信用取引(制度・一般) 取引手法
1. つなぎ売りを活用しよう!
以下では、「つなぎ売り」について解説します。
つなぎ売り
現物株の中長期保有を考えているが、目先の下げ局面を予想した時、値下がりによる評価損を回避するには保有株を持ったまま、同じ銘柄を信用売りする「つなぎ売り」が有効です。予想どおり値下がりした時点で買い戻すと、その差金の利益で値下がりによる評価損が補えます。予想に反して値上がりしてしまい、信用取引の評価損が発生した場合には、買い戻しで決済する選択に加えて保有する現物株を「品渡し」を選択することもできます。特定の銘柄を長く持つ場合などでも、自分が考える以上の値上がりや市場の雰囲気などで一旦手放しておこうと考えたときには、信用取引の活用で「高くなったらつなぎ売り、下がったら買い戻し」という小まめなケアを繰り返すこともできます。
ただ保有しているだけでは「赤線」の儲けだけ。長い保有期間の間にはそれこそ振幅も大きく、辛抱が肝要なのですが、「高値を売って、安値を買い戻す」でその振幅を利用することで「青線」2本の+αにトライする手法。
こんな使い方もできる「つなぎ売り」
つなぎ売りには、さまざまな手法があります。
ここではそんなつなぎ売りの具体的な手法をご説明しましょう。つなぎ売りとは、何らかの理由で売却ができないといった保有株に対して、信用取引の売りにより、利益確定させることをいいます。
株主優待権利確定のつなぎ売り
そろそろ売り時だと思っている株が、決算期をむかえ株主優待がもらえるといった場合にも、「つなぎ売り」が利用できます。権利確定前に信用取引でとりあえず売却しておいて、権利落ち日に現物株を品渡しすれば、株価の下落リスクを回避しつつ、株主優待も手に入るというわけです。ただし、つなぎ売りを行う場合、逆日歩には警戒が必要です。逆日歩がつくと当然ヘッジコストが高くかかることになります。
2. ロング&ショート戦略
以下では、「ロング&ショート戦略」について解説します。
ロング&ショート戦略
ロングとは「買い」、ショートとは「信用売り」をいい「ロング・ショート」とはその両方を組み合わせた取引手法です。
現物株の保有+信用取引の売り、あるいは信用取引の買い+信用取引の売りをイメージしてください。
同業種や業績面、テクニカル面等から比較して、株価が割安な銘柄を買い(現物でも信用でも可)、株価が割高な銘柄を信用売りするポジションはマーケットリスクが顕在化する全面安等の急落相場でも、リスク量が抑えられ結果として銘柄の優劣だけの損益に抑える効果があるといわれています。これは、ロング(株式の保有)をショート(株式の信用売り)が相殺することで「株式」の保有額リスクを限定することで、株式市場全体の動向の影響が減少するという考えです。
このペアの組み方はさまざまで、同業種・業績面から比較した「優位銘柄買い・劣位銘柄売り」に始まり、たっぷりと自身で相場観を織り込んだ「小型株買い・大型株売り」「低位株買い・値がさ株売り」、業種間のローテーションを見込んだ「薬品買い・ハイテク売り」、テクニカル分析を重視した「25日移動平均線上方乖離売り・下方乖離買い」などさまざまな組み合わせを作ることができます。いずれの場合も、複数銘柄間の値ざや(買い銘柄金額と売り銘柄金額の差額)の拡大・縮小を狙い投資することになるわけですが、これまでの実績(規則性)通りに値ざやが「開いては縮む」ものなのか、或いは「ドンドン開いていく」ものなのかは、やはり投資の世界、将来を予測しリスクテイクすることになります。裁定取引同様にリスク限定型の取引手法として、ディーラーの世界でも今、ロング・ショート戦略が全盛のようです。ただ、ロング・ショート戦略に代表されるオルタナティブ投資※が盛んになればなるほど、投資チャンスは減っていくのかも知れません。
- ※オルタナティブ投資とは、空売り、先物・オプションなどの金融派生商品を活用して、相場の動向にかかわらず収益の確保を目指す運用手法のこと。
3. 信用取引を使った裁定取引
信用取引を使った裁定取引とは、株式の理論価格(机上計算値)からの歪みに着目し、信用取引を利用し、利ざやを稼ごうという手法です。株式市場はさまざまな思惑が絡んで需要と供給がぶつかり合うところです。それ故に見えないリスクに怯えたり、見るべきリスクを無視してしまい需給の不均衡から株価が理論価格(机上計算値)から乖離することがあります。理論価格(机上計算値)に収束する前提条件を信じて、一時的に発生した価格の歪みを収益チャンスと捉えポジションを取る手法を裁定取引と呼びます。
比較的わかりやすい事例として、合併時の理論価格の歪みを例にとります。
A社とB社が3ヶ月後に1対1の対等合併を発表した時を想定します。通常であれば、両者の株価は均衡するはずですが、「合併が破談になるかもしれない」「合併比率が見直しになるかも知れない」等々の懸念材料や「合併に伴いA社の大株主は一定株数を手放す必要がある」「B社には第3者が手を上げて敵対買収の可能性もある」等の不確実な固有の材料が株式市場には渦巻いています。仮に、様々な思惑でA社の株価が1,000円でB社の株価が1,100円といったように机上計算値から乖離している場合、「合併が成就」することを前提に、A社株を信用取引で買建て、B社株を1,100円で売建てるポジションを取る戦略が裁定取引です。当初予定どおり両者が合併すれば、裁定利益(結果として同じ株を1,000円で買い1,100円で売ったことになります)を得ることができます。
- ※実際の取引においては、信用規制等が発動されるリスクもあります。
4. ロスカットルールを決めよう!
