株式アナリストの鈴木一之です。
「HOTな銘柄、COOLな銘柄」の2024年5月号をお届けします。
全体相場の振り返り
日本をはじめ世界の株式市場は、5月はいったん反発する展開となりました。
4月を通じて上昇に向かった米国の長期金利が5月は低下方向に向かい、それによって株式市場にはリスクマネーが徐々に戻ってくる動きが顕著でした。
NYダウ工業は5月17日、わずか1日だけですが史上初めて、終値で4万ドルの大台を突破しました。
S&P500、Nasdaqもそろって史上最高値を更新しています。
全体としては景気動向と物価情勢の不透明感が強く、日経平均は5月相場で反発したとはいえ、わずか+0.21%の上昇にとどまりました。
今もって膠着感の強い展開を余儀なくされています。
TOPIXも反発し上昇率は+1.06%でした。
大型株、バリュー株が堅調で、3月と4月に続いて5月相場でも、日経平均に対してTOPIXが優位を保っています。
反対に小型株市場は依然として軟調です。
小型成長株には投資資金が向かいません。
東証グロース市場250指数(旧・東証マザーズ指数)は▲4.48%と大きく続落しました。
米国の長期金利は低下方向にありますが、逆に日本では金利の上昇基調が一段と強まりました。
小型成長株にはアゲンストの風が吹き続けています。
米国市場の金利動向に世界中が注目しています。
NYダウ工業株は4月相場では金利上昇を受けて6か月ぶりに反落しましたが、5月はすぐに切り返し+2.30%も上昇しました。
4万ドルの大台を初めて突破しました。
同様にS&P500も、5月相場では+4.81%上昇しました。
Nasdaq総合指数も+6.89%と反発し、どちらも史上最高値を更新しています。
長期金利の低下が鮮明です。
米国の10年物国債金利は4月末の4.68%から、5月末には4.50%に低下しました。
原油価格も弱含み、WTI先物価格は4月末の81.30ドルから5月末には77.18ドルに下落しています。
米国経済指標の予想を下回る結果で金利上昇には一旦の歯止め
5月初旬は日本ではゴールデンウイークの大型連休で、その休み中に注目すべき動きがいくつもありました。
米国では月初、恒例のISM景況感指数と雇用統計が発表され、どちらも景気の弱さを示す内容となりました。
特に4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが17.5万人(予想は24万人)、失業率は3.9%(同3.8%)、平均時給の伸びは0.2%(同0.3%)で予想を下回るものでした。
ISM非製造業景況感指数も49.4となり、分岐点の「50」を割り込み、市場予想の52.0も下回っています。
1か月前とはちょうど反対で、このような弱めの経済データによって、目の前の急激な金利上昇、およびドル高・円安に歯止めがかかったと見られます。
金利先物市場の動きに基づいて市場参加者が形作る「フェドウオッチツール」は、年内の利下げ回数は5月6日の時点で「年2回」となりました。
GW前の「年1回」から利下げ予想が増えています。
これによって4月末に4.69%を記録した米10年国債金利は、5月半ばには4.34%まで急低下しています。
為替市場にも大きな動きがありました。
GWの真っただ中にどうやら為替市場で円買い介入が実施されたと見られます。
財務省は一切コメントせず、為替介入の事実を認めていませんが、断続的に大口注文が入ったことから、トレーダーは異口同音に為替介入の発動を指摘しています。
連休前半の4月29日(月祝)に円相場は対ドルで154円台まで急上昇しました。
その直前に34年ぶりとなる160円台まで売り込まれていたために、為替市場における円買い介入が実施されたとの見方がもっぱらです。
同じく3連休明けの4月30日(火)も東京時間の早朝に円相場が再び急伸したため、これも円買い介入による動きと推察されます。
円はそれまでの157円から153円まで、わずか1時間で4円以上も円高に動きました。
実際に資金移動によって2日後に判明したところでは、1回目の介入で5兆円強の資金が投じられ、続く2回目の介入で3兆円強、合わせて8兆円の資金が一度の投入された模様です。
