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旬なテーマを深堀り♪ドル円相場の行方は?ユーロの動向にも注目(藤井明代)

(金)

上値の重いドル円、ユーロ高の影響も!?

20日までの日経平均は、2万円台を挟んだ膠着状態が継続しました。為替市場でのドル高・円安一服を背景に日経平均の上値は重く、2万円より上を積極的に追う動きは限定的となりました
ドル円相場は、先週末に発表された米6月消費者物価指数や小売売上高などの経済指標が予想を下回ったことからドル売りが進み、足元では1ドル111円台に押し返されています。

直近数ヶ月のドル円相場を確認すると、3月中旬から現在まで、約1ヶ月の周期で高値と安値を付け、規則性のある推移を辿っています(図1)。3月10日に1ドル115.50円の円安水準を付けた後は円高方向に押し戻され、4月17日に108円台、そして5月11日には114円台の円安、6月14日には再び108円台の円高とBOX圏での推移となっています。この値動きがしばらく続くと仮定すると、直近高値の1ドル114.49円が目先の高値となり、8月頃まではやや売り圧力が意識される可能性がありそうです。
次にチャートパターンをみると、4月17日の安値と6月14日の安値でダブルボトムを形状したものの、7月11日に114円半ばより上に進むことができず、円安転換のタイミングを逃しています。
現在のドル円相場は75日移動平均線を下値に持ちこたえている状況です。短期的には、75日移動平均線を維持できるか否かが注目ポイントとなりそうです。

【図1:ドル円 日足チャート】

ドル円日足チャート

  • 2017年7月21日11時現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成

ドルの上値が重い要因には、米国の金融政策を巡る思惑以外にも、ユーロ相場の動向が影響していることが考えられます。
図2に示す通り、足元のユーロドルの動きを確認すると、4月下旬に窓を空けてユーロが伸長して以降、急速にユーロ高が進行しています。4月下旬は仏大統領選第1回投票が行われ、マクロン氏とルペン氏が決選投票に進出したタイミングです。決選投票にこの2候補が進んだことで、欧州主義者であるマクロン氏が勝利するとの思惑から安心感が広がりました。これを主因として、為替市場ではユーロ高が進行。また、6月下旬からは欧州も金融政策正常化へ向けた転換が始まるとの思惑が広がり、これもユーロ高に拍車をかけました。ユーロドルは6月27日に大陽線をつけ、1.12台から1.13台まで急速にユーロ買いが進み、その後もユーロ高が継続しています。

【図2:ユーロドル 日足チャート】

ユーロドル日足チャート

  • 2017年7月21日11時現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成

このようにユーロが強含むとユーロドルでドル安が進み、その影響でドル円相場でもドル安が進む要因となります。これが、足元でドルの上値を抑える一因になっていると考えられます。そのため、しばらくはユーロ動向にも留意しながら、ドル円相場を追っていく必要がありそうです。



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藤井明代

旬なテーマを深堀り♪セキュリティ以外の次世代需要も!?進化する「顔認証」技術(藤井明代)

(木)

「顔認証」が羽田空港に導入、iPhoneへの搭載報道も

7月4日、法務省は顔認証システムを使った自動化ゲートを、10月にも羽田空港の帰国手続きで導入する方針を固めました。この報道を受け、翌営業日には法務省の実証実験に参加経緯のあるサクサHD(6675)が急動意。株式市場には顔認証の用途が広がるとの思惑から、時価総額の小さい関連銘柄も動意付く展開となりました。
また同日、複数の報道機関が米アップルの次期iPhoneで新たに3D顔認証が搭載されると報じました。アップルはTouch IDの代わりに顔認証を採用し、iPhoneのロック解除や決済・アプリ起動の認証などを行えるようにしてセキュリティシステムを改善する方針があることが分かりました。

顔認証は指紋認証などと比べ、3Dで立体的に照合することから偽造されにくく、利用者の受容においても抵抗感が小さいメリットがあります。またハンズフリーで照合できるため利便性も高く、障害を持つ方などにも利用しやすい特徴を持っています。
日本においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けて空港を含めたインフラ整備が急務となっています。空港での審査時間短縮以外にも、各種施設でのセキュリティ対策に顔認証や画像解析の活用が拡大することが想定されます。また、世界でテロが過激化していることから、公共安全への重要性が上昇しており、その対策としても今後大きな需要が見込まれそうです。

