生成AI需要増で関心高まる「HBM」技術関連5銘柄 生成AI需要増で関心高まる「HBM」技術関連5銘柄

生成AI需要増で関心高まる「HBM」技術関連5銘柄

生成AI(人工知能)の需要拡大に伴って、半導体業界では次世代の超高速DRAM(一時的に記憶する半導体)技術に注目が集まっています。
現在主流の代表的なメモリであるDRAMチップを積層化し、高速・大容量のデータ処理を可能にする「HBM(High Bandwidth=バンドウィズ Memory)(高・広帯域メモリ)」がそれです。
メモリは記憶をつかさどる半導体のことです。

生成AIはジェネレーティブAIとも呼ばれ、様々なコンテンツを作り出すことができるAIです。
従来のAIが決められた行為の自動化が目的であるのに対し、生成AIはデータのパターンや関係を学習し、新しいコンテンツを生成することができます。
より大量の情報の処理能力が求められることになり、対応するハイスペックなメモリへのニーズが高まる要因となります。

HBMは3D積層(立体的に積み上げる)メモリ技術の一種で、従来の平面メモリよりもはるかに広い帯域幅を持っています。
帯域は電波や周波数の範囲を示します。
帯域が広い(高い)と、それだけ大量の情報を処理できるのです。

生成AIではGPU(画像処理装置)が使われます。
生成AIでの画像生成などで膨大なデータを高速で処理する際、HBMはその高い帯域幅でGPUの性能のボトルネックを削減することができます。

半導体の製造工程は、回路を形成するまでの「前工程」と、半導体チップを切り出す以降の「後工程」に分かれます。
これまでは前工程の進化が注目されてきましたが、生成AIでの高性能化で、後工程への関心が高まっています。
HBMは後工程の技術です。
半導体の前工程では回路線幅を補足する微細化が進んでいますが、後工程では今後チップの積層化が進むとみられています。

関連銘柄をピックアップします。

東京エレクトロン(8035)
決算説明会で会社側が「AIサーバーの普及でGPUやHBMメモリの事業機会が増加する」と発言との報道。
ボンダーの受注は既に増えているという。
ボンダーは半導体製品の後工程に使われる装置で、異種の半導体を張り合わせて接合し、高性能なチップにするために使われる。

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ディスコ(6146)
半導体の切断、研削、研磨装置で世界首位。
HBMの製造工程ではチップを積層して大容量を実現するためにTSV(シリコン貫通電極)という技術が必要。
TSVは従来よりも工程数が増加し、接続工程で研削、切断などの製品需要が増加。
複雑になるため、高付加価値品の売上寄与が見込まれる。
TSV技術でデータ転送の速度向上、消費電力の削減が可能になる。

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TOWA(6315)
封止や切断加工など半導体後工程用の製造装置大手。
決算説明資料によれば、生成AIの普及によりHBM向けに同社のコンプレッション装置の需要が増加。同社のコンプレッション技術は最先端の樹脂の封止に使われ、パッケージの最小化や極薄化を実現する。積層されたチップの成形や狭ギャップ間への樹脂充填に対応可能なことで、最新HBMの生産に同社のコンプレッション装置が採用されているとしている。

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日本マイクロニクス(6871)
プロープカードで世界3位。メモリ向けでは首位。
プローブカードは半導体の製造工程でウエハの品質を検査する際に用いられる道具。
チップの電極にプローブカードの針を接触させ、電気的検査を行い、良否を判定する。
第2四半期の決算説明会で生成AIの生産拡張でHBMの生産や受注が少しずつ増加してきていると説明。
来年以降にはHBMの領域が大きく伸びていくのではないかとの見方も示している。

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東京精密(7729)
ウエハテスト用装置で世界首位。
前工程から後工程へのウエハ中間検査工程におけるウエハ検査はプローバ、プローブカード、テスターの3つの構成で行われる。
同社は半導体の電気特性を調べるための装置であるプローバに展開。第2四半期の決算説明資料では生成AI案件の増加が受注を下支えと指摘。HBM向けが堅調ともしている。

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和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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