市場筋によれば、いずれの介入も5兆円規模のかなりまとまった金額が投入された模様で、介入金額としては、2022年9月から10月にかけて合計3回実施された時の9兆円に次ぐ規模となります。
トータルでは前回の介入時よりも金額は大きく上回ることになります。
これまで一貫して下落を続けたドル円相場の方向転換につながる可能性があります。
日本株は企業の決算見通しと実質賃金マイナスの転換点に注目
市場の変化としては、5月は日本の3月決算企業の決算発表が集中する時期です。
企業からの決算発表がこの時期はきわめて重要な要素となります。
主要上場企業の前期(2024年3月期)決算は、純利益が+18%と3年連続で過去最高を更新しました。
しかし今期(2025年3月期)は▲4%と5年ぶりの減益予想にとどまっています(日本経済新聞調べ)。
今期業績が伸び悩む理由として、(1)中国および欧州の景気減速、(2)円安効果の剥落、(3)賃上げ、AI投資、研究開発費など費用先行、の3つが挙げられます。
企業収益の伸び悩みとは言っても、企業の想定為替レートは1ドル=144円で、実勢レートよりも10円ほど円高に設定されています。
集計対象企業の6割が想定為替レートを145円台と保守的に見込んでいます。
企業は円安を当てにすることはなく、収益見通しを必要以上に大きく見積もることもなく、不透明極まる「VUCAの時代」をしっかりと見つめていると見られます。
かつては人件費を経営コストとしてネガティブにとらえていましたが、それを前向きな経費として考え直し、賃上げには積極的に取り組んでいます。
その上で政策保有株の売却を進め、自社株買いや配当金支払いなど株主還元策を手厚くしています。慎重な収益見通しは期が進むにつれて引き上げられ、市場からの見方も変わってくることになるでしょう。
反対に、日本はマクロ経済の弱さが目立ってきました。
日本の1-3月期のGDPは、前期比▲0.5%、年率換算で▲2.0%となり、2四半期ぶりのマイナスで、市場予想の年率▲1.5%も下回っています。
訪日外国人によるインバウンド消費は輸出としてカウントされますが、それだけでは補うことはできなかったようです。
個人消費は前期比▲0.7%と4四半期連続でマイナスです。
リーマン・ショックの直後、2009年1-3月期以来、15年ぶりのことです。設備投資は前期比▲0.8%で2四半期ぶりのマイナス。民間住宅も▲2.5%の減少でした。
年度トータルでは前年度比+1.2%と、3年連続でプラス成長を記録しました。
物価上昇によって個人消費は弱められ、その分を輸出と設備投資で補っています。
実質賃金のマイナスがどこで転換するのか、それが次の焦点となりそうです。
名目成長率は+5.3%、GDPは実額で558兆円となり、2018年度以来、5年ぶりに過去最高を更新しています。それでもドイツに抜かれ世界第4位に後退しました。
なおも拡大する需要で1000ドルの大台を突破したエヌビディア
企業業績と言えば、エヌビディアがひとりで好調です。
生成AI時代の空前の好決算と、それに伴う株価の急上昇からもう1年が経過しました。
画像処理半導体(GPU)に対する需要は少しも衰えず、それどころかさらに需要は拡大しています。
5月22日(水、現地)に発表された2-4月期の決算は、売上高が260億ドル、前年比3.6倍に拡大。
アナリストの事前予想は245億ドルでしたので、今回も予想を大幅に上回っています。
続く5-7月期の見通しも好調で、売上高は280億ドル前後に達し、市場予想の265億ドルを大きく上回りました。
株価は史上初めて1000ドルの大台を突破しています。
革ジャンがよく似合うジェンスン・ファンCEOは「新しい産業革命が始まった、私たちは次なる成長への態勢が整っている」と全世界に向けて高らかに宣言しました。
この動きに連動して東京株式市場でも、半導体関連株が軒並み物色されました。
レーザーテック(6920)とディスコ(6146)が直後にそろって上場来高値を更新し、MARUWA(5344)、大阪有機化学工業(4187)という、これまであまり手がけられてこなかった小型の半導体関連株が広く買い直されました。
しかし、東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、スクリーンHD(7735)のような半導体セクター、いわゆる中核銘柄は、かつて見られたほどの上昇は見られず、半導体セクター全体への波及効果はきわめて限定的なものにとどまりました。
