株価を動かす要素として、投資家から重要視されている情報が決算です。ただ、決算書には難しい単語や細かな数字が並ぶため、苦手意識を持つ人が多いかもしれません。それでも、企業の経営に関する情報を把握できるため、銘柄選びをするうえで重要です。
💡 今回わかること
- 決算書の基本的な内容
- 注目すべき項目など
知っておきたい知識④:決算を確認する
1. 決算について
📝 決算とは、企業が業績や財務状況の発表
1年間や四半期など、一定期間で稼いだ利益や損失、借入状況などを確認できます。
決算内容で株価が大きく動く可能性があるため、投資家から重要視されている
【本決算と四半期決算】
本決算 → 1年間の業績を公表
四半期決算 → 3か月ごとの推移
決算は基準日から考えて、第1四半期、第2四半期、第3四半期、本決算の順に発表されます。
日本の企業では、3月が本決算期になっている会社が多くなっています。
3月本決算銘柄の大部分は4〜5月にかけて、本決算が公表されます。3月以外では、9月、12月が本決算期の企業が多くあります。
決算情報は、企業ホームページの投資家情報(IR情報)に資料が掲載され、誰でも読むことができます。また、証券会社でも決算に関する情報が提供されています。
📝 決算短信とは?
決算の内容をまとめた書類。1年もしくは四半期ごとの売上等が記載されます。企業がどのくらいの利益を出したのか、どのくらい成長しているのかを測る重要な資料です。
決算短信は、上場企業においては作成が義務となっています。
2. 決算が株価にどう影響するのか
投資家が株式を買いたい企業として挙げられるのは、業績の良い企業です。
業績が良い = 儲かっている企業
👉 将来的な成長や配当金に期待できる → 多くの投資家から人気の銘柄に
反対に、何年も赤字経営が続いているような業績が悪い企業の株式を買いたいと思う人は少ない。
📈 決算発表で株価が上昇する場合
予測よりも数値が良かった場合
例)「過去最高益」、「前年比○○%増」、「上方修正」
📉 決算発表で株価が下落する場合
予測よりも数値が悪かった場合
例)「下方修正」、「前年比○○%減」などのネガティブな材料
📌 決算発表が必ず株価に影響を与えるとは限らない
市場予測とほぼ同じ数値が発表された場合は、好材料もしくは悪材料のどちらになっても「織込み済み」として株価があまり動かないケースもあります。
3. 売上と利益を確認しよう
決算を確認すると言っても、何をどう見ればよいか迷うかもしれません。まずは、損益計算書の売上と利益に注目してみましょう。
売上高
商品やサービスを提供して得た売上を合計した数値です。基本的に売上高が増えているほど、商品やサービスが売れているという証なので、企業の利益も大きくなりやすくなります。
営業利益
売上高から経費などのコストを差し引いた数値です。企業の本業で上げた利益を表しているので、実際の収益力がどのくらいなのか判断できます。
経常利益
企業の活動で得た利益で、不動産などの本業以外の収益や借入金、支払いなども含まれます。
これらの売上と利益が前年よりも伸びているかを確認しましょう。過去数年の推移を見て、右肩上がりを続けているのであれば、今後も業績が伸びていく可能性があると判断できます。
この見方に慣れてきたら、キャッシュフロー計算書、貸借対照表(バランスシート)なども見ていくと、銘柄選定の幅が広がります。
4. マーケットコンセンサスを確認しよう
マーケットコンセンサスとは、複数のアナリストが予想した企業業績の見通しを平均化した数値です。機関投資家のようなプロの投資家も参考にしており、コンセンサス予想が株価に影響を与えるケースもあります。
📝 企業の業績予想
業績予想は企業も公表しています。ただ、どうしても予想に主観が入るため、実際の数値と乖離する場合があります。そのため、客観的に分析できるアナリストやエコノミストの予想が投資家から重要視されています。
ただし、コンセンサス予想が必ずしも正しいわけではありません。絶対視するのではなく、決算を見る場合の参考の一つとして活用するのがよいでしょう。
コンセンサス予想は、各証券会社で確認できます。auカブコム証券なら、スクリーニングツールの「Kabuナビ」の「コンセンサス」から検索できます。
5. 証券会社のスクリーニングツールを活用しよう
日本の上場企業は約3,900社あり、決算を1社ごとに見ていくのは非常に時間と手間がかかります。しかし、証券会社のスクリーニングツールを使用すれば簡単に選別が可能です。
スクリーニングツールだけでなく、決算情報をまとめたサイトもあります。ご自身が使いやすいツールを活用しながら決算を分析すると、良い銘柄を見つけられる可能性が高まります。
知っておきたい知識④:決算を確認する
- 決算では、企業の業績状況や財務状況が発表される
- 基本的に決算が良い企業の株は買われやすい
- 投資初心者は、売上高や営業利益が過去よりも成長しているかを確認しよう
- アナリストやエコノミストの見通しであるコンセンサス予想を参考にしよう
- スクリーニングツールを活用すると、1社ごとに決算を確認しなくてもよい