次世代マーケティングでも「顔認証」の活用が進む

顔認証技術は、防犯やテロといった物理的セキュリティ以外の分野にも活用が進んでいます。例えば、次世代マーケティングや決済サービスなどです。
次世代マーケティングでは、小売店前の通行量や顧客属性調査に加え、店内の密度・顧客導線・滞在時間・手に取った商品や検討している顧客の表情なども解析することが可能となります。また、接客時の笑顔度測定、デジタルサイネージでのターゲット広告など、身近なところで既に活用されています。
顔認証による決済サービスでは、昨年12月にNEC(6701)と三井住友フィナンシャルグループ(8316)、三井住友カードが共同で実証実験を開始しており、手ぶらで決済可能なサービスの商用化を目指しています。
その他にも、顔認証技術とAI(人工知能)を利用した内視鏡検査の画像を認識するシステムの開発が進んでいます。実用化されれば、医師の経験に左右されない高精度の検査が可能となります。

今後もAIやビックデータなどの様々な技術との融合で、より高度化されたセキュリティや次世代マーケティングに活用が広がっていくことが見込まれます。
以下に顔認証関連銘柄とその取組みの一部をご紹介いたします。


【主な顔認証関連銘柄】
コード 銘柄名 市場 時価総額
(百万円)
特徴・開示情報など
7751 キヤノン 1部 5,061,632 2015年にネットワークカメラの世界最大手のアクシスコミュニケーションズを約3300億円で買収。防犯・監視以外にも、マーケティング用途などの開発を進める。
6645 オムロン 1部 1,086,908 顔認証アプリケーションを提供。ロボットなどでの活用のほか、画像センシング技術は次世代のマーケティング調査などに利用される。
6701 NEC 1部 773,606 国内外で評価の高い顔認証システムを提供。米国政府機関主催のベンチマークテストでは連続で第1位獲得。法務省の日本人出帰国審査における顔認証技術に係る実証実験に参加。
6457 グローリー 1部 259,109 顔認証システムを提供。スーパーや書店、大型商業施設、病院、ホテルなど、多くの業態で採用されている。顔認証技術等のバイオメトリクス関連の研究にも積極的に取り組む。法務省の日本人出帰国審査における顔認証技術に係る実証実験に参加。
3653 モルフォ マザーズ 27,361 独自技術の顔検出・補正技術を持つソフトウェアを提供。
6675 サクサホールディングス 1部 14,239 顔認証ソリューションを提供。自治体などへの導入実績あり。
9758 ジャパンシステム JQS 13,938 法務省の日本人出帰国審査における顔認証技術に係る実証実験に参加。会社側からは「進展なく、業績への影響可能性は低い」との説明が報じられる。
6627 テラプローブ マザーズ 11,055 新規分野として、顔認証技術に注目。NEC社製顔認証エンジン採用し、製品開発を行う。
3905 データセクション マザーズ 8,597 ディープラーニングを活用した笑顔による顔認証サービスを開始。今後は、様々な感情を解析し、従業員の評価や顧客満⾜度の判定及び、不審者の判定などを実施する新たなサービスを展開する方針。
4814 ネクストウェア JQS 5,104 NEC社製の顔認証システムを利用した「顔認証ハンズフリー入館実証実験」を開始。顔認証がもたらすさまざまな可能性の実現に向け実験を行う。
  • 2017年7月13日終値データ、時価総額順
  • 各社WEBサイト、各種報道、会社四季報、Astra Managerなどを基にカブドットコム証券作成


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藤井明代

旬なテーマを深堀り♪日経平均は短期デットクロスを形成、今後は一目均衡表の雲に注目(藤井明代)

(金)

欧州発の金利上昇、日本株の物色にも変化

今週の日経平均株価は19,929.09円と、週間ベースで104円下落し、2万円の大台を割り込んで取引を終えました。国内の材料に乏しい中、北朝鮮を巡る地政学リスクが懸念されたほか、米国や欧州などで金融政策の正常化へ向けた動きが加速するとの懸念が重荷となりました。
特に、6月27日にECBの年次フォーラムでドラギ総裁が「すべての兆候はユーロ圏の景気回復の強まりと広がりを示している、デフレ圧力はリフレに変わった」と語った以降、欧州の金融緩和策縮小に対するマーケットの反応は過敏になっています。7月6日には、6月開催分のECB理事会の議事要旨を受けて、改めて金融政策の正常化へ向けた議論が進むとの観測が強まり、欧州国債利回りが軒並み上昇し、世界の金利上昇へ波及しました。

日本株式市場では、これまで相場をけん引してきた内需系銘柄が急速に売られ、金利上昇の恩恵を受けやすい保険・銀行株などが買い戻される動きが継続しました。
日経平均の日足チャートをみると、6月20日の高値20,318.11円を付けてからローソク足で陰線をつける日が多くなり、やや調整含みの動きとなっています。7月6日には5日移動平均線が25日移動平均線を上から下へ抜けるデットクロスを形成しました(図1)。加えて25日線は上昇後に下向きに転じ、ローソク足(株価)も両線を下回っている状態です。そのため、短期的な売りシグナルが点灯したと捉えることができます。

