投信ビジネスのRPA化に取組む「ロボット投信」と協働し、 信託報酬実額シミュレーションツールを提供
~投資信託の“コストの見える化”を実現することでフィデューシャリー・デューティーの高度化を推進~
2017年7月28日
カブドットコム証券株式会社は、2017年9月上旬(予定)より、国内の金融機関では初めて(※当社調べ)となる、投資信託の信託報酬実額をシミュレーションできるツールの提供を開始いたします。
当社においては、投資信託のコスト透明化の一環として、2016年12月より信託報酬控除前トータルリターンの開示を行ってきましたが、この度、“金融の「読む、書く、話す」を自動化する”をミッションとするロボット投信株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:野口哲、以下「ロボット投信」)と協働し、パーセンテージではなく実額で示すことで、より実態に合った取引コストを明示いたします。
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ及び当社を含むその傘下子会社等を含めた企業グループ(以下、MUFGグループ)では、「資産運用分野におけるMUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針」を制定しています。当社における取組みとしては、資産運用分野におけるお客さま本位の商品説明・業務運営の一環として、2016年12月末より投資信託の投資家が負担するコストとして信託報酬を考慮したトータルリターンを配信し、より実態に合った運用パフォーマンスを明示いたしました。
一方で、2017年3月30日に開示された金融庁の説明資料では、個人投資家に対するアンケート調査を行った結果、投資信託を100万円購入した際に負担する信託報酬の額は、平均1万4千円(/年)程度であるのに対し、5千円(/年)以下との回答が6割弱を占めており、1千円(/年)以下との回答も4割弱という認識結果があります。
そこで、お客さまに商品を提供する金融機関として、このような情報の非対称性の解消に一石投じるべく、実額ベースで、保有期間における信託報酬の概算金額の算出を行えるツールの開発を、テクノロジーを活用した資産運用ビジネスの革新を積極的に展開するロボット投信と共に行う運びとなりました。
尚、ロボット投信とは、MUFGグループが設立した“MUFG Digitalアクセラレータ”の第二期(2017年3月~7月)に採択され、当社代表執行役社長の齋藤正勝がメンターとして協業の検討を進めてきた経緯があります。
当社では今後も、「顧客投資成績重視」の経営理念のもと、個人投資家の資産形成に適した銘柄選択、投資家利益の最大化を優先したサービス提供に資することで、フィデューシャリー・デューティーの高度化・徹底を推進してまいります。
信託報酬実額シミュレーションツールについて
投資信託の価格変動と信託報酬率から、簡略的に信託報酬額を算出するシミュレーションツールです。
シミュレーションにおいては、一定条件のもとに仮想ファンドを生成し、この仮想ファンドに対して、初期の投資金額および保有期間を選択することで、損益と信託報酬額を算出します。
仮想ファンドは、当社にて取扱い本数が多いカテゴリーをピックアップし、「信託報酬等が低い順」、「過去6か月のリターンが高い順」などの基準を用いて抽出したファンドの過去のパフォーマンスを参考に、ロボット投信が作成しています。簡略的な計算方法のため、あくまでも概算金額となります。実際の数値とは異なることにご留意ください。
<信託報酬実額シミュレーションツールによる計算結果のイメージ (200万円投資した場合)>
分配金の複利効果による影響を可視化
毎月分配型の投資信託は、決算の都度分配金が還元されるため純資産残高が目減りします。
長期の資産形成を考える上では、得た利益を再投資し、増加した投資元本が利益を生む “複利効果”が重要となります。いわゆる利息が利息を生む、投資信託の運用では保有口数が増えることにより運用資産が増え、それが繰り返されることにより資産が雪だるま式に増える原理です。例えば、100万円を5%の利回りで運用した場合、運用資産は約15年で倍になる計算ですが、単利で運用する場合には、同じ5%でも運用資産が倍になるまでに約20年の年月がかかります。
一部の投資信託では、定期的な分配金を重視するため投資元本の一部を払い戻す動きもありますが、目先の分配金に惑わされず長期的な観点で資産形成を行っていただけるよう、当社では、分配金の複利効果による影響を可視化するため、分配金と運用パフォーマンスの関係を示す「分配金シミュレーションツール」のご提供も予定しております。
<分配金シミュレーションのイメージ>
ロボット投信株式会社について
"金融の「読む、書く、話す」を自動化する"をミッションにして2016年5月に創業。投資信託をはじめとするアセットマネジメント分野において、以下の業務を展開。
- 事業内容:
- (1)RPA(Robotic Process Automation)ソリューションの提供
IVR(電話自動応答システム)、チャットボット等 - (2)資産運用サポート
ロボアドバイザー等 - (3)投資信託・インデックス・マクロ指標等の金融・経済データの提供
投資信託基準価額、各種インデックス等、およびそれを基にした分析データ
- (1)RPA(Robotic Process Automation)ソリューションの提供
所在地:東京都中央区日本橋茅場町1-6-16 KKビル5F
代表者:代表取締役社長 野口 哲
URL:https://robotfund.co.jp
金融リテラシーの向上が求められる時代
