トヨタEV説明会で注目集まる!?全固体電池関連6銘柄! トヨタEV説明会で注目集まる!?全固体電池関連6銘柄!

トヨタEV説明会で注目集まる!?全固体電池関連6銘柄!

電気自動車(EV)の次世代技術として本命視される全固体電池の実用化への動きが本格化し始めています。
全固体電池は現在主流のリチウムイオン電池の電解液の代わりに固体の電解質を使います。
固体にすることで発火などのリスクを低減し、電池容量を示すエネルギー密度が格段に向上するため、充電時間が短くなる利点があります。

12月14日にトヨタ自動車(7203)がバッテリーEVに関する説明会を開催しました。
その中で最上級ブランドのレクサスについて2030年までにEVを世界で100万台の販売を計画し、「全固体電池の搭載も視野に入れている」と明言しました。

全固体電池は以下のような特徴が挙げられます。
(1)1つ1つのセルを包むケースが不要となり、直接積層できる
(2)優れた高温耐性により、冷却システムが不要になる
(3)高電圧でも使用できる

リチウムイオン電池に比べ、電池や周辺の機器を小型化・大容量化しやすい点もポイントです。
EVの航続距離が従来の2倍となり、充電は数分間でできる可能性があるとの見方もあります。
また、リチウムイオン電池が高温(セ氏70℃以上)や低温(-30℃以下)では出力が低下するのに対し、全固体電池は出力低下が少ないというメリットもあります。
液体を使わないため、短時間に大容量の電気を流しても、リチウムイオン電池のように発熱・沸騰(あるいは爆発)という危険がありません。液漏れの心配もないのです。
また、寿命についても大幅に長くなります。
リチウムイオン電池のEVは中古車価格が大幅に下がる傾向がありますが、これは電池の劣化が大きな理由でした。
そして何より、全固体電池は日本が技術で先行しているとみられています。

全固体電池関連6銘柄

21年に入って新たに動きが出ている主な関連銘柄は以下の通りです。

トヨタ自動車(7203)

21年9月7日に「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」を開催。
20年6月に全固体電池を搭載した試作車を製作し、走行データを取得できる段階に来たと公表しました。
同年8月にはこのデータをもとにクルマのナンバーを取得し、試験走行を実施中。
まず、HEV(ハイブリッド)向けに実用化を急いでいます。
12月の説明会では、レクサスのEVに全固体電池の搭載を検討と表明しました。
2017年の東京モーターショーで、トヨタのルロア副社長(当時)は「全固体電池で(EVの)ゲームチェンジャーになる。保有特許数はトップ。2020年代前半に実用化する」と宣言していました

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ジーエス・ユアサコーポレーション(6674)

21年11月18日に、全固体電池を実用化するためのキーマテリアルである硫化物固体電解質のイオン電導度とともに、耐水性も高めた窒素含有硫化物固体電解質の開発に成功したと発表しています。
全固体電池に使われる電解質は酸化物系と硫化物系があり、高いイオン電導度を有している硫化物系が大型電池に適しています。
ただ、硫化物系には水と反応し、人体に有害な硫化水素を発生するという問題がありました。
同社では硫化物と組み合わせる最適な材料(窒化物およびハロゲン化物)を効率的に選定することで、高いイオン電導率と優れた耐水性を兼ね備えた窒素含有硫化物固体電解質の合成に成功したそうです。
イオン電導率は従来品の2倍以上に向上、耐水性は40倍以上になったということです。
さらに改良し、全固体電池を2020年代に実用化することを目指すとしている。

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日本電気硝子(5214)

21年11月18日に、世界で初めてオール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池を開発したと発表。
結晶化ガラスを用いた負極材の開発を行い、結晶化ガラス正極、固体電解質と一体化したオール酸化物全固体Na電池の駆動に成功しました。
出力電圧が3Ⅴで、現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性を有しているということです。
資源量が豊富なナトリウムや鉄を材料としており、レアメタルであるリチウムやコバルト、ニッケルなどを全く必要としていません。
また、安定な物質である酸化物材料で構成され、発火や有害ガスの発生もないとしています。
同社では製品化に向けた取り組みを加速するとしています。

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日産自動車(7201)

21年11月末に発表した長期ビジョンで、2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを市場投入することを目指し、24年度までに横浜工場内にパイロット生産ラインを導入することを明らかにしました。
充電時間を従来のものに比べて3分の1に短縮します。
全固体電池のコストは1キロワット・アワー(kWh)あたり75ドル。
その後、EVとガソリン車のコストを同等レベルにするため、同65ドルまで低減することを目指します。

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大阪ソーダ(4046)

同社と山形大学、次世代電池の試作開発などを手掛けるBIH(山形県・米沢市)は21年12月2日、大阪ソーダの特殊ポリエーテルを用いたゲル状電解質により高い安全性を示す半固体電池を開発したと発表しました。
液体の電解液では発火や液漏れのリスクがあるが、半固体電池ではクギを刺しても膨張や発火しないことを確認したということです。
安全性に加え、充放電サイクル数の増加や充電時間の短縮といった高い電池性能も両立したとしています。
当初はスマホ向けとして世界初の商品化を目指しますが、将来的には車載向けの大型化実現を視野に入れています。

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日立造船(7004)

21年3月に容量が従来品に比べ約7倍という世界最大級の全固体電池を開発したと発表しています。
既に試作品の少量生産を開始しているとのこと。
当初は人工衛星などの用途が見込まれます。
将来的には自動車向けも視野に入ります。

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当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。

和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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