23年3月期の第1四半期(4~6月)決算発表が一巡しました。
大手調査機関によればプライム上場企業の同期間の営業利益は前年同期比7%増だったそうです。
決算発表前には原材料高や、物流費の高騰、供給網の停滞など懸念材料ばかりだったことを考えると、企業業績は想定以上に順調といえるでしょう。
日本経済新聞社によれば、23年3月期通期の純利益は前期比3%増になる見通し。2期連続の最高益更新とのことです。
新型コロナ禍で落ち込んでいた人の活動が再開し、鉄道や空運など非製造業の回復が鮮明に。
一方、製造業は原材料コストの上昇や半導体不足などの供給網の停滞が響き、円安ではカバーしきれないもよう。
ただ、製造業でも独自のビジネスモデルなどで好業績な企業も多くあります。4社に1社が最高益になるとの試算もあります。
第1四半期発表直前の日経平均株価の1株利益は2,100円程度でしたが、直近では2,224円まで上昇。
8月に入っての日経平均の上昇にもかかわらずPER(株価収益率)は13倍前後に抑えられています。
そこで今回は6月本決算を含めて、好決算企業を5銘柄ピックアップしてみました。
なお、採用銘柄は、筆者の独断と偏見に基づいている点はあらかじめご了承ください。
イチオシ決算銘柄!
「マルちゃん」ブランドで知られる即席麺で国内2位。米国やメキシコでは圧倒的な首位を誇る。
第1四半期(4~6月)の売上高は1,031億2,700万円(前年同期比23.3%増)、営業利益107億2,700万円(同27.7%増)となった。
強みがある米国・メキシコを軸とした海外即席麺事業の売上高が416億円(前年同期比72.0%増)、営業利益64億円(同3.2倍)とけん引。
米で袋麵の「Ramen」、カップ麺では「Instant Lunch」シリーズが好調に推移。メキシコも主力製品が拡大している。
米国ではインフレの進行で食品などの物価が高騰しており、安価な即席麵へのニーズが高まっている。
同社製品は21年10月、22年4月にも値上げを行っている。さらに今年10月にも再値上げを予定しているが、もともと単価が低く需要減にはつながっていない。生活防衛に貢献している。
通期では売上高4050億円(前期比12.0%増)、営業利益365億円(同22.7%増)となる見通し。営業利益の第1四半期時点での進ちょく率は29.4%と高水準となっている。
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紙専門商社で国内首位。M&Aで業容を拡大してきている。
2019年に豪州2位の紙商社スパイサーズ社を買収。2020年に欧州最大の紙卸売企業で、世界39カ国に展開するアンタリス社の買収・子会社化を発表している。
23年3月期の第1四半期(4~6月)決算は売上高1,548億4,500万円(前年同期比19.4%増)、営業利益53億3900万円(同3.4倍)となった。
海外拠点紙パルプ卸売事業で、オセアニア地域でM&A効果や印刷・紙パッケージ需要の回復が寄与。
欧州では値上げも順調に進んだとしている。
国内では板紙分野でEコマースによる宅配事業や飲料用包装資材向けの販売が順調に推移。
製紙原料分野では家庭用古紙の発生減少による需給引き締まりで価格が上昇、採算改善もあり古紙が大きく伸びたという。通期では売上高5,900億円(前期比4.7%増)、営業利益120億円(同27.9%増)、1株利益104.4円を見込んでいる。
第1四半期時点での営業利益の進ちょく率は44%に達している。
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セラミック部品メーカー。半導体、省エネ、光通信市場向けセラミック部品に展開。
小型で精密、放熱性に優れたセラミック基板は世界首位級。セラミック基板はハイブリッド車やEV向けのインバーターなどにも使われる。高級照明器具メーカーのヤマギワを2012年に買収するなど、M&Aに積極的。
23年3月期の第1四半期決算は売上高139億5,400万円(前年同期比25.6%増)、営業利益は47億4,900万円(同49.3%増)となった。
売上高の88%を占めるセラミック部品事業が快走。同事業のセグメント利益は前年同期比51.7%増で、売上高営業利益率40.4%となっている。
車載向けではEVシフトの加速が寄与したほか、高速通信規格5Gのインフラ需要の増加が追い風になった。
日系メーカー以外でも、セラミックの強度、放熱性が評価されて採用が広がっている。
一方、情報通信向けでは5G関連の基地局やデータセンターなどでセラミック基板が使われている。
22年12月に新瀬戸工場が完成予定。本格的な業績寄与は24年3月期からとみられるが、供給体制の強化でひっ迫した需給が改善する可能性がある。
23年3月期は売上高600億円(前期比10.4%増)、営業利益185億円(同1.6%増)、1株利益1,045.5円を計画している。上期の営業利益計画81億円に対する進ちょく率は58.6%に達している。
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先端半導体向けのマスク欠陥検査装置の大手。特に半導体の線幅を細くするために不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置向けではシェアを独占している。
スマートフォンの大きさは一定なので、情報量を増やす(半導体をたくさん搭載する)には線幅を細くすることが重要。同じ情報量なら小型化できる。
22年6月期の売上高は903億7,800万円(前年比28.7%増)、営業利益は324億9,200万円(前年比24.6%増)となった。
営業利益は会社計画の270億円を大きく上回った。業績のけん引役はEUV露光装置向けの欠陥検査装置だ。
EUV露光装置はオランダのASML社だけが実用化している。
これを用いることで従来は10ナノ(ナノは10億分の1)メートルが限界とされた半導体の線幅をさらに細くすることに成功した。
現在は5ナノが量産化のステージで、今年から3ナノが実用化に入るとみられる。
この過程で、欠陥検査装置への需要も高まることが想定される。23年6月期は売上高1,400億円(前期比54.9%増)、営業利益は420億円(同29.3%増)、1株利益129.0円を見込む。連続で最高益更新となる見通しだ。
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前臨床試験受託の最大手。医療機関支援や創薬にも展開している。
前臨床とは臨床試験(人への投与試験)前に、動物を使って薬の安全性や効き目を調べる試験のこと。同社ではヒトに近いカニクイザルに強み。試験施設を鹿児島のほか、中国やカンボジアにも保有している。
23年3月期の第1四半期決算は、売上高40億4,600万円(前年同期比33.1%増)、営業利益7億1,400万円(同45.2%増)となった。
受注高は65億6,600万円(同7.1%増)で、受注残高は過去最高となっている。特に海外からの受注額は同66.6%増の10億7,400万円となった。
海外向けが拡大している背景には、医薬品開発の需要が増加しているにも関わらず、世界的な医用研究用実験動物(霊長類)の供給が不足していることが要因。
供給国の中国がロックダウンの影響もあるようだ。通期では売上高228億3,000万円(前期比28.6%増)、営業利益52億1,000万円(同24.2%増)、1株利益134.2円を計画している。
営業利益は期初予想に比べ2億1,000万円の上方修正。7月には同業で上場企業のイナリサーチの子会社化を発表。シナジー効果も期待される。
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