【海外金利の上昇を活かした運用】利息収入の積上げを重視する方に適した投資信託とは?
海外金利の上昇を活かした運用とは
コロナ感染症拡大を受けてゼロ近辺に引き下げられていた米国の政策金利は、2022年から急ピッチで引き上げられ、2023年7月のFOMC(連邦公開市場委員会(米国の金融政策決定会合))では政策金利の誘導目標が5.25~5.50%のレンジに引き上げられました。この水準は2001年以来で22年ぶりの高さとなっています。また欧州(ユーロ)でも2023年9月に政策金利は4.5%に引き上げられ、依然としてゼロ近辺にある日本(円)の金利水準とは対照的です。
【米国政策金利の推移】
金利上昇を活かした運用
お金を「貸す側」と「借りる側」に分けた場合、高金利局面は利息収入が大きく「貸す側」のメリットが大きくなります。
債券に投資することは債券の発行者(国や企業)に対してお金を貸して利息収入等を得る行為になりますから、金利上昇を活かした運用としては債券投資は有力な選択肢となります。
債券投資を考える際の重要な指標とは
債券は一般に償還日と償還価格、利払日と利率が予め定められていますから、個別の債券に投資する場合は時間の経過に伴う利息収入の積上げが主要なリターンとなります。
また、償還価格に比べて低い価格で取引されている債券*は償還価格との価格差による値上がり益が期待されます。逆に償還価格に比べて高い価格で取引されている債券*は償還日までにその分値下がりします。
利息収入に加えて償還価格と取引価格の価格差を考慮して償還まで持ち切った場合の利回りである「最終利回り」が債券投資を考える上で重要な指標になります。
- *米国国債を前提にすると、その時点の同期間の取引利回りより利率が低い銘柄は償還価格よりも低い価格で取引され、逆に利率が高い銘柄は償還価格よりも高い価格で取引されることが通常です。
償還まで持ち切れば最終利回りは実現するの?
償還日に決められた償還価格で償還すること、利払日に決められた利率の利息を支払うことは債券の発行者の義務(債務)ですが、発行者の経営破綻などにより債務が履行されない可能性がありますから、発行者の支払能力(信用力)には注意が必要です。
一般に債券には信用格付(S&P社では最上位のAAA格からD格まで)が付与されており、信用格付が低い銘柄は国債等の信用力の高い債券に対する上乗せ金利を含む高い最終利回りで取引されます。
海外債券の投資成果を決める3つの大きな要素
利息収入
利息収入は債券投資のリターンの基本要素で、銘柄毎に決められた利率に基づく利息収入が得られます。時間の経過に伴い利息収入は積み上がるため投資期間が長くなるに連れて投資成果に与える影響が大きくなります。
【毎期の利息収入のイメージ】
【利息収入が積上がるイメージ】
債券価格の変動
債券価格は償還日に向けて償還価格に収れんしていきますが、償還までの期間は市場金利の変動により債券価格も変動します。なお、償還までの残存期間が短くなるに連れて同じ幅の金利変動に対する債券価格の変化率は小さくなる特性があります。
為替の変動
米ドル等、円以外の通貨の債券に投資する場合はその通貨の対円為替レート変動の影響を受けます。その通貨が債券の投資開始時に比べて対円で高くなれば円ベースのリターンにプラスの影響を与え、逆に対円で安くなればマイナスの影響を与えます。短期間の海外債券への投資成果では利息の積上がりが小さいため、為替の影響が相対的に大きくなる傾向があります。
【為替レートの推移(米ドル・円)】
海外債券の投資環境
債券の市況に関しては債券価格の変動で説明されることが一般的です。2022年の先進国の国債市況は全体として過去30年で最も値下がりした1年となりましたが、これを利回り面から見れば、2022年は先進国の国債の「最終利回り」が大幅に上昇したことになります。
2023年に入ってからも米国や欧州等の政策金利引き上げが続き、欧米を中心に国債をはじめ多くの債券の「最終利回り」は更に上昇しており、米国の10年国債の最終利回りは9月には4%台後半まで上昇し2007年以来16年ぶりの水準になりました。
債券投資を始める場合は「最終利回り」は高い方が有利ですから、米国をはじめ金利水準が上昇した国の債券への投資を始めるには相対的に良好な環境と考えられます。
【米国10年国債利回りの推移】
FRB(連邦制度理事会(米国の中央銀行))の次の一手は?