現在国内で提供されている金融商品は、投資信託だけでも約6,000本(公募株式追加型投資信託、2017年6月時点)が提供されていますが、「プロに任せると言っても種類が多すぎて選べない」、「銀行や証券会社の窓口で勧められるままに買ってしまった」、「毎月分配金を受け取っているが、投資元本が目減りしていて不安」、「毎月少額で積立を始めたいけど、どの商品が積立に向いているのか分からない」という方も多くいらっしゃるかと思います。
当社では投資信託やETF(上場投資信託)をはじめとする金融商品での運用について、FP(ファイナンシャルプランナー)や税理士などのお金の専門家が分かり易く解説する、オンライン投資教育カリキュラム「kabu.study(カブスタディ)」をご用意しております。当カリキュラムは、教育分野のプロフェッショナルであるベネッセ社監修のもと制作を行っており、1本当たりの動画を数分にまとめ、パソコンのみならずスマートフォンでの視聴も可能ですので、通勤時間などの隙間時間の有効活用で24時間いつでもどこでもご自身のペースで学習を進めていただけます。
金融商品への投資は「知らない」ことがリスクです。商品性や仕組みをきちんと理解し、不安を解消したうえでご自身に合ったスタイルで資産運用を行いましょう。
Fintechで求められる金融機関の実践として
当社では、1999年の創業以来「金融のIT化」をその起業理念の一つに据え、技術主導によるリスク管理の追求と顧客満足度の向上に注力して参りました。2017年4月にはFintech領域における先端研究・事業開発をより促進するため「イノベーション推進部」を新設し、今日までの経験とノウハウを踏み台として、次世代金融サービスへの挑戦と同時に、これまで以上に顧客志向で利便性が高いサービスの提供と拡充を目指してまいります。
また、MUFGグループが2015年に設立した邦銀初のスタートアップアクセラレータ・プログラム「MUFG Digitalアクセラレータ」選出企業をはじめとするFintech領域におけるスタートアップ企業との協業展開を推進し、Fintechを通じた金融サービスの発展に貢献してまいります。
(参考)Fintech領域におけるスタートアップ企業との取組み実績
- 2016年4月8日FintechベンチャーFinatext社とビッグデータ領域における協業開始
- 2016年10月5日 リアルタイムの消費財動向を「kabuステーション®」にてニュース配信開始
- 2016年10月17日イスラエル発のフィンテックスタートアップZEROBILLBANKと協働し、ジオフェンシング技術とブロックチェーンを活用した企業コイン「OOIRI」を導入
- 2017年4月6日 画像認識AIと並列ベクトル計算による超高速リアルタイム処理を活用したチャートツール「AlpacaSearch for kabu.com」の提供を開始
- 2017年7月14日 決算短信を高速で自動分析するレポートサービス「xenoFlash for kabu.com」の提供を開始
【参考資料】当社における投資信託のコスト見える化の取組みについて
業界初!投資信託の情報サービスとして「信託報酬控除前トータルリターン」を配信(2016年12月より提供)
http://kabu.com/company/pressrelease/2016/1024_001.html
<信託報酬控除前・控除後トータルリターン比較チャート>
- ※信託報酬(実質)は、モーニングスター株式会社にて目論見書をベースに計算しています。
- ※信託報酬(名目)に監査報酬や投資先ファンドの信託報酬などを開示ベースで具体的な数値として集計可能な範囲で算出しています。具体的な数値として集計が可能でないファンドの場合、信託報酬(名目)と信託報酬(実質)は同数値となります。
【参考資料】投資信託の信託報酬に関する認知状況等
以下、金融庁「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」(第2回)議事次第 配布資料 資料3 「事務局説明資料」(2017年3月30日)より、カブドットコム証券作成。
投資信託の信託報酬に関する認知(個人投資家に対するアンケート調査)
現に投資信託を保有している個人投資家に、投資信託の信託報酬についての認識を尋ねたもの。
投資信託を100万円購入した際に負担する信託報酬の額は、一般的には何円程度かを尋ねたところ投資信託の信託報酬の平均は年に1万4千円程度であるのに対し、5千円以下との回答が6割弱、1千円以下との回答も4割弱。
- (注)投資信託を保有している4,000人に対し、投資信託についてのアンケート調査を行ったもの
日米の公募投信のコスト比較
日米の規模の大きい公募投資信託のコストを比較すると、日本の投信は、米国のものに比べ、1本当たりの販売手数料・信託報酬ともに高い状況。
- (注1)16年3月末基準。ETF、確定拠出年金専用、機関投資家専用は除く。米国投信純資産額は1ドル=112.43円にて換算。
- (注2)日本の販売手数料は上限。米国投信でシェアクラスによって手数料が異なる場合は、各クラスの残高を基に加重平均。
- (注3)米国の信託報酬は、代表的なシェアクラスのもの。
- (注4)収益率は、販売手数料を加味し、分配金を再投資しないベースで算出。
- 出典:QUICK(日本)、運用会社公表資料(米国)より、金融庁作成
信託報酬とリターンの関係
日本の国内株式へ投資するアクティブ運用投信の信託報酬とリターンを見ると、信託報酬の高いものはリターンのバラツキが大きい(リターンが高かったものもあるが、マイナスであったものの割合も高くなる)。
- (注1)10年以上存続している国内株式へ投資するアクティブ運用投信(確定拠出年金専用は除く。281本)について調べたもの。
- (注2)信託報酬には、ファンドオブファンズの場合、投資先ファンドの信託報酬を含む。
- (注3)日経225ETFの信託報酬(税抜き、年率)は0.22%で、同じ条件で比較した場合の年率リターン(過去10年間、信託報酬控除後)は2.76%。
- 出典:QUICK、Bloombergのデータ(2016年11月末時点)より、金融庁作成