第16回 ピボット

私が初めてピボットに出会ったのは1990年頃のことでした。当時はようやく日本に日経平均株価やTOPIXといった株価指数の先物が導入され、その売買も注目されていた頃です。そうした先物市場のディーラーの世界で使われていたのがこのピボットなのです。

ピボットとは回転等の軸のことで、このピボット値((前日の高値+安値+終値)÷3)を軸として、翌日の売買の目安となるサポートライン(支持線)、レジスタンスライン(抵抗線)を計算するものです。これは、明日の値動きを予想するのには今日の動き、中でも高値・安値・終値の3つの値が一番参考になるであろうという発想から成り立っています。 明日の値動きを予想するのに10日前の値動きと今日の値動きのどちらかが参考になるかといえば、「今日」のはずです。前日の相場の動きによって今日の相場を判断しようというのですから基本的には短期的なトレード、いわゆる「デイトレ」のためのチャートです。前日に相場が大きく動いていれば、今日のピボットでは予想レジスタンスと予想サポートの幅が大きくとられる=相場の動きが荒っぽいのだから、今日も大きく上下する可能性があるだろうという考え方です。90年代先物市場のディーラーの中でよく使われたのも納得できます。

前日高値=H 前日安値=L 前日終値=C D1=H-P D2=P-L D3=H-L
ピボット値 P=(H+L+C)÷3
第一次下値支持線(サポートライン) B1=P×2-H=P-(H-P)
第二次下値支持線(サポートライン) B2=P-(H-L)
第三次下値支持線(サポートライン) B3=B1-(H-L)
第一次上値抵抗線(レジスタンスライン) S1=P×2-L=P+(P-L)
第二次上値抵抗線(レジスタンスライン) S2=P+(H-L)
第三次上値抵抗線(レジスタンスライン) S3=S1+(H-L)
  HBOP(High Break Point)=P+D2+D3=2P-2L+H
  LBOP(Low Break Point)=P-D1-D3=2P-2H+L

ピボットの概念は前日の価格変動による買い圧力と売り圧力の力関係が当日の価格変動に及ぼすと仮定しレジスタンス(支持線)/サポートライン(抵抗線)を表すものです。下の概念図を見ると、前日のH-Pが当日のP-Bに移行し、前日のP-Lが当日のS-Pに移行しています。前日の売りと買いの勢力関係が当日に移行したと考えるのです。

ピボット

ピボット

逆張りでの見方

  • ピボットは通常逆張りで考えます。B1、B2に接近したら買い、S1、S2に接近してきたら売ります。また、株価がHBOPを上抜いたら買い、LBOPを下抜いたら売りとなります。
  • もみ合い相場での利用は、買いの場合LBOPは損切りラインとなり、HBOPは買い増し、売りの場合HBOPは損切りラインとなり、LBOPは売り増しとなります。

順張りでの見方

  • B1、B2が接近したら売り、S1、S2が接近したら買いとなります。株価がHBOPを上抜いたら売り、LBOPを下抜いたら買いとなります。
  • もみ合い相場での利用は、買いの場合HBOPは損切りラインとなり、LBOPは買い増しになります。売りの場合はLBOPは損切りラインとなり、HBOPは売り増しとなります。

また、ピボットは相場がHBOPとLBOPの間に収まっている位置は持ち合い相場ととらえ、B1・B2の支持線接近で買い、S1・S2の抵抗線接近で売りとなります。
また、HBOP・LBOPを抜けた場合はトレンドモードに入ったと考え、HBOP上抜けで買い、LBOP下抜けで売りとします。また、支持線と抵抗線のレンジが狭くなってくるとトレンド変化の兆しと考えられ、レンジ幅の拡大は相場の振れが大きくなるリスクの高まりとみます。

以上、見てきましたように、このピボットは1日の値動き中で売買を考えますので、非常に短期的なトレード用ということになります。90年代先物市場のディーラーの中でよく使われたのも納得できます。

実際に見てみましょう。

ピボット

上図は日経平均株価を使ったピボットです。
下図は三菱東京フィナンシャルグループを使ったピボットです。
両チャートを見てわかるように1日の動きの大きかった日、つまり、陽線、陰線の大きい日などではピボットの値が大きくなるので幅で大きくなり、保ち合いなどで値動きが小さいと幅も小さくなります。