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旬なテーマを深堀り♪OPEC総会通過、日経平均は年初来高値を更新(藤井明代)

(金)

OPEC総会を無事通過し、日経平均は年初来高値を更新

 12月1日の日経平均は18,513.12円と終値ベースの年初来高値を更新しました。前日のOPEC総会で8年ぶりに減産で合意したことから原油の供給過剰解消が意識され、原油価格が大幅上昇。相場全体にリスクオンムードが広がり、為替市場でも円安が進行しました。年初からマーケットを大きく揺るがした原油相場に対する過度な警戒感が和らいだ格好です。そして、日経平均は年初の水準まで回復。世界景気減速を嫌気して下落した2月、そしてブレグジットを背景にリスクオフから大幅下落した6月の安値を底に、Wボトムからの回復を辿っています(図1)。

  【図1:2016年の日経平均株価の推移(日足)】

2016年の日経平均株価の推移(日足)

  • 2016年12月1日現在、kabuステーションを基に作成
期間騰落率から出遅れ業種を探る

 そんな中、今回は業種別株価騰落率から、今年ここまでの物色のトレンドと出遅れの業種を探っていきます。昨年末の終値から日経平均が今年最安値をつけた6月24日までの騰落率と、6月24日から直近までの戻り局面での騰落率、そして年初からの騰落率を追っていきます(図2)。
  まずは、年初から6月24日終値の期間騰落率に着目します。この期間の日経平均やTOPIXの下落率は-27~-28%となっています。年初は原油価格の大幅下落、世界の景気減速懸念に加え、6月24日にはブレグジットが現実になるなどマーケットに過度な警戒感が広がり、急速に円高が進行しました。昨年末120円台をつけていたドル円は、6月24日には98円台まで円が買われる局面がありました。また、国内でもマイナス金利導入が新たに決定しました。これに伴い、業種別騰落率でもマイナス金利導入で業績悪化懸念が広がった銀行業が-58%、保険業の下落率が-57%と高い下落率となりました。また、原油価格下落を背景に鉱業、円高進行を嫌気して輸送用機器、世界の景気減速懸念から海運業なども大きく値を崩しました。
 次に6月24日の安値から直近までの騰落率を見ると、前段で挙げた下落率の大きかった業種の上昇率の高さが目立ちます。保険や鉱業が30%超上昇したほか、銀行業も28%を超える上昇率となっています。しかし、年初から直近までの騰落率を見ると、銀行業は-13%の下落率となっています。トランプラリーの中で連日買い進まれたものの、日経平均やTOPIXと比較すると年初の水準には未だ戻りきれていません。そのため、今後も長期金利やドルの上昇基調が継続すれば、更なる上昇余地があると考えられます。一方、年初騰落率で下落率が大きい業種の中でも、原油価格上昇がデメリットとなる電気ガス・陸運・空運業などは、マーケット全体が回復基調の中でも、しばらくは厳しい値動きが予想されそうです。
 なお、その他製品については任天堂(7974)の大幅上昇の影響を大きく受けていることから、年初騰落率で良好なパフォーマンスとなっています。

【図2:業種別の期間騰落率】

業種別の期間騰落率

  • 2016年12月1日現在、Astra Managerより作成


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藤井明代

旬なテーマを深堀り♪日経平均7日続伸、週末はやや気迷いムードも(藤井明代)

(金)

強い上昇トレンドの中、テクニカルが示す気迷いムード

 11月25日の日経平均は47円高の18,381.22円と、7日続伸で取引を終えました。日経平均の7日続伸は2015年11月以来の連騰記録です。また、一時は1月4日につけた終値ベースの年初来高値18,450.98円を超える強い動きを見せました。日本株式市場でもトランプラリーが継続し、TOPIXも11日続伸と連騰記録を更新。為替市場でドル円は、約8ヶ月ぶりに1ドル113円までドル高円安が進行しました。

 連騰への警戒感が意識される中、今回は日経平均のチャートから現在の株価水準の確認と今後の注意点を探っていきます。まずは、直近の日足のローソク足に注目します(図1)。日経平均が6日続伸した11月24日には、上昇局面で上十字線をつけ、やや騰落の衰えを示すサインが出ています。また、7日続伸となった11月25日は十字線を描いてます。十字線は寄付き後に強弱の攻防があり、結局はスタート地点の水準まで戻して引けたもので、気迷いムードが漂っていることを示します。連続で十字線が出現していることから、ここまでの急ピッチな上昇への行き過ぎ感と、強い上昇基調に乗り遅れまいとの売り買い両者のせめぎ合いを感じます。上昇トレンドの中、買い一方の圧力だけではなく、やや上昇への疑念が生じている可能性があります。また、窓を空けて上放れた十字線は相場の転換期に出現する場合が多いため、目先の短期的な調整の可能性には留意したいところです。