これらの銘柄はすでに買うべき人は買ってしまい、株式市場での新たな買い需要が起こりにくくなっているようにも見えます。
HOTな銘柄
続いて5月相場で上昇が目立った銘柄、「HOTな銘柄」をご紹介します。
上昇が目立ったのは「電力株、および電力設備投資関連株」と「業界再編関連株」とでも呼ぶべき銘柄群です。
電力株、および電力設備投資関連株
5月相場で最も鮮明に物色の方向性が見られたのは電力株です。
さらに電力設備投資関連株にも力強い買いが広がりました。
北海道電力(9509、第8位、1,122円→1,650円、+47.0%)
東北電力(9506、第27位、1,219円→1,591円、+30.5%)
北陸電力(9505、第44位、927円→1,162円、+25.3%)
九州電力(9508、第47位、1,467円→1,832円、+24.9%)
電力設備投資関連株については、すでに前月の4月相場でもその萌芽は見られました。
その時に大きな物色テーマとしての方向性を生じさせたきっかけは、米国のマイクロソフトの日本への投資金額です。
マイクロソフトが日本において過去最大となる29億ドル(4400億円)を投じてデータセンターを拡充する計画が明らかになりました。
このデータセンターはもっぱら生成AI向けのデータ管理に用いられます。
生成AIを活用するには学習用のデータがそれこそ大量に必要です。
そのデータを集めておくのがデータセンターで、そこでは画像処理を高速で行うことのできるGPUが大量に必要とされます。
エヌビディアの決算が予想を上回る好調となったのは、このような生成AI用のデータセンターの需要が急拡大していることが背景にあると見られます。
そのためにマイクロソフトは日本で東西2か所のデータセンターを新設し、最先端のGPUを搭載してオープンAIの「ChatGPT」を側面支援することにしました。
そのデータセンターを動かすための電力が将来不足する恐れが出てきました。
膨大な電力を必要とする生成AI用のデータセンターが今後、日本でも大量に建設されると、世界有数の工業国家である日本でも、途上国のように電力不足に陥ると予想されます(電力中央研究所の試算では、2050年には現在よりも4割近く電力使用量が増えるそうです)。
そこで4月に続いて5月相場でも電力株が広範囲に物色されました。
中でも政府肝いりの先端半導体の製造拠点となるラピダスが巨大な工場を構える北海道で、そこでの北海道電力(9509)が1か月で+5割近くも株価が上昇しました。
データセンターの建設用地は都市部ではなく、地方にあります。
東京や大阪のような大都市圏では遊休土地がありません。
そこで比較的余力のある北陸電力(9505)や東北電力(9506)、九州電力(9508)が一貫して人気化しています。
電力株と同じように、電線メーカーの古河電工(5801、第45位、3,387円→4,233円、+25.0%)や、変電設備の明電舎(6508、第60位、3,510円→4,280円、+21.9%)がにぎわっています。
発電所やデータセンターへの投資、半導体の製造工場の投資など、地方経済が一気に活性化するという期待が生まれ、それに伴って資金需要が増すと見られる地方銀行株までが買われました。
北洋銀行(8524、第34位、455円→582円、+27.9%)、いよぎんHD(5830、第55位、1,206円→1,477.5円、+22.5%)、秋田銀行(8343、第56位、2,086円→2,555円、+22.5%)などが堅調です。
データセンターは発熱量もすさまじく、その熱を抑制するための空調設備も必要とされるとあって、高砂熱学工業(1969、第59位、5,290円→6,460円、+22.1%)を筆頭に空調設備に関連する銘柄も一貫して人気化しています。
米国の金利低下が鮮明化したのが5月相場のひとつの特徴です。
そうなると通常ならばグロース株が物色の中心に浮上します。グロース株の代表格は半導体関連株です。
しかし半導体関連株はすでにこれまで半年以上にわたって、株式市場の物色テーマの中心にあり続けました。
エヌビディアがどんなに良好な決算内容を発表しても、買いが集まるのはもはやエヌビディアだけにとどまり、その周辺にある他の半導体関連株はさすがに上値が重くなってきました。
