脱炭素社会に向けに需要が高まるパワー半導体とは?関連5銘柄紹介 脱炭素社会に向けに需要が高まるパワー半導体とは?関連5銘柄紹介

脱炭素社会に向けに需要が高まるパワー半導体とは?関連5銘柄紹介

パワー半導体とは

日本企業がEV(電気自動車)向けのパワー半導体分野で存在感を増してきています。
パワー半導体とは、モータや照明などの制御や電力の変換を行う半導体のことです。
交流を直流にしたり、電圧を変換するなどして、モータを駆動したり、バッテリーを充電したりするために使われます。
また、メモリやCPU(中央演算処理装置)などのLSI(大規模集積回路)を動作させるなど、電源(電力)の制御や供給を行うことにも用いられます。
高い電圧、大きな電流に対しても壊れない構造を有することでパワー半導体と呼ばれる所以です。
エアコンやテレビなどにも使われています。
EV(電気自動車)ではモータを低速から高速まで精度よく回すことで性能を上げ、また、効率よく動かすことで省エネ・省電力化に貢献します。
一般的に取り上げられるのは、半導体は演算(ロジック)、記憶(メモリ)を行う半導体です。

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(出所:経済産業省近畿経済産業局 パワー半導体とは

脱炭素社会に向け、需要が高まるパワー半導体

大手調査機関によれば、パワー半導体の世界シェアトップは独インフィニオン・テクノロジーズで約2割だそうです。
以下は大差なく、日本企業もベストテンに三菱電機、東芝、富士電機、ルネサスエレクトロニクス、ロームが入っているとのことです。
半導体ではほぼ淘汰されていしまった日本ですが、パワー半導体では存在感は大きいといえます。

現在のパワー半導体の主力はSi(シリコン)ウエハを用いたもので、大半を占めます。
EV(電気自動車)ではSiよりも物質特性に優れる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのウエハ材料を使った次世代のパワー半導体開発が進みつつあります。
日本企業は特に有望なSiCに強みを有するとされているようです。

日本政府は2050年までに温暖化ガス排出量をゼロにする方針を掲げています。
その中でパワー半導体など脱炭素化の効果が高い製品の生産設備に対する投資減税が検討されています。
世界では脱ガソリン車へのシフトが急速に進む中で、日本や海外でEV(電気自動車)向けを軸とするパワー半導体の需要が今後、一層高まることが想定されます。

パワー半導体は燃料電池車(FCV)向けや風力発電のインバータとしても有望で、脱炭素社会の流れの中で、重要性がさらに増すことが考えられそうです。

パワー半導体関連5銘柄を紹介

有望とみられる5銘柄をピックアップします。
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三菱電機(6503)

ハイブリッド車やEV用モータの駆動に用いるパワー半導体モジュール(複合部品)を手掛けています。
パワー半導体チップに端子を直付けする独自の内部配線構造により、製品寿命を延ばして高い信頼性を確保。
パワー半導体の一種である「IGBTモジュール」で世界シェア2位。
IGBTモジュールは高速スイッチング性能と高電圧・大電流処理能力を併せ持った半導体素子です。
シャープから福山工場の一部を買い取り、パワー半導体工場を新設。
21年11月に稼働し22年度内に生産能力19年度比で2倍にするそうです。

三菱電機(6503)

週足、2020年1月18日まで表示

ローム(6963)

Siに比べて省エネ性能の高いSiCの開発で先行しています。
SiCパワー半導体では市場シェア約2割と、世界でも有数とみられます。

今後5年間で600億円を投じて、生産能力を高めシェアアップを図ると報道されています。
SiCパワー半導体では材料であるウエハの外販も行い、デバイス、モジュールも含め全方位での拡大を目指しています。
2010年のSiCトランジスタの世界初量産を開始して以来、現在に至るまでSiCデバイスの技術と製品で業界をリードしています。
一貫生産体制に強みがあります。

ローム(6963)

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富士電機(6504)

山梨県の工場でウエハを作る工程の生産能力を今年度内に3割高めるとの報道。
マレーシアなどの海外工場でも、生産能力の増強を検討。
車載向けモデルの開発で先行。
パワー半導体に占める自動車向け売上高を35%から23年度に50%に高める方針と。
IGBTモジュール、SiCデバイスも手がける。
SiCを適用したパワー半導体は大幅な省エネと搭載製品の小型・軽量化を実現できる。

富士電機(6504)

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ルネサスエレクトロニクス(6723)

車載システムの制御用半導体に送る電圧を適切な電圧に引き下げるパワー半導体を開発しています。
電圧を制御する際に消費する電力が従来製品よりも少なくて済み、機器全体の省エネ設計がしやすくなるとのこと。
自動運転など「CASE」と呼ばれる次世代技術の開発が進む中、自動車向け半導体の高機能化に対応していく方針です。
同社ではSiCも手がけています。

ルネサスエレクトロニクス(6723)

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東芝(6502)

2019年度~23年度の5年間でパワー半導体の増産に1000億円を投じ、23年度の生産能力は18年度比で5割増との報道が。
石川県能美市の既存工場を増設し、ウエハの生産能力を現在の月産15万枚から20万枚程度に拡充するとのことです。
EV向けの開拓を急ぎ、パワー半導体を中心とする事業の売上高を約1500億円から2000億円に引き上げるとの観測も浮上しています。

東芝(6502)

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和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
日経CNBC毎週水曜日「デイリーフォーカス」にレギュラー出演。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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