株式は持っているだけでは利益にせず、売却してはじめて利益が確定します。
しかし、どのようなタイミングで売却すれば良いのでしょうか?
株式投資は、買うときよりも売るときの方が難しいとも言われます。
この記事では、そんな株式の売却について解説しています。
株の売りタイミングの見極め方
1. 株式の売り時の見極め方
一般的に、株式は以下のタイミングで売られることが多いと言われています。
株価が上昇した
株式を買った時よりも株価が上昇したら、含み益となります。その含み益となっている株式を売却すると、利益が自身のものとして確定します。
「株価の上昇として、どのくらいの目安が良いのか?」
考え方や投資スタイルによって売却の目安は変わるため、これという基準や正解はありません。
参考例
- 売却の目安を定めて、そこに到達したら売却すると決めておく
売却の基準の例
- 買った時の価格から30%上昇したら売る
- 買った時の価格から2倍になったら売る
- 株主優待が目的だから、どんなに上昇しても保有しておく
💡 あらかじめいつ、どのような時に株を売るか決めておくと悩みません
💡 含み益や含み損を「評価損益」、確定した損益を「実現損益」と言います
株価が下落した
株式を買った時よりも株価が下落した場合、含み損を抱えてしまいます。
その後に株価が回復すれば含み損が減りますが、そのまま株価の低迷が続く場合もあります。
もし回復の兆しがないと判断した場合は、株を売却して仕切り直しを行った方が良いでしょう。
逆に株価が下落したのが一時的な要因だと判断した場合、追加で買い増しをする投資家もいます。
📌 損切り
含み損となっている保有株式を売却することは「損切り」と呼ばれます。
📌 ナンピン
下落した株を追加で買い増しすることは「ナンピン」または「押し目買い(おしめがい)」と呼ばれています。
悪材料が出た
業績の悪化、業績の下方修正、債務超過、優待の廃止や減配など、企業にとってネガティブなニュースが発表されると、株価が下落する可能性が高くなります。そのため、売却を検討しても良いでしょう。
一般的には、誰もが全く想定していなかった悪材料が急に出た場合、不正会計や虚偽記載などのコンプライアンス違反が報道された場合にも、株価が大きく下落しやすいです。
株価が下落する場合がある企業の様々な悪材料
- 業績の悪化
- 業績の下方修正
- 不正会計
- 債務超過
相場に変化を起こす要因が発生した
例えば、金融政策の変更、海外の主要国の経済状況の悪化、地政学リスク、大規模災害などがあります。株式市場にマイナスの要因が出た場合、投資家は株式を売却する傾向が強まり、株価は下落しやすくなります。
好決算でも株価が下がる場合があります。これは、プロが算出した予想の平均値である「コンセンサス」を決算内容が下回った場合、期待以下と判断されて売られやすくなる等が考えられます。直近の市場とその銘柄の上昇率を比較して上昇が過熱し過ぎていないか、前年同期の業績と比べ成長の勢いが衰えていないか等に注目してみましょう。
株式相場の変動要因
- 金融政策の変更
- 海外の主要国の経済状況の変化
- 地政学リスクや大規模災害
長期休暇の前
年末年始やゴールデンウィークなど、長期休暇に入ると株式市場や証券会社もお休みに入るため取引できなくなります。
仮に、休暇中に株価が大きく動く要因が発生した場合はすぐに対処できず、休日明けに損失を被る可能性があります(利益が出る場合もあります)。
また、含み益がある株を年末に売って確定している損失を埋めたい、など年間損益の調整で売却する投資家もいます。ただ、確定申告で株の損失は3年間繰り越して利益と相殺できるため急いで利益確定する必要はありません。確定申告が面倒な人は、年末までに調整するのもいいかもしれません。特定口座の源泉徴収ありを選択していれば、同じ証券会社内の年内損益は自動で損益通算されます。
2. 売却までの流れ
まずは、保有している株式の中から、売りたい株式を選びます。次に、売る数量、執行条件(成行注文か指値注文か等)、執行条件はどうするか、注文の有効期限などを決めます。
そして条件を設定したら注文を発注します。
その注文を出しただけでは、売却は完了していません。売りの注文が成立して(買い手が見つかって)はじめて、売りが確定します。
株式の売却までの流れ
- 残高照会から売りたい株式を選ぶ
- 売る数量、注文方法、執行条件、注文の有効期限などを決める
- 注文を発注
- 売却の成立
💡 成行注文と指値注文
売りたい価格を指定せずに今の価格で取引する注文が成行注文、売りたい価格を指定して取引する注文が指値注文です。
成行注文は価格を指定できませんが、取引が成立しやすいというメリットがあり、すぐに売りたい時に使うと効果的です。一方の指値注文は売りたい価格を指定できますが、指定した価格に達しないと取引が成立しないデメリットがあります。
3. 損切りのタイミング
損失を確定させて仕切り直しを図る損切りは、とても重要です。
損切りのメリット
- いま以上に損失が増えてしまうことを回避できる
- 損切りで使えるようになった資金で別の株式の購入ができる
損切りを行うルールは、直近の安値や自分が許容できる損失額で設定するなど投資家によってさまざまです。
また、普段から買った時の理由や成長シナリオが崩れていないか点検することも大事です。例えば5年後の成長を見込んでいたが悪材料で株価が下落した場合、一時的な要因なら売り急ぐ必要はありませんが持続的な成長が見込めない要因だったらシナリオが崩れたと判断して早めに損切りした方がいいでしょう。
参考例
- 買った時の価格から5〜10%下落したときに売却
- 株を買った理由や成長シナリオが崩れていたら売却
損切りをせずに「塩漬け」にして株価の回復を待ち続ける方法もあります。しかし、資金が拘束される(保有している銘柄分の投資資金を動かせない)ため、投資効率が落ちるデメリットがあります。
💡 逆指値を活用してあらかじめ決めておいた損切りルールを設定しておけば、株価をチェックしていない時でも売却できます。
📌 塩漬け
購入した株価が下落したものの、損失を確定させたくないために売却せず、そのまま保有しておくことを「塩漬け」と呼びます。
株の売りタイミングの見極め方
- 売却の目安として、一定のルールを決めておくと良い
- 保有している株式に悪材料が出たら売却を検討したい
- 長期休暇明けは株価が大きく動く可能性がある
- 売却は、売りたい株式を選択→注文設定→約定といった流れ
- 塩漬けはリスクになる