すでに買うべき人はすっかり買い尽くして、新たな投資資金が流入するにはもう少し相場が暖まり、時間が経過してからになるとの印象が持たれます。
そこで5月相場では、金利低下で買われるはずのグロース株(半導体株)に代わって、テーマ性のある電力設備投資関連株(すなわちバリュー株)に物色のホコ先が集中したのではないかと見られます。
業界再編関連株
ここではひとまず「業界再編関連株」とタイトルをつけましたが、もっと広い意味合いにまたがっているように見えます。
別の表現もあるのでしょうが、5月相場では中心となるテーマが見当たらないほど物色動向は横に広がっている感が強まりました。
その「業界再編関連株」ですが、ひとつはトラックなどの運送業界です。
日本中で大きな問題となっている「2024年問題」に関連しています。
働き方改革の一環として、輸送業界には月間の残業時間を960時間に抑える法規制が4月から導入されました。
これまで法律の施行が先延ばしされていただけで、これによって日本の物流の中核を担うトラックドライバーは低賃金の長時間労働が是正されますが、その代償として日本の物流そのものが3割以上も減少するとされています。
物流業界はいよいよ待ったなしの構造改革が迫られています。
運送業界や荷主企業は、企業系列や業界の慣行を越えて合理化を進めています。
しかしそれでも積み荷の配達と人繰りが追いつかないのが実情です。
そこで企業間の買収、提携、資本参加が活発化しています。
株式市場で大きな話題を集めているのが、冷凍・冷蔵物流のC&FロジHD(9099、第10位、3,340円→4,865円、+45.7%)を巡る買収合戦です。
「桃太郎便」のAZーCOM丸和HD(9090)が3000円でC&FロジHDに対してTOBを実施すると表明しました。
AZーCOM丸和は、2022年ごろから低温物流に強いC&Fロジに対して買収提案を持ちかけていました。
しかしC&Fロジはその案に対して色よい返事をしてきませんでした。
現在もC&Fロジ側はAZーCOM丸和からのTOB案には賛同していません。
そこでAZーCOM丸和はC&Fロジからの賛同のないままにTOBを開始することになったのです。
そうなると今度はAZーCOM丸和の提案に対抗する形で、佐川急便を有するSGホールディングス(9143)がホワイトナイトとして買収に乗り出しました。
TOB価格は5740円で、AZーCOM丸和側の3000円を大幅に上回っています。
C&FロジはSGHDのTOBには賛意を示しており、株価は新たなTOB価格である5740円にさや寄せする形で大幅高となっています。
アルプス物流(9055、第2位、3,210円→5,670円、+76.6%)
アルプスアルパイン(6770)の物流子会社であるアルプス物流(9055)に対して、米国の投資ファンド・KKRの傘下にあるロジスティードがTOBを表明しました。
実現すればアルプス物流は上場廃止となります。
親会社のアルプスアルパインは株式の保有比率を現在の5割から2割まで引き下げた上で、非上場化後も保有を続ける意向です。
TOBを実施するロジスティードは、かつての「日立物流」です。
日立グループから切り離されてKKRの傘下に入り、独自に事業規模の拡大を図っています。
ロジスティードとアルプス物流の売上高を単純に合計すると1兆円に迫ることになり、SGホールディングスに次いで業界第4位に浮上します。
トラックとドライバー、クライアントを一度に獲得できるために物流業界では、TOBを通じた業界再編が今後さらに活発になる可能性があると見られます。
インフォコム(4348、第1位、2,700円→4,860円、+80.0%)
情報・通信セクターではインフォコムを巡る大株主の異動に関する話題がしきりと飛び交いました。
インフォコムは医療機関向けシステム開発と電子コミックの配信が収益の2本柱です。
コロナ禍以降、同社の運営する「めちゃコミック」が好調で、前期も過去最高益を更新しました。
大株主は帝人(3401)で株式の55%を握っています。
その帝人の大株主にアクティビティストとして知られるオアシス・マネジメントが登場し、株式を2.49%保有していることが判明しました。
