空飛ぶクルマの実用化が近づいてきています。
空飛ぶクルマとはその名の通り、ヒトやモノを載せて垂直に離着陸し空を飛ぶ自動車のことです。
電動の機体で垂直に離着陸するため、滑走路が不要かつ騒音も少なくできます。
排気ガスも出ません。
また、小型で軽量なのでヘリコプターよりも離着陸できる場所の範囲も広がるなどの利点があります。
世界ではベンチャー企業や大企業までの様々なプレーヤーが、人を乗せて移動ができる「空飛ぶクルマ」プロジェクトを立ち上げ、研究開発や実証事業を進めています。
日本でも国土交通省や経済産業省が軸となり2018年に「空の移動革命に向けた官民協議会」を設立しました。
設立の趣旨について当時の発表資料では「短中距離を自動で飛行して、安全かつ安価にヒトやモノを移動させられる機体やサービスが実現すれば、例えば、都市部での移動に係る時間の短縮、離島や山間部での移動の利便性の向上、災害時の救急搬送や物質輸送の迅速化など、新しいサービスの展開や各地での課題の解決につながることが期待される」などとしています。
ロードマップでは19年から試験飛行や実証実験を開始し、20年半ばに事業をスタートさせ、2030年代に実用化の拡大を目指すとしていました。
ここにきて具体的な実用化計画が浮上しています。
政府は21年12月に2025年国際博覧会(大阪・関西万博)で各省庁が取り組む項目や実現目標のスケジュールを記した「アクションプラン」をまとめましたが、ここに空飛ぶクルマも組入れられています。
それによると21年度より国交省が試験飛行のガイドラインや機体の安全基準などを順次作成し、経産省が主導し23年度以降に実証実験を行います。
そのうえで、大阪・関西万博で会場周辺の遊覧飛行や、会場と大阪市内のベイエリアなどを結ぶ交通手段としてデモンストレーションを目指すということです。
これに先立ち、大阪府は21年8月に「空飛ぶクルマの実現に向けた実証実験」として5件のプロジェクトを採択し、補助金を交付しました。
政府では、万博後、2020年代後半には過疎地や離島、地方都市間での2地点間の輸送を可能にし、30年代には緊急医療での医師派遣や、後半には患者の搬送も視野に入るとしています。
空飛ぶクルマの登場が、待たれるところです。
空飛ぶクルマ関連6銘柄
「空飛ぶクルマ」の関連企業をピックアップします。
トヨタ自動車(7203)
4人乗りの大型eVTOL(イー・ブイ・トール=電動垂直離着陸航空機)を手掛ける米ジョビー・アビエーションに430億円を出資。
設計、素材、電動化の技術開発や、トヨタ生産方式のノウハウを提供。
安全性技術、量産化でも協力するとのことです。
ジョビーのeVTOLは最大飛行距離150マイル(240km)超、最高速度約320km/毎時で、5人乗り仕様だそうです。
国内空飛ぶクルマ開発のスカイドライブの福澤社長はトヨタの出身。
ジョビーの製のプロトタイプ機が今年2月17日に事故との発表。
負傷者はいませんでした。
ANAHDとジョビーがeVTOLを活用した日本における新たな運航事業の共同検討に関する覚書を2月15日に締結。
地上交通連携などでトヨタも参加。
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ANAホールディングス(9202)
大阪府の実証実験に「大阪市内の中心部における空飛ぶクルマの離着陸場利活用に向けた可能性調査」事業が採択。
この採択に基づき、21年11月にオリックス(8581)などと、ヘリコプターを用いて、空飛ぶクルマとの騒音比較、移動時間の比較検証などの実証実験を実施。
機体の音データはスカイドライブが提供。
同社とジョビーがeVTOLを活用した日本における新たな運航事業の共同検討に関する覚書を2月15日に締結。
トヨタも参加。
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日本航空(9201)
大阪府の実証実験で「顧客期待などの社会受容性の向上/運用性の向上/機体輸送性の調査」事業が採択。
25年度の輸送サービス開始に向けて三重県とビジネスモデルや飛行ルートを検証との報道。
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三井物産(8031)
大阪府の空飛ぶクルマに向けた実証実験では「エアモビリティ総合運航管理プラットフォーム事業」で補助金交付を受けました。
22年2月には航空宇宙開発機構(JAXA)などと、空飛ぶクルマやドローンなど複数の機体を一元的に管理する新たな運航管理システムの実証実験を大阪府内で実施。
24年度中の実用化を目指すとの報道。
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伊藤忠商事(8001)
空飛ぶクルマでの開発・製造などで先行するスカイドライブに、グループ企業とともに出資。
スカイドライブは大阪府の実証実験に「大阪港ベイエリアにおける、空飛ぶクルマにおけるエアタクシー事業性調査」事業で採択。
20年8月に有人飛行試験を公開。
21年10月に国交省が型式証明申請を受理。
これは日本初とのことです。
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ヤマトホールディングス(9064)
2019年8月に米国テキサス州で米ベル社と、ベル社が開発した自律運航型ポッド輸送機と、ヤマトが開発した貨物空輸ポッドユニットで「空飛ぶトラック」の機能実証実験に成功したと発表しました。
貨物eVTOLシステム用い、20年代前半のサービス導入を目指すとしています。
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