2月のロシアのウクライナ侵攻という地政学リスクの発生以降、米国を始めとした主要国ではサイバーセキュリティ対策を強化する動きが出ています。
米国では国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)が、他国によるサイバー攻撃への備えと影響の軽減を目的とした技術ガイダンスをウェブページ上に掲載しています。
ウクライナについては侵攻前の1月に、サイバー攻撃により政府機関で多数のシステムが使用不能になったとも報じられていました。米政府はこれを受けて防御を強化することを呼び掛けたということです。
米証券取引委員会(SEC)は3月に、上場企業のサイバーセキュリティに関する新しい開示ルールを提案しました。
サイバー攻撃を受けた企業は発覚後速やかに情報を開示することや、年次報告書にはリスク管理方針や専門知識を持つ取締役メンバーの有無などの記載を求めるということです。
60日間の意見公募期間を経て、最終規則をまとめる方針です。
背景にはウクライナ侵攻で欧米諸国がロシアに厳しい制裁を科しており、サーバー空間などを狙った報復攻撃の危険性の高まりなどが指摘されています。
米メタ(旧フェイスブック)が今年4月7日に公表した「脅威リポート」(四半期ごとの公表)ではロシア軍によるウクライナ侵攻の直前に、ロシアやベラルーシ政府に関するとみられるグループによるサイバー空間でのスパイ活動や世論工作が活発になったことが分かったということです。
外資系の通信社電によれば、大手調査会社調査による世界のサーバーセキュリティ向けの支出は2020年から2024年にかけて年率9.4%で増加する見通しとしています。
主要国政府などの対策強化の動きや、企業サイドもリスクに対応するための投資を増加させることが予想され、試算を上回る伸びになる可能性もありそうです。
アナリストは「サプライチェーン(供給網)のグローバル化により、1社へのサイバー攻撃の影響が他の企業や産業に波及するリスクが高くなっている」と指摘します。
そこで今回は、中長期的にも業績の拡大が期待されるサイバーセキュリティ関連銘柄を取り上げます。
米国サイバーセキュリティ関連7銘柄
サイバーセキュリティ製品・サービス企業。クラウドベースのエンドポイント(端末など)セキュリティを提供しています。
具体的には顧客のエンドポイントにおいてアンチウイルス・ファイアウォール・デバイスコントロールなどのセキュリティ製品などを供給しています。
CISAから受注を獲得するなど政府機関からの需要も拡大しているということです。
インターネットセキュリティ企業。ITセキュリティの多様なソフトウェア、ハードウェア製品の開発、販売などに展開しています。
ファイアウォールの基盤技術を開発したパイオニアです。
ネットワーク用セキュリティ・ソリューションのプロバイダー。世界150か国以上に展開するグローバル企業です。
アプリケーション、ユーザー、コンテンツの総合的な可視化を実現するファイアウォールを提供しています。
ネットワーク用セキュリティ・ソリューションのプロバイダー。ネットワーク用のセキュリティ機器やソフトウェアを提供しています。
同社のシステムはファイアウォール、ウイルス対策、不正侵入防御、スパム対策などを含む幅広いセキュリティ技術を統合したものです。
企業向けにデータ解析プラットフォームを提供しています。
ITシステムから生成されるマシンデータを収集し、分析・収集、インデックス化、検索などのログ(履歴)管理に特徴があります。