執筆者:『会社四季報』編集部
本記事は会社四季報公式ガイドブックからの転載記事となります。
「株式投資のバイブル」とも呼ばれる『会社四季報』。投資先を選ぶうえで欠かせない業績や財務などの情報がギュッと詰まっていることから、1936年の創刊以降、長く投資家に愛されてきました。しかしその一方で、あまりにも多くの情報が詰め込まれているがゆえに、初見では取っつきにくさを感じてしまうのもまた事実です。
本連載「四季報AtoZ」では、全11回にわたって『会社四季報』の読むべきポイントをわかりやすく解説。著名投資家の四季報活用法も紹介します。全11回を読破して、あなたの株式投資に『会社四季報』をフル活用してください。
アベノミクス相場後から成長株狙いにシフト
私が株式投資を始めたのが1998年で、『会社四季報』はその頃から参考にしています。初めはそれほど熱心に読んでいたわけではなく、株価チャートを見て、値動きを中心に銘柄を選んでいました。当時は業績がそれほどでもない銘柄のほうが上昇相場での株価上昇が高く、そうした銘柄の中から倒産しそうにないものを選んだりしていました。
アベノミクス相場が始まったあとの2013年秋頃から、自分が手がけていたような銘柄が値上がりしなくなり、上昇銘柄を見ると業績が伸びているものばかり。そこで成長株狙いにシフトしました。
『会社四季報』の最新号が出ると、私が主宰している株式投資塾の卒業生が集まって、気になる銘柄を紹介し合う勉強会を開いています。やはり読み込んでいる参加者が紹介した銘柄のほうが、その後の株価パフォーマンスがいいですね。
私は熟読する時間がなかなか取れないので、最新号が出たら保有銘柄と投資候補銘柄のチェックをしています。投資候補だけでも500銘柄くらいあるので、新たな銘柄探しは勉強会などでほかの投資家が紹介したものを参考にしています。
プロ投資家が買わない銘柄は避ける
投資対象はまず業績、財務状況が良好な銘柄です。売上高と利益が毎年伸びており、今後も業績成長が見込める会社で、欄外の前号比修正矢印やニコちゃん(会社予想比)マークもチェックします。株価が上昇トレンドにあることも条件です。
※本記事は、紙面の「会社四季報」の活用方法です。
きれいな上昇トレンドを描いている場合は、海外勢などプロの投資家が買っている可能性が高いので。
プロ投資家が手を出さない銘柄は売買の主体が個人になるため、短期売買の影響で株価が乱高下しやすくなってしまいます。『会社四季報』の株主欄を参考に、海外投資家を示す<外国>や、投資信託への組み入れを示す<投信>の比率が少なかったり、ゼロの銘柄は投資候補には入れません。
借り入れが大きすぎる会社も避ける
私は“負けない投資”を旨としているので、借り入れが大きすぎる会社も避けます。好業績を続けてきても、歯車が狂いキャッシュが入ってこなくなると、利払い費用を賄えずに倒産するリスクがあります。
『会社四季報』にはROE(自己資本利益率)と、負債を加味したROA(純資産利益率)が並んで掲載されています。借り入れに頼りすぎている会社がどうかを判断するには便利で、ROEに比べてROAが低すぎる会社は要注意です。
『会社四季報』の後ろに掲載されている、「『企業の継続性』にリスクがある会社一覧」も必ずチェックし、継続企業の前提に疑義の注記がある会社には手を出しません。重要事象等の記載がある会社の場合は、投資にするにしても大きい金額にならないように気をつけています。
しっかり黒字を出しているのに営業キャッシュフローのマイナスが続いている会社も注意が必要です。回収不能な売り掛けがあったり、滞留在庫がたまっていたりする場合や、粉飾している可能性もありえますので。
足立 武志(あだち・たけし)/公認会計士・税理士・個人投資家。株式会社マネーガーディアン代表取締役。株式投資に精通し、自らも25年にわたり株式投資を実践。ブログなどで株式投資で成功するために必要な知識・情報を精力的に発信。著書に『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』『株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書』。
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