投資情報室

旬なテーマを深堀り♪ボリンジャーバンドからみる日経平均

2017年3月3日(金)
投資情報室 藤井明代

 3月2日の日経平均は19,564円(+171円)と3日続伸しました。注目されたトランプ米大統領の議会演説を無事通過したことで投資家に安心感が広がったほか、米国の早期利上げ観測が急速に強まったことで米長期金利上昇・ドル高円安が進行し、日本株式市場にもリスクオンムードが継続しました。しかし、1月4日につけた終値ベースの昨年来高値の19,594円にはあと一歩及ばすの水準で取引を終え、やや上値の重さが気になる展開となりました。他方、新興市場は底堅い推移を続け、マザーズは9日続伸、JQは15日続伸の記録を更新。JQは3月1日に節目の3000を回復し、連日で25年ぶりの高値を更新する強い動きを見せています。中小型株への資金流入が目立っていることからも、主力大型株には本格的な買いが入っていないことが読み取れます。

 現在の日経平均をボリンジャーバンドで確認すると、今年1月18日ごろからボリンジャーバンドがやや収束し、ほぼ横ばいで推移しています。下記チャート上の白線で囲ったように、日経平均も同時期からボックス圏内で推移していることがわかります。
 ボリンジャーバンドでは株価がボックス圏内にある場合にはバンド自体がサポート・レジスタンスラインとして機能する傾向が強いことから、上限ラインを上値メド、下限ラインを下値メドとしてみることができます。今回の場合でも3月2日に+2σにタッチしていることから、+2σの水準が1つの上値メドとなり、上値を抑えられている状態です。また、この水準は冒頭に示したとおり、昨年来高値の水準であるため、投資家の戻り待ち売りが出やすい価格帯ともいえます。そのため、上抜けするには今週から来週にかけて、戻り待ち売りを消化できるほどの好材料が必要になります。

【日経平均 日足ボリンジャーバンド】

日経平均 日足ボリンジャーバンド

  • kabuステーション、2017年3月2日終値データ

 今後は3日にイエレンFRB議長をはじめとするFRBの要人発言が相次ぎ、来週10日には米雇用統計の発表を控えています。特に米雇用統計は3月14日からのFOMCを前に、再利上げの有無を決定付ける経済指標となるため、重要視されます。どちらも大きな波乱なく金利上昇、ドル高が継続すれば、日経平均の一段高が期待できると思われます。チャート上では2ヶ月弱収束していたボリンジャーバンドが発散方向に向かい、トレンド転換できるかに注目です。2016年8~10月ごろにかけても、現在と似たボリンジャーバンドの収束とボックス圏での推移がみられました。その際は10月中旬頃にバンドが発散して上昇トレンドに転換し、+2σのバンドに沿って値動きをするバンドウォークを形成しています。今回も上値を抜ければ同様のバンドウォーク形成が期待されます。
 しかし、悪材料が出た場合にはバンドが横ばいに収斂したままボックス圏内にとどまる可能性があります。その際には、ボリンジャーバンドの-2σである18,824円辺りを下値メドとして意識しておきたいところです。
 まずはFOMCのブラックアウト期間を前に相次ぐFRB要人の発言にマーケットがどのように反応するか、そして国内では中小型株中心の物色動向が大型株主導にシフトできるかに注目です。



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藤井明代

藤井明代

auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト

東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。

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