【図1:日経平均株価 日足チャート】

日経平均株価 日足チャート

  • 2017年7月7日現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成
日経平均テクニカル分析

次に日経平均の一目均衡表を確認します(図2)。一目均衡表では、7月6日にローソク足が相場の基準として判断する基準線を下回りました。また、遅行線もローソク足を下回ってきており、短期的に弱い相場に転換してきていると読み取ることができます。一方で、基準線はまだ上向きを維持していることから、売り転換と判断するには時期尚早かもしれません。

来週以降は、ローソク足とそのすぐ下に位置する雲(先行スパン1)の動きに注目しています。ローソク足は雲の上に位置する場合は上昇トレンドと捉えることができます。
この雲は抵抗帯ともいわれ、その雲が厚ければ厚いほど抵抗の強さを表します。雲は6月9日から12日にかけてねじれが発生してから、徐々に厚さを増しており、抵抗の強さも増しているとみることができます。
現在、先行スパン1は19,729.24円で推移しています。来週はこの値を下値メドとして反発し、短期的な上昇トレンドを継続できるかに注視したいところです。仮にローソク足が雲の中に入った場合には、雲の厚さゆえに雲を抜けられないもみ合い状態が継続することも考えられます。

ローソク足が雲の上を保てるか否か、これにより日経平均が2万円を維持できるかの方向性も左右していきそうです。

【図2:日経平均株価 一目均衡表(日足)】

図2:日経平均株価 一目均衡表(日足)

  • 2017年7月7日現在、kabuステーションよりカブドットコム証券作成


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藤井明代

旬なテーマを深堀り♪過去最低水準を脱した「日経VI」、静寂からの転換はみられるか(藤井明代)

(金)

足元で日経VIが急騰、今後は経済指標との睨み合い?

今週の日経平均株価は20,033.43円で取引を終え、週間ベースで約99円下落しました。
29日までの日経平均株価は終日2万円台を保ち、堅調な推移が続いていました。しかし、30日は前日の欧米株安や為替市場での円安一服を受けて大幅反落し、2万円台を割り込んでの推移がみられました。金融政策の正常化を進める米国以外にも、欧州や英国、カナダが金融緩和策を縮小するとの思惑が広がり、株式市場から資金が流出するとの警戒感が強まったことなどが要因です。

30日の日経平均株価が下落する一方、日経VI(ボラティリティー・インデックス)は+15.81%と急騰し、約1ヶ月ぶりの水準に上昇しました。
日経VIは日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数です。指数値が高いほど、投資家が今後、相場が大きく変動すると見込み、警戒感を強めていることを意味します。

足元の日経VIは9日に一時12ポイント台まで下落し、2010年11月に算出を開始して以来の過去最低を記録しました。また、その後もしばらく過去最低水準で推移していました(図1)。同時に、日経平均株価は日中値幅が100円に満たない低ボラティリティ相場(膠着相場)が続きました。


【図1:日経VIと日経平均株価の推移(日足)】

図1:日経VIと日経平均株価に推移

  • 2017年6月30日現在、Astra Managerを基にカブドットコム証券作成

足元で日経VIが超低水準で推移していたことから、大きな変動を想定しておらず、30日のように外部環境の懸念材料が広がると一転して急騰し、株式市場ではリスク回避の売りが加速しやすい状況にあったといえます。

次に、少し長い目で日経VIをみてみます。日経VIが算出を開始した2010年11月以降の推移では、15ポイントの水準に近づくか、15ポイント割り込むと急反発する傾向がみられています(図2)。


【図2:日経VIの推移(週足)】

図2:日経VIの推移(週足)

  • 日経VIが算出開始を開始した2010年11月からの週足チャート
  • 2017年6月30日現在、Astra Managerを基にカブドットコム証券作成

日経VIは投資家の心理状態を表すともいわれ、特徴として日経平均株価と逆相関する傾向があります。30日の日経VIは15.75で取引を終えていますが、その水準は依然低水準であることに変わりはありません。そのため、今後も日経VIの反発局面で同時に日経平均株価が調整局面を迎える可能性があるとみています。

30日の日経平均株価は反落となったものの、大引けにかけて下げ渋ったことから、これまでの地合いを崩すような大幅下落とはなっていません。市場には一先ず安心感が広がりましたが、来週からは名実ともに下期入りし、月初めの経済統計の発表を控えています。週初には国内で日銀短観、海外では米ISM製造業景況指数、7日には米雇用統計の発表などを控えおり、やや神経質な動きとなることが想定されます。
足元で過去最低水準を脱してきた日経VIが反発局面を見せるのか、来週は経済指標発表との睨み合いとなりそうです。



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