アパレル業界の業績が回復傾向にあります。
新型コロナ禍で苦戦しましたが、人流の回復による実店舗の売上高が回復してきていることが主因です。
また、ネット通販などEC(電子商取引)への取組みも功を奏している面もあります。
コロナ禍で販売戦略の見直しを余儀なくされ、自社ECサイトやアプリに展開した効果が出ているものとみられています。
経済産業省が2023年8月にまとめた「電子商取引に関する市場調査の結果」によると、2022年の国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は22兆7,449億円(前年比9,9%増)に拡大しています。
このうち家電や書籍などの物販系が5.4%増の13兆9,997億円と大半を占めます。
日本は少子高齢化の進展や人口の減少で、一般的な消費は減少傾向にあります。
一方、EC市場は着実に市場規模が拡大しているのです。
EC比率が高いのは「書籍、映像・ソフト」が52.2%、次いで「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」の42.0%。
これに対して「衣類・服飾雑貨等」は21.6%となっています。
本や家電はネットで購入が一般的だが、アパレル関係は今後の拡大余地が大きいともいえそうです。
コロナ禍で顧客がネット通販に親しんだ効果もあります。
企業としてはEC活用で顧客データを収集し、これを商品開発に活かすことで広告費の削減や在庫の適正化なども図れるようになりました。
採算の改善にも寄与しているところも少なくないようです。
また、実店舗との連携強化で商機を探る動きも出ています。
OMO(Online Merges with Offline=オンラインとオフラインの融合)がそれで、顧客が販売チャネルの違いを意識せずにサービスを受けられるよう、オンライン・オフラインを分けずにマーケティング戦略を構築する手法です。
なお、越境ECについても増加傾向にあります。
国内のみならず、ECは海外からの需要増加も見込めそうです。
関連銘柄をピックアップします
アパレルメーカー国内首位。
「23区」、「自由区」など、中高価格帯のブランドが軸。
オンワード樫山のOMO型店舗「オンワード・クローゼット/セレクト」の出店を2021年から開始。
実店舗と公式サイト「オンワード・クローゼット」のメリットを融合。
豊富な品揃えやサービスでこれまでのショップと違いコーディネート提案の幅が広がっているという。
オーダースーツも展開。
2024年2月期の営業利益は前期比2.1倍の110億2200万円となったもよう。
総合アパレル大手。
ショッピングセンターから百貨店まで幅広く展開。
ブランドは「アンタイトル」など多数。
コロナ禍で苦戦し、ECモール運営のデジタル事業に注力。
自社ブランドのECモール運営・構築のほか、他社ECモールの運営受託にも展開。
自社は「ワールドオンラインストア」。
コロナ直前の2020年2月期を100とすると、Eコマースは2024年2月期に148見込みと大きく上回る。
ショッピングセンターを軸に「グローバルワーク」、「ニコアンド」などのカジュアル衣料を展開。
25以上のブランドが集結したECサイト「.st=ドットエスティ」を展開。
インフルエンサーを起用し、若年層を取り込み強化。
第3四半期累計の国内EC売上高は509億円(前年同期比13.1%増)。
リアル店舗もオープンし融合を狙う。
紳士・婦人衣料、雑貨のセレクトショップを展開。
通販構成比は昨年12月末で24.5%。
自社EC売上高は2024年3月期第3四半期累計で前年比12.9%増。
20歳代前後向けでEC軸に「シテン」が人気。
実店舗の増加へアパレルを開発へ。
カジュアル衣料店「ユニクロ」を国内外に展開するSPA(製造小売り)の世界大手。
自社開発アプリ「スタイルヒント」を展開。
画像検索で着こなしのアイデアを探すことができ、世界中のファッショントレンドやコーディネートをチェックできる。
OMO戦略を推進し、顧客満足度の向上目指す。
アパレル大手。
東京スタイルとサンエーが経営統合して発足。
2024年2月期の第3四半期のECはコロナ特需の反動で苦戦だが、百貨店経由の売上高は凌駕。国内EC化比率は26.8%。
販売戦略やマーケティング手法を見直し、収益性を保ちつつ売上高の再拡大を目指す。
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