イタリア・トリノで4月29日~30日に「G7=主要7カ国=気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されました。
この中では焦点の石炭火力発電においては、温室効果ガスの削減対策が取られていない設備を2030年代前半までに段階的に廃止することなどで合意しました。
また、2030年に再生可能エネルギー3倍、エネルギー貯蔵設備(蓄電池)を6倍に拡大するなどの目標を掲げる閣僚声明を発表しています。
具体的には再生エネルギーで、2030年までに世界全体の発電容量を3倍に引き上げる目標の実現に向けて、蓄電池などによる電力の貯蔵量を、2022年までの実績である230ギガワット(GW)の6倍以上となる1,500GWに増やすとしています。
蓄電効率向上とコスト削減のために、定置式蓄電池の開発と導入を進めます。
系統の計画や運用に蓄電池を使うための技術も強化するということです。
太陽光や風力などは、日照時間や風の量や強さなど天候や時間帯、さらには季節などで発電量が大きく変動します。
発電量が足りないケースばかりではなく、過剰発電も問題になっています。
これまで再生エネルギーは、一般系統を経由する場合、送電網の容量を超えた分について「出力制御」という形で捨てられているのが実情です。
蓄電池を使うことでこうしたロスを減らすことができるようになります。
2024年度からは電力の需給を調整して報酬を得る「電力調整市場」が全面解禁されました。
蓄電システムがあれば、価格の高い時に売れる体制が整ったことにもなります。
関連銘柄をピックアップします。
報道によると、2,000億円をかけて全国に蓄電池網を設置するという。
太陽光や風力などで発電した電力が需要を超えた場合などに蓄電池に貯めて、必要に応じて放出する。熊本県にある遊休地に容量約6,000キロワット時の蓄電池を設置する。
今後九州で4万キロワット時まで増やす貯めた電力を系統に供給するほか、需要が大きい半導体工場などへの直接販売も想定するとしている。
北海道や東北でも整備し、2030年度までに総容量を最大200万キロワット時に増やす。
NAS(ナトリウム硫黄)電池を手掛けている。
これは大容量、高エネルギー密度、長寿命を特徴とし、同社が世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システム。
負極にナトリウム(NA)、正極に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを用いて、硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す蓄電池。
鉛電池の約3分の1のコンパクトサイズで、長期にわたって電力の安定供給が可能としている。
電力負荷平準によるピークカット、再生可能エネルギーの安定化に役立つ。
定置用蓄電池の世界的な安全規格である「UL1973」のUL認証を取得している。
レドックスフロー電池を手掛けている。
レドックスフロー電池はバナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池。
電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命であり、発火性の材料を用いていないことや常温運転が可能なことから安全性が高いなど、電力系統用蓄電池に適した特性を有している。
エネルギー密度が低く小型化には向かないが、構造が単純で再生可能エネルギーの蓄電などの大型施設に適している。
商業化に向けて実証実験が複数で続けられている。
UL1973認証を取得。
シリコンウエハの再生事業と中国での新品ウエハの製造・販売が2本柱。
新規事業として期待されるのは蓄電池として有望視されるバナジウムレドックスフロー(VRFB)電池用の電解液。
会社側の資料によれば中国が国策としてリチウム電池に次ぐ柱としてVRFBを掲げており、今後中国が最大の市場になる見通し。
電解液がキーデバイスになる公算が大きい。
2020年6月に両社が、バイポーラ型蓄電池を共同開発したと発表。
バイポーラ型蓄電池は、1枚の電極基板の表と裏にそれぞれ正極と負極を有するシンプルな構造に特長がある。
このため、従来の鉛蓄電池と比較して材料の削減が可能であり、また、体積当たりの容量の向上により重力エネルギー密度は従来の鉛電池の約2倍になるという。
電極基板の積層化により、設計自由度の高い電池構成が可能になり、コスト競争力の改善も期待できる。実用化に向けて開発が進む。
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