オアシスから帝人に対してはまだ何の要求も出されていませんが、55%の株式を保有するインフォコム株を売却して成長投資に向けるなり、株主に還元するなり、なんらかの要請が出されても不思議ではありません。
報道によれば、米国の有力投資ファンドであるブラックストーンがインフォコムを買収する意向を早くも示しているようです。
帝人が保有するインフォコムのすべての株式を売却し、ブラックストーンがそれを取得した上でインフォコムを非公開化するというスキームです。
インフォコムの業績が好調なだけに、ブラックストーン以外の投資家がさらに上値を切り上げる形で買収合戦に発展する可能性も残されています。
東証による市場活性化策(PBR1倍割れ解消の要請)の通達以降、表に出てきた案件や水面下で進行中の案件も含めて、今の株式市場では上記のような業界再編の案件が活発化しています。
ひとつの案件が発表されると、それが引き金となって類似する企業や業界の別の案件に発展してゆく、まるで一連の鎖(チェーン)のような展開が始まっているように見えてきます。
COOLな銘柄
続いて5月相場で値下がりの目立った銘柄、「COOLな銘柄」をご紹介します。
業績悪化銘柄
決算内容が少しでも悪い企業には、容赦ない売りが浴びせられています。
特に今期の見通しを慎重なスタンスで開示した企業ほど下げが目立ちます。
リックス(7525、第1位、4,490円→3,055円、▲32.0%)
福岡県に本社を持つリックス(7525)は産業機械の商社で、メーカー機能も合わせ持っています。
顧客は鉄鋼、自動車、タイヤメーカーで、業績は最高益更新が期待されるほど順調に伸びていると見られていました。
しかし5月15日に発表した2024年3月期の決算では、前期は売上高が497億円(前年比+10.0%)、営業利益が35.4億円(+6.6%)と最高益を更新したものの、伸び率が鈍化しつつあります。
中国経済の悪化によって産業機械向けの鋼材需要が落ち込んでいること、および原材料価格の上昇、円安の長期化が主因と見られます。
そして今期は売上高で510億円(+2.5%)、営業利益は33.0億円(▲6.9%)と減益に落ち込む見通しです。
このような慎重な見通しを打ち出したことによって、決算発表の直後から株価は大きく下落しました。
西本Wismetac(9260、第5位、5,840円→4,150円、▲28.9%)
国内外の外食店にアジアの食材を卸す専門商社の西本Wismetac(9260)も業績好調組から一転して株価が急落しました。
日本でもエスニックなアジアン・レストランが人気を博しています。
そのトレンドをとらえて西本Wismetacは業績を大きく伸ばしていました。
しかし5月15日に発表した2024年12月期の第1四半期の決算は、売上高が802億円(+15.0%)だったものの、営業利益は14.0億円(▲55.6%)と大幅な落ち込みとなりました。
価格改定で売上げは順調に伸びたのに対して、人件費の高騰や賃料・仕入価格の上昇、成長投資にかかる費用の増加によって利益が圧迫されています。
第1四半期の時点で中間期、通期の業績見通しを早くも下方修正しており、2024年12月期は売上高こそ当初の見通しと変わらないものの、営業利益は150億円→120億円、当期純利益は90億円→80億円にそれぞれ引き下げられました。
市場では、企業側から提示される今期の業績見通しが慎重に傾き過ぎると警戒されている時期だけに、このような下方修正にはマーケットはきわめて敏感に反応します。
日本最大の再エネ発電所のレノバ(9519、第2位、1,488円→1,023円、▲31.3%)、難病・希少疾患用治療薬の日本新薬(4516、第3位、4,364円→3,073円、▲29.6%)、ヒト成長ホルモン製剤のJCRファーマ(4552、第4位、815円→574円、▲29.6%)など、事前の成長期待が高かった銘柄ほど、今期の業績見通しの悪化で株価は大きく下落しました。
それらの企業の株価は、下方修正の発表直後にストップ安まで下落し、その後も下げ止まらず軟調な推移をたどるというケースです。
業績の底打ち、回復が確認されるまで売り圧力は収まらないという見方が多いようです。
以上
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