  【図1:日経平均ローソク足(日足)】

日経平均ローソク足(日足)

  • 2016年11月25日現在、kabuステーションを基に作成

 11月10日のトランプラリー以降のローソク足にも注目します。10日以降、日経平均が下落したのは15日のみです。チャート上でも複数の窓を空けて上放れる推移となっており、上昇の強さを感じます。10日以降に空いた窓は3つです。最初の窓は11月15日から16日にかけての窓です。翌日はやや窓を埋めるような推移となりましたが、結局窓は埋まらず続伸となりました。2つ目の窓は17日から18日にかけて、そして3つめの窓は22日から祝日明けの24日にかけて空けた窓です。窓を空けるのは上昇への力が強いことを示し、上昇方向にさらに強く動くと言われます。
 しかし、複数の窓を空けて上昇を続けているのは、多くの参加者が同じ上昇方向へ相場を引っ張っているため、その後反転した場合には逆方向へ大きく動くリスクも意識されるようになります。また、空けた窓は埋めに行くといわれる、過去の習性も意識されやすくなります。そのため、反転を示すサインが表れた場合には、この窓が調整の目処になると考えることができます。

移動平均線乖離率は売られすぎを示唆するサインも

 直近のローソク足と窓空けの状況から、現在の日経平均は警戒感が生まれやすい状況に置かれていると思われます。また、移動平均線乖離率を確認すると、日足では25日移動平均乖離率が5%を超え、週足の26週平均線乖離率が10%を超えてきています(図2、3)。どちらも過去2年間では高い水準にあるため、株価が行き過ぎた可能性を示唆し、目先は過大な乖離率が修正される方向に動きやすい状況にあると捉えることができます。

 ここまでテクニカル的な留意点を探りましたが、来週は月末月初を挟んで経済指標発表や重要イベントが多く、投資家の売買を大きく左右する動きがみられる可能性があります。その結果次第では、日本株にさらなる追い風が吹く可能性もあります。テクニカル的なサインとともに重要イベントの行方を追い、相場の転換を見極めていく必要がありそうです。まずは、米国の7-9月期GDP改定値、11月ISM製造業景況指数、11月雇用統計、そして11月30日のOPEC総会が最重要イベントになると思われます。

【図2:日経平均25日移動平均乖離率の推移】

日経平均25日移動平均乖離率の推移

【図3:日経平均13週移動平均乖離率の推移】

日経平均13週移動平均乖離率の推移

  • 2016年11月25日現在、kabuステーションを基に作成


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藤井明代

旬なテーマを深堀り♪バリューグロース倍率急上昇、更なる上昇余地は?(藤井明代)

(木)

トランプ氏大統領勝利から1週間、バリュー株優位の展開に

 17日までの日経平均は、引き続きトランプラリーを背景に堅調な動きとなりました。為替市場ではドル買いが継続し、約5ヶ月半ぶりに1ドル109円台へドル高・円安が進行。また、米金利上昇を背景に日本の長期金利も急上昇し、10年債利回りは約2ヶ月ぶりにプラスに転じました。前回のレポート「幻のトランプショック、日本株の物色対象にも変化」で取り上げたように、米大統領選前とは物色対象が大きく変化し、年初から軟調に推移してきたバリュー株への物色が目立ちました。
 2015年からのTOPIXとTOPIXバリューインデックスおよびグロースインデックスの相対チャートを確認すると、2016年以降に市場平均(TOPIX)を大きく下回るパフォーマンスで推移していたバリュー株が直近は追随する動きをみせ、その差が縮小していることが分かります(図1)。

【図1:TOPIXとTOPIXバリュー・グロースインデックスの相対チャート(2015年~)】

図1:TOPIXとTOPIXバリュー・グロースインデックスの相対チャート(2015年~)

  • 2016年11月17日現在、2015年年初を100とした相対チャート
  • Astra Managerより作成

 次に、バリューインデックスをグロースインデックスで除して算出した、バリュー/グロース倍率を確認します(図2)。足元で倍率が急上昇し、バリュー株優位の展開であることが分かります。しかしこの倍率は、今年の6月~7月頃に既に底打ちを示し、夏ごろから上昇基調に転換しています。この背景には、7月29日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利据え置きや長期国債買い入れ増額が見送られ、長期金利が急上昇したことが挙げられます。日本の長期金利の値動きをバリュー/グロース倍率と重ねて確認すると、類似した推移を辿っていることが分かります。トランプラリーが始まる以前に、金利の底打ちを材料視したバリュー株への見直し買いが徐々に進行していたのです。そのため、今後についても金利の上昇が継続するかが物色対象を見分けるポイントになると考えられます。
 また、短期的には急上昇しているバリュー/グロース倍率ですが、2015年は平均0.95倍で推移しており、現在の0.92倍からはまだ上昇余地があると捉えることができます。短期的な急上昇への調整もみられそうですが、金利上昇局面では引き続きバリュー株優位に動く可能性がありそうです。

