原油価格が高止まりしています。
ニューヨーク原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート=油種名)先物価格は6月の1バレル60ドル台半ば程度から9月にかけて一時は95ドル台にまで上昇しました。
これは1年ぶりの高値水準です。
米国経済の良好さを背景に、原油やガソリンの使用量が増加するとの見方が背景にありました。
また、中国経済の低迷が懸念される中で、意外に底堅く推移しているとの見方も後押し材料になったとされています。
需給面では米国内原油在庫の減少傾向が明らかになったことや、サウジアラビアなど主要産油国の減産が続いていることも要因です。
9月27日にEIA(米エネルギー情報局)は、WTI原油の貯蔵施設の在庫が2022年7月以来の低水準になったと発表しています。
OPEC(世界輸出機構)加盟国やロシアも減産気味となっているようです。
その後は80ドル台前半まで調整していましたが、10月7日にハマス(パレスチナ自治区ガザを実行するイスラム組織)がイスラエルを突然攻撃したことで、中東情勢に一気に緊張が走ります。
再度上値を試す展開となり、90ドル前後での推移となっています。
イスラエルやパレスチナは主要な産油国ではありませんが、周辺にはサウジアラビアやイランなどの産油国があります。
中東情勢の悪化による政情不安が、これらの周辺国に及ぶことがあれば、石油の生産活動や輸送に影響が出かねないことが価格上昇の材料となっているのです。
特に、輸送における世界的な要衝であるホルムズ海峡で何かあれば、需給面で大きな影響があると専門家はみています。
大手調査機関によれば、2018年には世界の石油消費量の約21%がホルムズ海峡を経由していたと試算しています。
原油価格が上昇すれば、石油関連企業には追い風になります。
安く開発したり、調達した原油が高く売れることで採算が改善するためです。
そこで今回は原油関連企業をピックアップします。
石油業界でスーパーメジャーの一角。世界各地で原油や天然ガスの探査から開発・生産、輸送、精製、販売まで一貫して手掛けている。特に開発生産などの川上部門が主力。株主還元にも前向き。22年まで35年連続増配を記録している。自社株買いも積極的に実施。
世界最大規模の民間石油会社。石油・ガスの探査、生産から精製・販売までを一貫して展開する垂直統合型企業。「エクソン」、「エッソ」、「モービル」などのブランドでグローバルに活動している。40年連続増配。
スーパーメジャーの一角。原油や天然ガスなどの開発、生産、輸送を手掛けている。世界13カ国・地域で事業を展開。北米では石油以外にも、シェールオイルやオイルサンドの開発も行っている。