3月期本決算企業の決算発表が一巡しました。
ひとことで言えば、前22年3月期実績は資源価格の上昇で恩恵を受けた商社や海運などがけん引する格好で絶好調ながら、23年3月期予想は資源価格の一服や、資材高騰などでのコスト増要因もあり急速に鈍化する見通しです。
日本経済新聞社によれば、22年3月期のプライム市場上場企業の全産業の純利益は前期比36%増となり、4年ぶりの最高益だったとのことです。
一方今期は3%増にとどまる見込みです。
日経が今期黒字を見込むソフトバンクグループを除くと5%減益予想。
株価は業績の先行きを織り込むので、数字を見ると、今年度の株価の上昇は見込みにくい感覚になります。ただ、そうともいえません。
日経平均は昨年9月高値3万795円(取引時間中ベース)から今年3月安値2万4681円までに約2割の下落を記録しています。
この間、インフレによる米金利上昇、資源価格の高騰、ウクライナ情勢悪化などの悪材料を警戒し、23年3月期の業績が相当程度厳しいことを織り込んできました。
日経予想は基本的には会社予想の積上げとなっています。
慎重な予想でも5%減にとどまるという見方もできそうです。
また、会社側予想は上期が厳しく、下期回復シナリオが想定されています。
年度後半からの回復であれば、買い余地は大きいともいえそうです。
とはいえ、こうした中でも2ケタの営業増益見通しなど全体平均よりも好調な企業も多数存在します。
今回は好業績銘柄、ないしは業績の急回復銘柄をピックアップします。
半導体
SCREENホールディングス(7735)
半導体製造装置の大手で、ウエハ洗浄装置では圧倒的な世界首位。
一度にたくさん洗う「バッヂ式」に対して、同社は1枚ずつ丁寧に洗う「枚葉式」でも強みを有している。
23年3月期は売上高4600億円(前期比12%増)、営業利益745億円(同22%増)を計画している。
年間配当金は322円(前期は293円)とする方針。
ファウンドリー(製造受託業者)、ロジック(演算)を中心に設備需要は強含んでいる。
EUV(極端紫外線)露光など微細化進展で、対応する先端の枚葉式(1枚ずつ丁寧に洗う)洗浄装置ニーズが高まっていることが背景。
新工場を23年1月に稼働予定。
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フェローテック(6890)
半導体ウエハや半導体設備向け部品を製造。
中でも、真空シールでは世界シェア6割とトップを誇る。
真空シールは磁性流体を利用し、真空雰囲気内への回転導入機としての役割を担う。
主に半導体ウエハのエッチング(表面加工)や成膜工程、FPD(薄型パネル)の回転機構部に導入され、密閉空間を外部から遮断してゴミやチリの侵入を防ぐ。
23年3月期は売上高1800億円(前期比35%増)、営業利益300億円(同33%増)を計画している。
配当は前期比20円増配の70円とする方針だ。
営業利益は前期に前年比2.3倍の226億円だった。世界的な通信量の増大に伴いデータセンター、PCなどの需要増加が続いており、半導体デバイスメーカーや素材メーカーによる新たな製造拠点づくりなど増産体制が進み、同社の真空シールや各種製造装置向け加工製品が伸びている。
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ハイテク
ダイフク(6383)
保管・搬送システムで世界首位級。自動車の生産工程を自動化するマテハンに強みがある。
アパレルの在庫を管理する立体自動倉庫にも展開している。
23年3月期の売上高5650億円(前期比10%増)、営業利益は565億円(同12%増)となる見通し。
営業利益は前期に約503億円(前年比13%増)だった。
今期の配当は前期比15円増配の105円とする方針。
ネット通販や半導体工場などの物流拠点での自動化投資が旺盛。
搬送機器の引き合いが活発となっている。空港向けの手荷物自動搬送設備需要も根強い。
24年3月期までの中期経営計画の売上高目標を従来の5400億円から6000億円に上方修正している。
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オリンパス(7733)
光学機器メーカーの大手。消化器内視鏡で世界シェア7割を誇る。
23年3月期の売上高9680億円(前期比11%増)、営業利益は2060億円(同34%増)を計画している。
前期の営業利益は約1499億(前年比95%増)とだった。
次世代の内視鏡システム「EVIS X1」(イーヴィス エックスワン)が前期に引き続き拡大することなどが主因。
欧州や日本、アジアの一部地域で投入済みだが、米国では23年3月に導入。
中国でも導入準備を始めているという。
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日本特殊陶業(5334)
自動車用プラグ、排気センサーで世界トップシェア。
セラミックが半導体製造装置向けなどに拡大している。
23年3月期は売上高5705億円(前期比16%増)、営業利益960億円(同27%増)を計画している。
年間配当は前期比36円増配の138円とする方針。
プラグでは自動車生産の第2四半期からの生産回復などが貢献。
原材料高を受けて前期に引き続き値上げも実施する。
セラミックは半導体市場の引き合いが引き続き強く、部門の営業利益は152億円(同2.5倍)にまで拡大する見込み。
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内需
三越伊勢丹(3099)
国内最大の百貨店グループ。
三越と伊勢丹が2008年に経営統合して発足。
新型コロナで苦戦した21年3月期は210億円の営業赤字だったが、前期に59億4000万円の黒字に転換。
23年3月期の営業利益は前期比約2.4倍の140億円になる見通し。
配当も前期比2円増配の年12円の方針。顧客回帰の動きが本格化の見通し。
今期に入って最初となる4月の月次売上高速報によると、国内百貨店合計で前年同月比20.2%増となった。
全国でコロナでの行動制限が解除され、外出機会の増加や消費意欲が改善。付加価値の高いブランド品の時計、宝飾品やハンドバッグなどが拡大している。
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ラウンドワン(4680)
ボーリング、ゲーム、カラオケの複合店を展開する娯楽サービスの大手。
時間制のスポーツ施設も運営。新型コロナ感染で客離れとなった21年3月期は約193億円の営業赤字となったが、前期は53億6000万円の黒字に転換。
既存店の売上高が回復するなどから23年3月期は134億円(前期比2.5倍)に拡大する見通し。コロナ影響前である19年3月期の114億4300万円を上回る計画となっている。
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