2022年1月21日
米国株投資は長期と短期、どちらが有利か?
投資をする上で、「長期投資」と「短期投資」のどちらのスタイルで取り組むべきか迷ってしまうことがあるかと思います。
よくある疑問ですが、これには正解があるわけではありません。
基本的に、長期と短期のどちらが優れているのか、有利なのかというのはなく、双方にメリット・デメリットがあり、特徴を見極めた上で自分に合っている投資スタイルを選ぶ必要があります。
ただ、米国株投資においては長期投資の方が適しているといえるかもしれんせん。
米国株のマーケットは長期的な成長を続けており、仮に今後も成長が続くのであれば長期で運用した方が資産を増やせる可能性が高いからです。
以下で長期投資と短期投資のメリット・デメリットを紹介します。
総合的に判断して、それぞれご自身に適した投資スタイルを検討してみてください。
なお、長期や短期の基準は明確ではないものの、ここでは保有期間1年以下の投資を短期投資、1年を超えて継続保有する投資を長期投資と定義し進めていきます。
長期投資のメリット・デメリット
長期投資は、将来を見据えてじっくり資産を運用していくスタイルです。
分散投資、積立投資と並び、投資の基本中の基本で、資産形成における有効な手段のひとつとされています。
米国株の長期投資は、会社自体が価値を生み出したり成長したりすることを利用しようとするもので、値上がり益や配当金の獲得を目指すのが一般的です。
長期的な上昇相場を描いており、仮に今後も成長が続くのであれば、長期投資は効果的な戦略となる可能性があります。
長期投資のメリット |
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長期投資のデメリット |
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<長期投資のメリット>
複利効果を発揮しやすい
長期投資のメリットは、何といっても「複利効果」を活かせる点です。
複利効果とは、投資によって得られた利益をそのまま再投資することで、利益が利益を呼び雪だるま式に膨らんでいく効果のことを指します。
投資期間が長ければ長いほど複利効果は大きくなる傾向にあり、その恩恵を受けることが可能です。
たとえば、1991年始値~2020年終値までの30年間、投資資金1万ドルでS&P500指数に投資をします。
複利効果の運用と非複利効果の運用を比較してみましょう。
- ①非複利効果の運用
その年の始値で1万ドル買付し、その年の終値で売却するという売買を30回繰り返す。
2020年終値時点での利益:28,457ドル - ②複利効果の運用
1991年の始値で1万ドル買付し、2020年終値まで継続保有する。
2020年終値時点での利益:105,058ドル- ※QUICKのデータをもとにauカブコム証券が調査
手数料、譲渡益税、その他費用考慮せず。
- ※QUICKのデータをもとにauカブコム証券が調査
- ③複利効果の運用では最終的な利益が非複利効果の運用と比較した際には3倍以上利益が出た計算になります。
もちろん株価は値下がりすることもありますので、どのような環境でも当てはまるわけではありませんが、複利効果を発揮できることは長期投資のメリットの一つ言えるでしょう。
収益が安定化しやすい
米国株投資では、短期的に見ると収益は大きなプラスもしくはマイナスになることがありますが、長期で運用を続けていると、1年あたりの平均的な収益は安定する傾向にあります。
たとえば、先ほどの例と同じく1991年始値~2020年終値までの30年間、S&P500指数に投資をします。
単年で見ると2008年には-37.6%、2002年には-23.8%など、大きな損失を抱える年もありました。
しかし30年間の平均騰落率は9.5%となってました。(※QUICKのデータをもとにauカブコム証券が調査。手数料、譲渡益税、その他費用考慮せず。)
投資期間を長くすることにより、運用成績の良い時期と悪い時期がならされ、収益が安定してくるので失敗しにくくなる可能性もありそうです。
インカムゲイン(配当金)を狙える
長期で米国株を保有することにより、値上がり益とは別に配当金を定期的に受け続けられ、安定した収益が得られます。
配当金狙いの運用をするのであれば、短期投資より長期投資の方が相性が良いでしょう。
