値が株価の方向(上昇)と逆に下がっているケース。
RSIが30%以下にある時で株価は下がっているのにも拘らず、RSIが上昇していているケース。
このようなケースを“逆行(ぎゃっこう)”と言って有効な売買シグナルとされています。
この場合、RSIの指し示す方向に動くとされています。
RSIの短所
RSIは一定の期間変動幅の中でどれ位株価が上昇しているのか、下落しているのかをはかるものです。
よって、ある一定の値幅の中で株価が上位にある(買われ過ぎ)、下位にある(売られ過ぎ)という時には有効なシグナルが出やすいのですが、相場が今までとは違う大きなトレンドで上昇し続けたり、下落し続けたりする場合にはその大きなトレンドを掴み損ねる可能性があるのです。
つまり、トレンドの上昇ないし下降の早い段階で売りシグナル、買いシグナルが出てしまいその後の大きな値幅を取り損なうということがあるのです。
こういう時のために他のテクニカル分析を補助的に使うのも一つの方法です。