再生エネルギーを水素で貯蔵?Power To Gas(P2G)関連銘柄 再生エネルギーを水素で貯蔵?Power To Gas(P2G)関連銘柄

再生エネルギーを水素で貯蔵?Power To Gas(P2G)関連銘柄

日本は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを実現すると宣言しています。
それには再生エネルギーの普及が欠かせません。
こうした中で、「Power To Gas」(パワー・ツー・ガス=P2G)が脱炭素のキーワードとして浮上しています。
風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーは、天候や風の量などによって、発電量が大きく左右されます。
足りないときにはその他の電力で補うか、蓄電池からの放電で賄いますが、余った電力については、従来は蓄電しない限りは無駄になっていました。
再生エネルギーの余剰電力を気体燃料に変換して貯蔵するのがP2Gという方法です。
具体的には現在、水素に変換して貯蔵する技術が進んでいます。

山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東光高岳は今年6月に甲府市の電力貯蔵研究サイトにおいて、P2Gシステムの試運転を開始しました。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として、共同で進めてきた、再生可能エネルギーの電力でグリーン水素を製造し、化石燃料の利用を低減することを目的としたプロジェクト「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ(H2-YES=エイチ・ツー・イエス)」のによるものです。
今回のP2Gシステムは、水の電気分解から水素を製造する技術です。
特にH2-YESではメガソーラーの変動する電力と、大型の固体高分子型水電解装置により、水道水から水素を取り出し、水素吸蔵合金システムに水素を超増するなど、安全・安心にクリーン水素を利用できるシステムを構築したとのことです。。
水素の製造および貯蔵の試験調整を行いつつ、山梨県内の工場やスーパーマーケットへ水素を輸送し利用する一貫したシステムとして、社会実証試験を実施しています。
今年9月1日にはさらに加速させるための新たな協議会を設立しました。
山梨県、東レ、東京電力HDのほか、日立造船、加地テック、三浦工業、ニチコン、シーメンス・エナジー(非上場)がH2-YESを構成します。
今回の事業では25年度までの5年間で、水電解装置の大型化・モジュール(複合部品)化に向けた設備設計や各種試験を行います。
また、複数個所において、モジュール化したP2Gシステムを16MW規模で導入し、大規模需要家におけるボイラーなどによる化石燃料の利用を水素エネルギーに転換する実証も計画。
より現実的な運用を目指しています。

海外では20年7月に、サウジアラビアのスマートシティのサイトに、米やサウジアラビア企業3社が世界最大となる4GWの再生可能エネルギーから電力を使うP2Gプロジェクトを建設・運営するプロジェクト建設・運営する契約を締結したと発表。
世界的にも商用化に向けた動きが広がりつつあるようです。
日本でもP2Gの実用化に向けて動き出しており、関連銘柄にも関心が向かう可能性がありそうです。

関連銘柄紹介

東レ(3402)
実証実験では同社が開発した「炭化水素系電解質膜」を実装した高効率大型水電解装置を担い、グリーン水素サプライチェーンの構築に貢献する。
中期経営計画ではグリーンイノベーション事業を拡大させる方針。

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東京電力HD(9501)
実証実験では再生可能エネルギー由来の電力も利用できる「水の電気分解による水素の製造」から「工場などの顧客が熱エネルギーや産業用ガスとして水素を利用する」までのサプライチェーンでサービスを提供する。

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日立造船(7004)
再生可能エネルギーをグリーン水素へ転換する水電解装置の大型化・モジュール化の開発に取り組む。
また、同社は水を電気分解してクリーンで高純度の水素ガスを発生供給するオンサイト型水素発生装置である「ハイドロスプリング」を手掛けている。

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加地テック(6391)
実証事業では水素圧縮装置で培ってきた技術の知見を活かして、P2Gシステムで製造するグリーン水素の価値を向上させるシステムの開発に取り組む。

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三浦工業(6005)
実証事業では再生可能エネルギー由来のグリーン水素を活用した高効率な蒸気ボイラーを開発する。

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ニチコン(6996)
実証事業では水電解装置に最適な電力変換器の開発を進める。

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東光高岳(6617)
試運転では電力ネットワーク関連を担当しているとみられる。

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当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。

和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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