精神的負担が少ない
長期投資では、長期的に見て株価が値上がりするかどうかが重要なので、四六時中マーケットに張り付いて値動きを確認しなくて済みます。
短期的な値動きに一喜一憂する必要がないので、精神的負担が少なくなるのがメリットです。
長期投資は時間に拘束されにくく、忙しい方でも無理なく投資を続けることができます。
<長期投資のデメリット>
不確実性リスクが増大する
米国株には、将来的に「投資先の業績が悪化して倒産する」「米国株式市場の規模が縮小する」「金融危機が発生する」などの不確実性があり、投資期間を長くすればするほど、そのリスクは増大します。
さまざまな不確実要素によって、見通しと大きく異なる運用結果になる可能性があることを覚えておきましょう。
資金効率悪化の可能性も
資金効率が悪くなるのも長期投資のデメリットです。
例えば、100万円の資金を用意してそれを全て1つの銘柄に投資し、10年間運用した場合、その間ずっと資金を寝かせることになります。
短い期間で利益を上げ、その利益をすぐに別の銘柄の購入に回せる短期投資と比較すると、資金効率は圧倒的に悪いです。
すぐに利益を得られない
長期投資は結果が出るまでに時間がかかり、すぐに利益を得ることができません。
短期投資のように短期間で売買が完結し、利益が積み重なっていくわけではないので、投資先の成長や利益を気長に待てる忍耐力が必要です。
短期投資のメリット・デメリット
長期投資とは対象的に、短期間の売買で値上がり益を追求するのが「短期投資」です。
長期投資は会社の成長を通じて利益を得ようとするスタイルですが、短期投資は会社の成長というよりも、目先の株価の変化に着目して利益を得ようとするスタイルといえます。
将来的に成長が期待できる会社でなくても、買い手が多ければ株価は上昇するため、その動きを捉えて売買すれば短期的に利益を上げることが可能です。
短期投資のメリット |
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短期投資のデメリット |
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<短期投資のメリット>
損益がすぐに確定する
短期投資は投資期間が短く、すぐに損益が確定するのがメリットです。
購入後に早い段階で値上がりすれば、短期間で利益を得ることができます。
また、購入後に値下がりしても短期間ですぐに売却できるので、損失を最小限に食い止めることが可能です。
短期投資では、含み損を抱え込んだまま資金が塩漬けになるリスクはほとんどありません。
資金を効率的に使える
短期投資は、長期投資と比べると資金効率に優れています。
購入していた銘柄を売却すれば、戻ってきた資金で別の銘柄へすぐに投資できるので、資金が取引に使われない期間が短くなります。
短い期間で売買を繰り返すことで、限られた資金を効率的に使える可能性もあるのです。
不確実性リスクを回避しやすい
投資期間が短ければ短いほど、不確実性リスクを回避できる可能性が高まります。
工夫次第では短期投資なら、リーマンショックやコロナショックのような株式市場を揺るがす不測の事態が起こっても、それに巻き込まれにくくなります。
<短期投資のデメリット>
大きな利益は期待しづらい
短期投資は何度も売買を繰り返しながら、小さな利益をコツコツと積み上げていくスタイルです。
短期間での株価の変動幅は限られているため、一度の取引で大きな利益はあまり期待できません。
長期的なスパンで見れば、株価が買値の10倍ほど値上がりするケースもありますが、短期間でそれは難しいです。
インカムゲイン(配当金)が得られない場合もある
米国株の配当金の権利を取得するには、現地権利付き最終日(権利落ち日の前営業日)までに株を購入し保有している必要があります。
長期投資なら問題ありませんが、短期投資では売買のタイミングによっては現地権利付き最終日に株を保有していないケースも考えられ、その場合、当然ながら配当金を受け取ることはできません。
取引コストが嵩みやすい
米国株を購入または売却する際には手数料がかかります。
そのコストは日本株よりも割高で、短期間のうちに何度も取引を繰り返す短期投資では、取引コストが膨らむ傾向にあります。
コストが多くかかってしまうと利益を圧迫し、思うように資金が増えない場合もあるので注意が必要です。