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売買審査システムの高度化、AML/CFT対応へ
~Technology for Regulatory Compliance~

2019年4月4日 [お知らせ]

カブドットコム証券株式会社(本社:東京都千代田区、代表執行役社長:齋藤正勝、以下「当社」)は、昨年8月、株式会社日立製作所の人工知能「Hitachi AI Technology/H」(以下「AT/H」)を売買審査管理システム(TIMS:株式会社DSB情報システム)に実装いたしました。運用を開始してから約8ヶ月が経ちましたので、これまでの売買審査におけるAI導入の成果についてお知らせします。さらに、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)として実施した売買審査システムの機能拡充についてもお知らせします。

売買審査管理システムへのAT/H実装により審査の高度化、効率化

当社では2018年8月、大量の虚偽注文により第三者の注文を誘引する相場操縦の形態である「見せ玉」の審査にAT/Hを導入しました。具体的には、売買審査システムによる一次抽出審査対象をAT/Hがスコアリング、そのスコアにより見せ玉形態ではない取引の判定を一部AT/Hに委ねる、つまり人手による審査を行わない取引形態(「白判定」)の見極めに利用しています。

導入開始してからAT/Hの「取引スコア」の精度検証を同時に進めている段階ではありますが、導入効果が明確に出てまいりましたのでお知らせいたします。

<従来の審査とAT/H適用後の審査の比較イメージ>

従来の審査とAT/H適用後の審査の比較イメージ

効果①: AT/Hの「白判定」により審査が効率化

売買審査システムが一次抽出した審査対象のうち「白判定」をAT/Hに委ねる閾値を慎重に見定めている段階ではありますが、現在、一次抽出の70%強をAT/Hの「白判定」に委ねられる段階まで進んでいます。これにより、審査時間が大きく短縮されており、従来の審査時間から現状では半分以下に短縮され、大幅な効率化が果たされています。

スコアリングモデルのメンテナンスを継続的に実施して行きますので、精度向上によりさらなる効率化が実現すると考えています。

<AT/Hによる白判定の割合推移>

AT/Hによる白判定の割合推移

効果②:スコアリングにより審査が高度化

AT/H導入前は、1次抽出された審査対象を人手により網羅的に審査を行っていましたが、AT/Hが見せ玉の疑義の強い順から0.9999~0.0001のスケールでスコアしますので、この「取引スコア」の高い順に審査を行うようになりました。これにより、疑義の高い取引に対して、より深度ある調査が可能になり、審査にメリハリが出て実効性も向上していると判断しています。

効果③:可視化により人材育成にも貢献

上述のような効率化、高度化への貢献に加えて、売買審査要員の育成にもAT/Hが、今後、一役を担うのではと考えています。売買審査の現場での課題は、審査スタッフ不足の解消と後継者の確保です。基本はOJTで時間をかけてベテランのノウハウを伝授していくこと等が必要ですが、AT/Hが算出した取引スコアと判定要因を学ぶことが審査要員育成の一助になるのではと考えています。

当社は引き続きスコアリングの精度向上を進め、他の相場操縦審査へ導入を進めて参ります。また、内部者取引やなりすまし審査等においても、順次AI導入の検討を進めており、売買審査全体の高度化及び審査の効率化を同時に達成することを目指して参ります。

売買審査管理システムを総合リスク管理システム(IT基盤)への機能拡大

当社では証券市場を経由するマネーロンダリング及びテロ資金供与対策(以下「AML/CFT」)において、従来の相場操縦等の売買審査データに加え、コンプライアンス管理情報(Know Your Customer:KYC)や各種データ(入出金・入出庫・IPアドレス・約定等)を売買審査システムに集約することで実効性のあるAML/CFT態勢構築、及びなりすまし検知に向けたシステム開発を進めて参りました。

2018年 4月 なりすまし検知に向け参考情報の拡充。
2018年12月 シナリオ調査「AML/CFT モニタリング」のシステム監視を開始し、膨大な取引データから異常値を検出。
2019年 1月 各種リスク項目(内部要因、外部要因、属性要因、現実リスク)、及びモニタリング結果を総合的に反映させリスクスコアを可視化する「AML/CFTリスク評価」の日次更新を開始し、モニタリング、Customer Due Diligence(CDD)/ Enhanced Due Diligence(EDD)調査のリスクベース・アプローチを実現。
2019年 3月 商品ごとのリスク評価等を評価項目に加え、現時点でのAML/CFTリスク評価が完成。

<総合リスク管理システム(IT基盤)>

総合リスク管理システム(IT基盤)

今後も、IT基盤を活用し、バックオフィス部門やフロント部門を加えたワークフロー化を果たし、全社を網羅する総合的なAML/CFTリスク管理が行える態勢を構築して参ります。

尚、上記リスク評価をベースとした「総合リスク管理システム」は、当社がノウハウを提供し株式会社DSB情報システムが開発したものですが、今後、リスク評価体制を構築する上でのノウハウの提供によるお手伝いも行って参ります。

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