米マイクロソフトが日本でデータセンター(DC)を拡充することを明らかにしたことで、関連銘柄への関心が高まっています。
マイクロソフトは世界最大のソフトウエア開発会社で、クラウドでも世界2位の企業です。
報道などによると2年間で29憶ドル(約4,400億円)を投じ、人工知能(AI)の開発に適した大量の演算処理ができる最先端の半導体を組み込むということです。
日本データセンター協会によると、「DCとは、インターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称」とされています。
いわば、データ処理の専門施設です。
従来は通信の途絶を避けるために、地震の少ない地域に建設されることが多かったようです。
現在では特に生成AIなど膨大な情報を短時間で処理する「頭脳」的な役割が高まっています。
例えばAIがデータを学習し、推論するための計算能力はデータセンター内のサーバーが供給します。
サーバーとは利用者の要求に対して、それに応答したデータを提供するコンピュータやプログラムのことを意味します。
マイクロソフトでは2024年から東西にある2つのDCに、精度向上に向けて最先端のGPU(画像処理半導体)を組み込むとみられます。
マイクロソフトは生成AIで「チャットGPT」を手掛ける企業であるオープンAIと提携しています。
また、クラウドサービス世界性大手の米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2024年1月に、2023年から2027年までの5年間で日本に2兆2,600億円を投資すると発表しています。
クラウドの基幹設備であるDCの増設などに充当します。
また、米グーグルも2021年~2024年にかけて日本に1,000億円を投資し、2023年には同社として国内初のDCを稼働させています。
調査会社の富士キメラ総研によれば、2028年のDCサービス国内市場は、2022年に比べ52.3%増の5兆954億円になると予測しています。
NTT(9432)、さくらインターネット(3778)や日立(6501)などDC運営を手掛けている企業にも関心が高いですが、今回は海外巨大資本の国内参入で、恩恵の大きそうな設備投資関連銘柄をピックアップします。
変圧器の専業メーカー。
小型変圧器に加え、変電所や工場用の大型変圧器も手掛ける。
高機能なDCに対応するには、変電所を作って電力需給を調整する必要がある。
変電所は電機の電圧を変える場所。
電力会社で発電された電力は、変電所を経由して使用場所にあった使いやすい電圧にして供給される。同社の大型変圧器の需要が伸びる可能性あり。
電設工事で首位級。
DCでは熱流体解析などに展開。
DCは演算処理で熱を帯びるために空調が重要。
人や物からの発熱、部屋の大きさと空気の流れなど複雑に関係するが、熱流体解析を駆使して温度や空気の流れを予測し、快適な空調システムを構築する。
同社以外にも空調工事を展開する企業は数多い。
電力量計で国内首位。
売上高の過半は電力会社向け。
グループ企業で配電盤・分電盤の製造・販売を担う大崎電機システムズがDC関連ビジネスを展開。
DCでは停電時間を最小限に抑えることが要求される。
電源の遮断器の自動制御システムに対応した配電盤のほか、ICT(情報通信技術)やサーバーへ安定した電力供給を行うための電源切替盤、さらにはサーバーラック監視システムなどを手掛けている。
電線大手の一角。
光ファイバーケーブルにも強い。
DCでのデータ需要の増大で、光ファイバーケーブルの重要性が高まっている。
従来の銅線ケーブルに比べて大幅に高速でデータを伝送することができるためだ。
また、長距離でも信号損失が少なく、デバイス間の信頼性の高い通信が保証される。
総合設備の老舗。
電気設備、空調設備などに強みがある。
DCを含む産業施設工事の受注高は2024年3月期の上半期に前年同期比22.4%増の657億6,400万円となっている。
2024年3月期で終了した中期経営計画の重点施策には産業施設工事について、決算説明資料では「国の支援を受けた半導体関連への投資増により、電子デバイス系工場の受注拡大、およびDXやAIの進展によりデータセンターの受注増が顕著」としている。
2025年3月期以降も増加基調となろう。
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