第20回 新値足
新値足はポイント&フィギュアと同様、時間の概念を無視しトレンドというものを掴もうとするものです(時間の概念を取り入れたものは後述)。
グラフに記入する際、通常、縦軸に株価、横軸を時間にして作成していくのが多くのテクニカル分析ですが、横軸の部分での時間を無視するものです。
作成方法
新値足ですが、一般的によく使われているのは“新値3本足”というものです。新値4本足とか5本足というのも作成可能ですが、マーケットでよく使われているのが3本足で、ほかにも5本足、10本足などがあります。日経平均などの指数にはよく10本足が使われたりしていますが、作成方法はみな同じです。そこで新値3本足を例にとって見てみましょう。
基本は終値で高値ないしは安値の新値を更新するたびに行をかえて記入していくものです(この点はポイント&フィギュアとは違います)。ですので、上昇局面であれば高値を更新した時、下落相場であれば安値を更新した時にそれぞれ陽線、陰線が記入されていきます。
次に、どのような時に陽線、陰線がそれぞれ転換、つまり、陽線から陰線、陰線から陽線に変わるのかということですが、新値3本足の場合には直前の陽線ないしは陰線を“3本”包みこむ必要があります。新値5本足であれば5本、10本足であれば10本、直前の陽線ないしは陰線を包むことによって転換するのです。
具体的な数字で見ていきましょう。
1日目1000円、2日目1050円、3日目1070円・・・と推移したとします。
1日目 1000円
2日目 1050円(新値)
3日目 1070円(新値)
4日目 1110円(新値)
5日目 1150円(新値)
6日目 1200円(新値)
7日目 1160円(反落したが動きなし)
8日目 1060円(3本陽線を包む、陰転)
9日目 1040円
7日目に1160円と40円下がっても直前の陽線を3本包みこんでいないので、転換しないのです。そして、8日目の1060円で一気に3本を包みこんだので転換したのです。陽線3本を陰線が包みこむことを陰転といいます。転換した地点を売りシグナルとします。9日目も1040円と1060円の安値を更新したので新しく陰線を記入していきます。仮に9日目が1100円に戻ったとしても何も記入しません。要は1060円より下の値段をつけるか1200円より上の値段をつけない限りこのままです。仮に1060円と1200円の間を行ったり来たりを1年間した場合には全く動かないこのままなのです。
また、この場合にもし株価が急上昇したとします。つまり、直近で陰線が3本ない場合はどうなるのかという問題もあります。この場合は直前の新値1200円超えた値段を超えれば陽転するということになります。
見方
基本的には単純に陽転したら買い、陰転したら売りとなります。また、2本目の陽転で買い、2本目の陰転で売りという方法もあります。いずれにしても大きくトレンドが出た場合には便利なチャートだと思います。3本新値は短期、5本だと中期、10本だと長期に合うといわれておりますので、皆さんもそれぞれも銘柄、指標にはどれくらいの日数がピッタリか探してみてください。
さて、最後に時系列の新値足を紹介しておきましょう。ここまで見てきた新値足は時間を考慮しない新値足でしたが、横軸にあたる時間を考慮した時系列新値足もあります。この特徴は、通常の新値足であれば陽線、陰線ともに同じ1本のデータとしても、時間が加わると同じ1本でもその1本を形成している時間の長さを知ることによって投資に役立ちます。たとえば、長い期間の保ち合いからの離れる新値を知ることによって、同じ新値足でも意味が違うことを発見できます。以下に、通常のローソク足、非時系列の新値足、時系列の新値足を表示しますので、違いを感じ取ってください。