【番外編】エミンさんは四季報の何をどうやって読み込んでいる?~達人に聞く『四季報』活用法① 【番外編】エミンさんは四季報の何をどうやって読み込んでいる?~達人に聞く『四季報』活用法①

【番外編】エミンさんは四季報の何をどうやって読み込んでいる?~達人に聞く『四季報』活用法①

執筆者:『会社四季報』編集部

本記事は会社四季報公式ガイドブックからの転載記事となります。

「株式投資のバイブル」とも呼ばれる『会社四季報』。投資先を選ぶうえで欠かせない業績や財務などの情報がギュッと詰まっていることから、1936年の創刊以降、長く投資家に愛されてきました。しかしその一方で、あまりにも多くの情報が詰め込まれているがゆえに、初見では取っつきにくさを感じてしまうのもまた事実です。
本連載「四季報AtoZ」では、全11回にわたって『会社四季報』の読むべきポイントをわかりやすく解説。著名投資家の四季報活用法も紹介します。全11回を読破して、あなたの株式投資に『会社四季報』をフル活用してください。


※本記事は、紙面の「会社四季報」の活用方法です。

2009年頃、当時勤務していた証券会社で『会社四季報』を読破して銘柄を選ぶ勉強会に参加したのが最初の出会いです。

全上場銘柄が掲載されている『会社四季報』を読んでいくと、「こんな会社があるのか」と初めて知ることばかりでした。勉強会で最初に選んだ会社はウエストホールディングス(1407)。リーマンショックのあとで全体相場が下落していて、この会社の株価も大きく低迷していました。

目にとまったのは「太陽光発電は中国サンテックとの連携で材料調達安定化」という業績欄の記述。「こんな小さな会社が太陽光パネルの世界大手と連携するのか」と興味を持ちました。その後、株価は10倍になり、さらに最大で約70倍まで上昇しました。

大企業ではここまでの上昇は見込めないですが、『会社四季報』にしか載っていない小さな会社の中にはテンバガー(株価が10倍になること)を狙える会社が多くあります。

『会社四季報』でまずチェックするのは、巻頭にある「見出しランキング」と「市場別業績集計表」。見出しランキングでは「最高益」「続伸」といったポジティブワードと、「反落」などネガティブワードの割合から全体のセンチメントを読み取ります。

市場別業績集計表では市場別の今期と来期の業績の伸びや、前号との違いを確認。その後、各銘柄のページを読んでいきます。

まずは特色欄でどういう会社かを理解し、業績欄、材料欄の記事を読む際には、有力企業との連携や新しい取り組みなど、大きな変化に着目します。「市場シェア1位」「世界初」といったキーワードも見逃せません。マーケットで注目されているテーマに関連する銘柄も要チェックです。「実は半導体関連だった」など、多くの投資家に気づかれる前に割安水準の銘柄も見つけられます。

業績面は基本的に今期と来期が増収増益の銘柄を選ぶようにしています。財務情報で大切なのは自己資本比率。70%以上あれば理想的で、50%を下回ると投資対象には入りにくい。

有利子負債がなく現金等(現金同等物)が時価総額と同水準の場合は、事業の価値が評価されていない「タダ銘柄」と呼んでいます。問題があって評価が低いのでなければ、株価が見直されていることが多いです。

チャートやPBR(株価純資産倍率)などの株価指標は、先に見ると先入観で面白い記事を見逃すので、最後に答え合わせをするような感覚でチェックしています。

『会社四季報』は日本経済がテーマの小説のようなもの。日本の経済や市場を動かしているのは、上場企業約3900社の汗と涙。『会社四季報』はどの会社や業界の調子がよく、どこが苦戦しているのかをすべて物語ってくれます。

辞書のように知りたい銘柄の記事だけを読むのではなく、読破することで初めて全体像が見えます。読み切れなければ、興味のある会社の前後10ページくらいは読むといいでしょう。その業界で何が起きているかをつかむことはできるのでおすすめです。

エミン・ユルマズ/トルコ出身。東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了後、2006年野村証券入社。『会社四季報』を分析し投資ノウハウを教える複眼経済塾の取締役・塾長を経て、2024年独立。

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