国内証券初 売買審査業務への人工知能(AI)の導入について
2018年6月29日
カブドットコム証券株式会社は、8月(予定)より、相場操縦行為等の不公正取引の調査を行う売買審査業務において、国内証券会社で初めて(当社調べ)人工知能(AI)を導入することといたしましたのでお知らせします。
記
証券会社は金融市場におけるゲート・キーパーとして不公正取引の疑いのある取引を的確に見つけ、必要な注意喚起や規制などを速やかに実施することが必要とされています。また、金融市場の品質を守るため、売買審査の重要性を認識し、証券会社の段階で不公正取引の疑いのある取引を的確に見つけることがますます重要となってきています。そのため当社は、売買審査の高度化及び審査効率の向上を図る試みとして、国内証券会社で初めて(※)人工知能(AI)を導入することといたしました。
- ※日本取引所自主規制法人は、相場操縦行為などを調べる審査業務に人工知能技術を適用、利用を開始しています。
<実装イメージ>
<従来の審査とAI適用後の審査の比較イメージ>
人工知能(AI)には株式会社日立製作所の人工知能「Hitachi AI Technology/H」を採用し、過去に不正取引とみなされた事例を人工知能(AI)に学習させ、株価の動きなども含めた売買データをもとに不審な取引を抽出する実証実験を進めてきました。高い精度で不公正取引の可能性を検知できることが実証され、人手による要審査件数の大幅削減が可能となる人工知能(AI)活用の効果が確認できたことから、「売買審査管理システム(TIMS)」に人工知能(AI)が算出する「スコアリング(不正の可能性の点数)」を実装することといたしました。
なお導入当初は、大量の虚偽注文により第三者の注文を誘引する形態の相場操縦の「見せ玉」の審査に適用し、売買審査システムによる一次抽出データのうち人手による審査の必要のないデータの見極めに利用してまいります。売買審査担当者の知見を人工知能(AI)が学習し、スコアリングモデルの精度を高め、算出するスコアの閾値を徐々に引き上げることによって業務の効率化が推進され、審査の実効性が高まっていくことが見込まれます。また、見せ玉以外の形態の相場操縦審査への適用にとどまらず、人工知能(AI)を活用することによって、「内部者取引審査」及び「なりすまし審査」の売買審査業務全般への効率化・精緻化に取り組んでまいります。
なお売買審査業務への適用を含めた人工知能(AI)の活用については、7月2日開催の日経新聞社主催のセミナー「金融のAI化 最前線 ~規制に対応するRegTech~」で、紹介する予定です。
当社は、今後も人工知能(AI)をはじめとする最新のテクノロジーを駆使することにより、売買審査の高度化及び審査の効率化を同時に達成することを目指してまいります。