2023年9月には政策金利に関して、FOMCメンバーの予想の中心は2023年末は5.6%台、2024年末は5.1%台であることが示され、次の一手は利上げになる可能性があるものの、2024年には利下げの開始を見込むFOMCメンバーが多いことが窺えます。
今回の利上げは急激に進んだインフレを抑制することを主目的としてきましたが、2024年以降はこれまでの金利引き上げの効果からインフレが抑制される方向にあることをメインシナリオに考えているようです。
上記の将来予想も影響して、2023年9月末時点の残存期間毎の米国国債の利回りは、10年までは概ね残存期間が短い方が利回りが高く、残存期間が1年未満の国債は5%台の利回りで取引されています
<株式との分散効果>
景気の循環に対して株価と債券価格は異なる動きとなることが多く、株式を保有している人にとって債券は有力な分散投資先です。
景気の後退局面では株価が低迷することがある一方で金利は低下することが多く、金利低下局面では債券価格は上昇します。中でも残存期間の長い債券は相対的に価格上昇率が高いため、株価低迷時には分散効果も大きくなります。
- ※当頁のグラフは、過去の実績であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。
海外債券に投資する投資信託のご紹介
投資信託は主たる投資対象を定めた上で銘柄分散して運用されることが一般的で、組入銘柄を償還まで持ち切るとは限らず、組入銘柄は入れ替わっていきます。
そのため、債券で運用する投資信託は個別債券とは異なる点もありますが、各ファンドの特性は投資対象とする債券の国別(通貨別)構成、償還までの残存期間、信用格付等により決まります。更に、ファンド購入時の組入債券全体の最終利回り水準がその後の投資リターンに影響を与えることになります。
金利変動の影響を抑制しながら利息の積上げを狙う方はこちら
米国の国債および上場投資信託証券を主要投資対象とします。米国の国債の投資にあたっては、原則として、残存期間が3ヵ月以下の国債に投資を行います。外貨建資産については、原則として為替ヘッジを行いません。
東京海上・米国短期国債ファンドの魅力についてはこちら
信用力に応じた上乗せ金利を含む利息の積上げを狙う方はこちら
- フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(毎月決算型)B(為替ヘッジなし) フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(毎月決算型)B(為替ヘッジなし)
- フィデリティ・Sハイ・イールド・ファンド(資産成長型)D(為替ヘッジなし) フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長型)D(為替ヘッジなし)
米ドル建て高利回り事業債を中心に分散投資を行ない、高水準の利息等の収入を確保するとともに、値上り益の追求を目指します。格付けに関しては、主に、Ba格(ムーディーズ社)以下またはBB格(S&P社)以下の格付けの事業債に投資を行ない、一部、格付けを持たない債券や、米国以外の国の発行体の高利回り事業債を組入れることもあります。原則として外貨建資産の為替ヘッジは行ないません。
投資対象国(通貨)の分散を図りながら利息の積上げを狙う方はこちら
FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)と連動する投資成果をめざして運用を行います。主として日本を除く世界主要国の公社債に投資を行います。原則として、為替ヘッジは行いません。
eMAXIS Slim 先進国債券インデックスの魅力についてはこちら
各ファンドの特性
ファンド | 主な投資対象国 (通貨) |
デュレーション | 最終利回り | 主な組入銘柄 |
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東京海上・米国短期国債ファンド | 米国ドル | 0.1 | 5.4% | 米国の短期国債 |
フィデリティ・ USハイ・イールド・ファンド |
米国ドル | 3.6 | 8.0% | 格付がBB以下の事業債 |
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス |
米国ドル、ユーロ他 | 6.3 | 4.3% | 日本を除く先進国の国債 |
- 上記は、過去の実績であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。
- デュレーションとは、償還までの残存期間に期中の利息の各支払日までの期間を加味してそれぞれの金額に応じて加重平均した期間の概念で、数値が大きいほど利回り変化に対する債券価格変化が大きくなります。
- 表示桁数未満を四捨五入しています。
- 東京海上・米国短期国債ファンドとフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドはマザーファンドベース。
- 東京海上・米国短期国債ファンドとeMAXIS Slim 先進国債券インデックス2023年9月末現在。フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは2023年8月末現在。