【図2:TOPIXバリュー/グロース倍率と長期金利の推移(2015年~)】

図2:TOPIXバリュー/グロース倍率と長期金利の推移(2015年~)

  • バリュー/グロース倍率 = TOPIXバリューインデックス ÷ TOPIXグロースインデックス
  • 2016年11月17日までのデータ
  • Astra Managerを基に作成
低PBR銘柄スクリーニング

 最後に長期金利上昇の継続、そしてバリュー株物色が継続する前提で物色対象となりそうな銘柄をスクリーニングしていきます。東証一部の中から、5期以上連続増益かつPBRが1倍以下の銘柄を、低PBR順にご紹介いたします。

【図3:低PBR銘柄スクリーニング】

図3:低PBR銘柄スクリーニング

  • スクリーニングによる低PBRの上位30銘柄
  • Astra Managerを基に作成


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藤井明代

旬なテーマを深堀り♪幻のトランプショック、日本株の物色対象にも変化(藤井明代)

(月)

トランプ氏が次期大統領へ、乱高下する日本株式市場

 世界のマーケットを大きく揺るがした米大統領選。想定外のトランプ氏の勝利に、日本株式市場も大きく翻弄されました。
 米大統領選の大勢が判明した日本時間11月9日、日経平均の寄付きは反発スタート。しかし、トランプ氏優勢との開票速報が伝わると株価は乱高下。午後にかけてトランプ氏の当選確率が急上昇すると、トランプショックに備えて先物主導で急速に売りが加速。為替市場でもドルが売られ、1ドル101円台まで円高が進行しました。リスク回避の動きを受けて、9日の日経平均は919円安と大幅に続落しました。
 しかし、同日の米国株式市場は256ドル高と大幅続伸。クリントン氏勝利で規制強化が懸念されていた金融やヘルスケア株に対する不透明感が払拭されたほか、トランプ氏が唱えてきた大型減税やインフラ投資、雇用創出などの政策に対する期待の高まりが相場を押し上げました。また、米債券価格は急落し、利回りが急上昇。為替市場ではドルが買われ、ドル高・円安が進行。これらの外部環境の好転を受けて、10日の日経平均は1,092円高と、9日の下落分を上回る上昇となりました。日本市場を翻弄した9日の「トランプショック」は幻になりました。

景気敏感株へ資金シフト、内需系は売りに押される展開

 トランプ氏に対する政策期待が高まった10日から11日の日本株式市場の物色対象をみると、保険や銀行などの金融株の上昇が顕著となりました(図1)。米国市場で金融株が大幅高した流れが波及したほか、トランプ氏の金融規制緩和を期待する向きが追い風となりました。一方、情報・通信や食料など内需系セクターは売りに押されています。為替や債券市場が大きく変動する中で景気敏感株へ資金が流れ、今まで堅調に推移していた内需系銘柄から資金を引き上げる動きが見られています。また、今年の年初からの業種別指数を比較すると、銀行や保険セクターは大きく出遅れており、割安感が出ていたタイミングであったことも上昇に弾みをつけたといえそうです(図2)。今後についても、短期的急騰の反動調整を挟みつつ、トランプラリーを背景に同様の流れが継続する可能性がありそうです。

【図1:11月10~11日の業種別騰落率ランキング】

図1:11月10~11日の業種別騰落率ランキング

【図2:年初からの業種別相対チャート】

図2:年初からの業種別相対チャート

  • 2016年11月11日現在、2016年年初を100とした相対チャート
  • Astra Managerより作成
日経平均の長期移動平均線が上向きに

 11日の日経平均は4月25日以来、約半年ぶりに17,600円台を回復する場面が見られました。引けにかけては利益確定売りも目立ち、伸び悩む動きとなりましたが、年初から下向きに推移していた200日移動平均線が横ばいからやや上向きに転じる動きを見せています(図3)。200日移動平均線は約1年間の値動きの平均を示しており、長期投資家がトレンドの目安にするといわれています。株価が移動平均線を上回っているかとともに、上向きに転じたかどうかも重要視されます。そのため、今週はこの移動平均線の上向きを維持できるかに注目です。
 需給面では、東証一部の売買代金が3日連続で3兆円を突破する商いをみせています。11日はSQのため商いが増加傾向にありましたが、今週以降もこの活況な商いを維持できるかがポイントになりそうです。引き続き活況となれば、相場全体の勢いも増す可能性が高まります。また、低迷気味であった証券セクターなどへの恩恵も意識されることになります。
 しばらくはトランプラリーの持続性を見極めるとともに、日経平均移動平均線の行方と東京市場の商い量にも注目したいところです。

【図3:日経平均と売買代金の推移】

図3:日経平均と売買代金の推移

  • 2016年11月11日現在、Astra Managerを基に作成


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