株式投資をする上で、IPOや株式分割、TOBなどのイベントを知っておくことで、利益を得やすくなるかもしれません。これらは多くの投資家から投資に適したタイミングとして認知されています。
ここでは、IPO、株式分割、TOBとは、どのようなイベントなのかを解説していきます。
知っておきたい知識②:IPO、株式分割、TOB
1. IPOとは
IPOとは未上場企業が、株式を証券取引所に上場すること」を指します。
Initial Public Offeringの略称で、日本語では「新規公開株」や「新規上場株式」と呼ばれています。
経営者などの限られた人しか持っていない未上場企業の株式が新規上場することにより、一般投資家でも売買できるようになります。
新たに上場する銘柄を上場前に入手する価格を「公募価格(売出価格)」と言い、初めて取引所で売買が成立する価格を「初値」と言います。
💡 IPOをする企業のメリット
- 上場することで資金調達がしやすくなる
- 知名度が上がり社会的な信用が高まる
📌 IPO株を購入したい場合
新規上場を支援する証券会社である幹事会社で申し込みを行う必要があります。証券会社ごとにあらかじめ株式の配分が決まっており、購入希望者の中から抽選する流れとなります。
IPO株は上場後の株価が大きく飛躍している銘柄が多い傾向があるので、多くの投資家が購入を希望する事が多いです。(過去のIPO銘柄一覧:公開価格比騰落率)
もちろん、投資家に不人気な銘柄は初値が公募価格を下回る場合もありIPO株が必ずしも儲かるというわけではありません。
📝 幹事会社とは
新規上場を支援する証券会社のことを幹事会社と呼び、その幹事会社の中でも中心となって支援を行う証券会社のことを主幹事と呼びます。主幹事の証券会社はIPO株の割り当てが多い傾向があります。
📝 セカンダリー投資とは
IPOの抽選に当選しなかった場合でも、市場に注目されている銘柄は上場後に盛り上がることがあります。このように上場後の値上がりを期待して取引することをセカンダリー投資と言います。
2. 株式分割とは
株式分割とは、既に発行されている株式を細分化(分割)し、株式数を増やすことです。株式分割は主に投資単位を引き下げるために行われます。
東証では、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、望ましい投資単位として5万円以上50万円未満という水準を明示しています。
例えば、100株を200株に分割した場合、各株主の持ち株数は自動的に2倍になります。これを1:2の株式分割と表現します。株数が増える代わりに株価は半分になるため、値動きがなければ資産価値は変わりません。
🎮 任天堂の株式分割の例
- 📅 2022年10月
- 銘柄:任天堂が1株を10株に分割
2022年10月の株式分割前の株価は約6万円。任天堂の株主になるには600万円(最低売買単位100株の金額)が必要でした。しかし、株式分割が行われたことで、その10分の1の60万円で株主になれるように変わりました。
💡 株式分割のメリット
- 投資金額が引き下がって、より多くの人が投資しやすくなる
3. TOBとは
TOBとは、期間・株数・価格を提示し、取引所外で不特定多数の株主から株式を買い付けるM&Aの手法のひとつです。
Take Over Bidの略称で、日本語では「株式公開買付」と呼ばれます。
TOBの目的は、企業の買収や子会社化、経営権の取得が挙げられます。
公開買付者が不特定多数の株主に対して、あらかじめ買付期間や買付株数、買付価格を公表し、証券取引所ではなく取引所外で買付けます。
💡 証券取引所で行わない理由
大量に注文を出して、株価が想定以上に上昇するのを防ぐため
主に、企業を買収する場合に行われる手段です。
「友好的TOB」と「敵対的TOB」の2種類があります。
📝 友好的TOBと敵対的TOBとは
友好的TOBとは、対象企業の経営陣が株式の買収について了承しているTOBです。
反対に、敵対的TOBは事前の合意や通知なしに行うTOBです。友好的TOBは合意が行われているため、スムーズに完了しやすい一方で、敵対的TOBは泥沼の争いになり、不成立になる可能性もあります。
もし自身が保有している株式がTOBの対象になった場合は、以下の選択肢があります。
TOBは株式市場で売るよりも良い条件もあれば、悪い条件もあります。TOBの条件と、株式市場での売却価格は必ず確認しましょう。
<株式市場で売却>
TOB発表後も、証券会社を通じて売却することができます。TOBの内容によってはTOBが発表後に株価が上昇する場合が多いため、TOBに参加しなくても利益を出せる可能性があります。手続きが少ないため一番オススメの方法と言えます。
<公開買付けに応募して売却>
ほとんどのネット証券では書類の郵送等が必要なく、インターネット上で手続きが完了します。指定されている証券会社に口座を開設し株式を移管しなければならない場合もあるのでTOBの発表内容をよく確認しましょう。
<継続保有>
TOBに参加せずに、保有を続ける選択肢もあります。ただし、TOB終了後に上場廃止となるケースもあるため、発表内容をしっかりと確認する必要があります。
📌 保有している株が上場廃止してしまった場合
知っておきたい知識②:IPO、株式分割、TOB
- IPOとは未上場企業が新しく上場すること
- IPO株は人気のため抽選になることが多い
- 株式分割は発行されている株式を細分化することで、投資しやすくなる
- TOBとは不特定多数の株主から証券取引所外で買付けを行うこと
次は、「知っておきたい知識③」を紹介します。