代表的な執行条件である成行と指値については前回「注文方法」で説明しました。
執行条件にはシンプルな指値と成行以外にも様々な種類があります。
注文の執行条件
例えば指値や成行は、寄り付き(取引開始時間)や引け(取引終了時間)などの、時間帯を指定して注文を行うことが可能です。
auカブコム証券では、指値と成行だけでも様々な執行条件が利用できますので、確認しておきましょう。
成行注文の種類 | 内容 |
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寄付成行 | 前場または後場の寄付きに執行することを条件とした成行注文です。 |
引け成行 | 前引けまたは大引けの時間帯に限定して成行を執行する注文。 引け時点で売買が成立しなかった場合、注文は失効する。 |
IOC成行 | 注文時に約定できれば成立させ、約定しなかった場合は残った注文の失効を条件とした成行注文。 |
指値注文の種類 | 内容 |
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寄付指値 | 前場または後場の寄付きに執行することを条件とした指値注文です。寄付きにお客様の注文が成立しなかった場合、注文は失効となります。 |
引け指値 | 前引けまたは大引けの時間帯に限定して執行する指値注文。引け時点で注文が成立しなかった場合、注文は失効となる。 |
不出来引け成行 | 「不成」とも言い、引けまでの場中(ばちゅう)に指値注文が約定しなかったら、引けに成行となる注文。 |
IOC指値 | 指定した価格か、それ以上に有利な条件で約定できれば注文を成立させ、成立しなかった場合は残った注文の失効を条件とした指値注文。 |
💡 ザラ場引け
取引最終時間である大引けに取引が成立せず、ザラ場(寄り付きと引けの間の時間帯)でついた値段のまま取引時間が終了することを「ザラ場引け」と言います。「ザラ場引け」だった場合、「引け成行」や「引け指値」などの引け条件注文は約定しないので、注意しましょう。
1. 多数の自動売買を使い分けると取引の幅が拡大
auカブコム証券には、指値や成行などの執行条件だけでなく多数の自動売買があります。それらを利用することで、忙しくても様々な相場で取引のチャンスが得られるかもしれません。
auカブコム証券で利用できる自動売買
注文の種類 | 注文内容 |
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逆指値注文 | 相場が上昇した場合は買い、下落した場合は売りとする指値と逆の指示を出す注文。損失の拡大を防ぐ(損切り)場合の利用が多い。 |
W指値®注文 | 指値と逆指値を両方設定できる注文。利益確定と損切りの両方を設定することができる。 |
±指値®注文 | 「始値・終値・約定価格」を基準とした指値の方法。「始値+〇円になったら発注」「〇円で約定したら発注」等。 |
トレーリングストップ注文 | 値動きに合わせて設定した値幅で逆指値注文を修正する方法。損失の拡大を防ぐ(損切り)場合の利用が多い。 |
時間指定注文 | 時間を指定して注文の発注・訂正・取消を行う方法。 |
特殊注文
Uターン注文® | 1つの銘柄で買い注文と同時にその銘柄の売り注文を出す方法。「A株を〇円で買って〇円で売る」等。 |
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リレー注文® | 複数の銘柄の売買を条件に発注を行う方法。「A株を売却したらB株を買う」「A株を買ったらB株を売りC株を買う」等。 |
ここからは自動売買の詳細についてご紹介いたします。
逆指値注文
株価が注文時から「下落したら売り」「上昇したら買い」とする自動売買。指値注文と反対の注文を出すため「逆指値注文」と呼ばれています。損失を防ぐ時に際に利用されるケースが多いです。
📌 使うと便利な場面
① 損失の拡大を防ぐために損切りを行う場合
保有している株が一定の価格よりも下落した場合に売却したいときに有効です。損切を行うことはもちろん、利益を確保したい時にも利用できます。
② 上昇して勢いがある株を買う場合
株価が上昇している時に上昇トレンドに波乗りするときに有効です。株価が直近の高値を更新した時点で成行や指値で注文を出すことができます。