ロスカットルールというのは、自分の相場観に関係なく、当初決めておいた損失(株価水準)に達したら、即座に反対売買をして損失を確定させる方法です。株式市場の用語で「期日向かいの買い(売り)」などという言葉を耳にされることはありませんか、これは制度信用取引の信用期日6ヶ月ギリギリまで反対売買出来ずに処分できていない評価損を抱えた投資家の反対売買が集中する日に(逆算する6ヶ月前に大商い実績がある場合等)、処分される建玉に買い(売り)向かうことで、利益を上げようとする戦略のことをいいます。自分の前に投資した人が十二分に失敗してくれたので、次は良いのではないかという心理的優位を戦略に例えたもので、投資成果が上がるか否かは定かではありません。
ロスカットルールを決める背景には、固有の銘柄で致命的な損失を抑える目的があります。個別銘柄に投資した場合、当初の投資戦略(イメージ)で○○%上がったら利益確定しよう、でも○○%(XXXX円)になったら売却(損切り)しようと思っていても、実戦では損切りほど難しいと言われています。自分で自分の負けを認め撤退するのですから、強い意思が必要なわけで株式投資は心理戦(自分との戦い)などと言われる所以です。最初からルールを決めてしまって気分的に軽くなることで、大局を見失わないようにしましょうということがロスカットルールの本質になります。
ロスカットの水準は、投資家それぞれの考え方や投資スタンスによって違います。重要なのは、自分で決めることです。例えば、買いの場合は、買値から○%~△%といった具合に、自分自身でロスカットラインをイメージすることから始めましょう。(短期売買を目的とする銘柄の場合は5%、中長期投資中心なら10%から20%といった具合に銘柄毎に定める方法もあります。)
auカブコム証券なら、逆指値を利用することにより、これらのロスカットを自動的に実行することが可能です。
いざ、ロスカット水準に到達しても、「もしかしたら少しは戻るかも…」といった心理は必ず働きます。そうこうしているうちにロスカットできずに、損が拡大してしまったという経験も多いかと思います。auカブコム証券の自動売買なら、ロスカット水準で自動的にロスカットが可能ですので、迷っているうちに損失が拡大してしまったということがありません。
リスク管理のポイントについて
成績の悪い投資家のイメージ
思惑がはずれ評価損の拡大を放置、思惑通りの利食いは早い。
保有期間 | 金額 | |
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評価益 | 短い | 小さい |
評価損 | 長い | 大きい |
成績のよい投資家のイメージ
思惑がはずれても損の拡大を食い止め、思惑通りの利食いは引っ張る。
保有期間 | 金額 | |
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評価益 | 長い | 大きい |
評価損 | 短い | 小さい |
- 「ロスカット」が運命の分かれ道。「ロスカット」とは思惑をはずした時のリスク管理
- 「ああなったら困るな」を事前に想定、困り具合を最小限に抑え込むための「見切り」、最もシンプルで強力な知識、テクニック。「逆指値」が有効となる。
トレンドフォロー
高値、下安値が切り上がるのが上げトレンド
高値、安値が切り下がるのが下げトレンド
高値、安値が切り上がらない、切り下がらないのがもみあい
トレンド転換
初めて下値が切り下がったらトレンド転換?
- 前の安値を下回ったら反転売り
- 新規売りも視野に
- 【注】
- 安値が切り下がっても、その後高値が切り上がるなど、所謂騙しの事もある。
その場合は適時見方を修正する必要がある。
初めて上値が切り上がったらトレンド転換?
- 前の上値を上回ったら反転買い
- 新規買いを視野に
- 【注】
- 高値が切り上がっても、その後安値が切り下がるなど、所謂騙しの事もある。
その場合は適時見方を修正する必要がある。