政府系投資ファンドの産業革新投資機構(JIC)が、フォトレジスト(感光材)で世界トップシェアを誇るJSR(4185)をTOB(株式公開買付け)で買収すると発表しました。
1兆円規模のM&Aとなります。
政府は半導体を戦略物資としており支援を強めています。
JICは大半を政府が財政投融資特別会計を通じて出資。国策のファンドといえる存在です。
JSRが強みを有しているフォトレジスト(感光性樹脂)は、シリコンウエハにパターンを焼き付ける際に塗り付ける感光性の樹脂で、半導体の回路形成に欠かせません。
半導体の微細化で重要なEUV(極端紫外線)フォトレジストは世界JSRが首位で、
東京応化工業(4186)、
信越化学工業(4063)、
富士フィルムホールディングス(4901)など、
日本企業が続きます。
半導体分野では、特に素材系の企業は日本が強みを有している分野です。
今回のTOBを機に素材系企業の強みが見直される可能性が大きいといえそうです。
半導体素材関連企業をピックアップします。
半導体の製造工程で使われるフォトレジストの世界大手。超高純度化技術を活かし、洗浄液や高純度化学薬品などにも展開している。
同社では原材料から見直し、フォトレジストの反応性を高めるなど、長年の研究開発で対応してきた。
同社はフォトリソグラフィ工程で使われるフォトレジストや高純度化学薬品といった材料のほか、塗布装置を始めとする製造装置にも展開している。
2019年5月に、EUVリソグラフィ分野で世界トップのASML社と、EUVペリクル事業でライセンス契約を結んでいる。
ペリクルは半導体の露光工程において、微細パターンが描かれたフォトマスク(転写原版)に塵が付着してシリコンウエハやパネル基盤に結像することを防ぐために、フォトマスクのカバーとして使われる保護膜のこと。
ペリクルがないと、塵などの異物がウエハに転写されてしまうリスクがある。微細化が進めば進むほど、ペリクルの必要性が増すことになる。
三井化では21年5月にEUVペリクルの商業生産を開始したと発表している。
独立系の化学企業。半導体材料で、次世代材料開発における品質すり合わせにより、モノマー(単量体)シェアでナンバーワンを確保。
EUVモノマー製品の拡充、周辺材料開発に力を入れている。
最先端レジスト用モノマーでも業界トップシェアと推計される。最先端レジスト用モノマーは金属不純物の混入を極限まで下げることが要求されている。
EUV露光の拡大で、今後、微細化の恩恵をさらに享受することが想定される。
1987年から研究開発に取り組んできた超高純度「クロコダイルシリカ」が半導体シリコンウエハのファイナルポリシング(最終研磨)スラリー(砥粒)の主原料として半導体業界に採用され、現在ではトップシェアを握るまでに成長している。
シリコンインゴットをスライスすることで作られるシリコンウエハは、半導体の微細化に伴って、精密で平坦な形状が求められている。
同社のクロコダイルシリカはナノレベルの精度が要求されるCMP(化学的機械研磨)分野でシリコンウエハの研磨をアシストし、メモリやCPU(中央演算処理装置)などの中核部品の多層化・高集積化に活用されている。
半導体の製造に必要な化学材料を製造販売。
半導体の微細化に伴って、線幅が狭くなればなるほど、従来の絶縁膜では電気を通してしまうリスクが高まる。
同社の「High-k材料」と呼ばれる誘電率の高い膜は、電気を通しにくいという特長がある。
半導体製造向けの高純度溶剤を手掛ける。
フォトレジストの主な原料のひとつが溶剤。
半導体の回路はナノメートル単位と非常に細かく、もし製造工程で使う薬剤わずかでもチリや金属が混じっていると、回線のショートなどの不具合を引き起こす恐れがある。
当社の溶剤は不純物を極力取り除いており、非常に高純度。
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