W指値®注文
売買注文の際に、指値と逆指値を両方設定できる方法です。利益確定と損切りの価格を同時に出すことができます。
±指値®(プラマイさしね)注文
「始値・終値・約定価格」を基準とした指値の方法です。±指値®には「始値±指値」、「終値±指値」、「約定単価±指値」3種類があります。「約定単価±指値」は、指値・逆指値・W指値®と組み合わせて発注を行うことが可能です。
発注時点では、まだ確定していない価格を基準に設定できる点が大きな特徴です。
トレーリングストップ注文
相場の値動きに合わせて、逆指値注文の価格をリアルタイムで自動修正する注文方法です。
「せっかく利益が出ていたのに、相場を見ていない時に価格が急落して含み損になってしまった」などの対策として便利な注文です。価格が上昇した場合、その上昇に応じて少しでも利益を確保したい場合に有効です。
2. 時間指定注文
「○時○分になったら」などの時間を指定して注文の発注・訂正・取消を行う注文方法です。
時間指定注文の種類
種類 | 内容 |
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時間指定指値・成行 | 「○時○分になったら発注」と指定された時間に発注を行う自動売買 |
時間指定取消付き指値 | 「○分後までに」と指定された時間までに約定しなければ注文を取り消す自動売買 |
時間指定訂正付き指値 | 「○分後までに」と指定された時間までに約定しなければ注文を訂正する自動売買 |
時間指定W指値 | W指値®で指定された逆指値の価格条件か「○分後までに」と指定された時間条件のどちらかの条件を満たした場合に注文を訂正する自動売買 |
時間指定訂正付き指値の場合
指値:500円発注
訂正条件:発注後30分以内に約定しない場合、成行注文に訂正
(注文入力時間が9時20分の場合)
Uターン注文®
1つの銘柄について、買い注文と同時にその銘柄の売り注文を予約する注文方法です。
たとえば、「700円で買って、770円で売りたい」という場合に有効です。
リレー注文®
複数の銘柄を数珠繋ぎに連続して発注することができる注文方法です。
「A銘柄を買い→B銘柄を売る」「C銘柄を売り→D銘柄を買う」等の設定だけでなく、「A株を買ったらB株を売りC株を買う」と複数の注文を次々に予約することが可能です。
円高から円安に市場のトレンドが変わるような場面で、円高に強い銘柄を売って円安に強い銘柄を買うような、銘柄の乗り換えが可能になります。
3. 自動売買や特殊注文を組み合わせる活用法
これまでに紹介した執行条件を組み合わせることによって、株式の購入から利益確定・損切りまで自由自在の投資運用ができるようになります。
●「始値±指値」+「Uターン注文」+「±W指値」を組み合わせた例
買い注文:始値±指値 →
ー始値500円から30円上昇したら530円で買い指値
Uターン注文→買い注文と同時に売り注文を予約する
売り注文:±W指値 →
ー利益確定は530円から50円の上昇したら(指値580円で売り)
ー損切りは530円から20円の下落したら(逆指値510円で売り)
●「時間指定W指値」+「リレー注文」+「不出来引け成行(不成)」を組み合わせた例
A銘柄の売り注文:時間指定W指値 →
ー12時の決算発表後に700円の指値(利益確定)と600円の逆指値(損切り)
リレー注文→A銘柄が売れたらB銘柄を買う予約をする
B銘柄の買い注文:不出来引け成行 →
ー場中は500円の指値をしておき、約定しない場合は大引けで成行に変更して買う
複数の注文方法を組み合わせることにより、自身が見ていない時に相場がどのように変動しても自動で注文を行うことができます。
💡 先進的・革新的サービスで自動売買
auカブコム証券のコアコンセプトである「リスク管理追求型サービス」を追い求めた結果として「自動売買」が生まれました。
次回は「株式の約定の仕組み」です。
注文の執行条件についてまとめ
- 成行注文や指値注文をする際に執行条件を設定できる
- 注文タイミング:寄り付き(取引開始時間)や引け(取引終了時間)を指定できる
- 希望条件:希望する条件より不利な場合は注文が失効するように設定できる
- 自動売買の活用で忙しい時でも取引のチャンスを得られる