冷凍食品(冷食)の需要が拡大しています。
日本冷凍食品協会によれば、2022年の国民一人当たりの冷食消費量は24.9キログラム。
10年前の21.2キログラムに比べて17.4%の伸びとなっています。
30年前の1992年は12.9キログラムでしたので、着実に増加していることがわかります。
最大の理由は生産技術の進歩などで昔に比べ味が格段に良くなっていることだと思います。
また、電子レンジや、あるいはフライパンひとつで調理ができることなど、時短ニーズに合っていることも需要増の要因でしょうか。
これにも付随しますが、料理を作ると、どうしても余る食材が出てしまったり後片付けも面倒です。
冷凍で長期保存が可能でもあり、食材ロス削減の観点からも冷食が選ばれている面がありそうです。
一方、事業者サイドからも冷食を活用するニーズが拡大しています。
従来もファミリーレストランなど外食チェーンでは多用されていましたが、個人店などの小規模店舗でも運営コスト、食品ロス削減などの点で利用が広がっているようです。
最近は店の前に冷食の自動販売機を置く事業者も増えています。
家庭用のマーケット拡大という点ではニップン(旧日本製粉)(2001)が2015年に販売を開始した「ワンプレート」冷食がけん引役になっているとの見方もあります。
主食とおかずがセットになっているもので、近年は数多くのメーカーが新商品を投入しています。
ニップンは2015年に「よくばりシリーズ」としてハンバーグとパスタのセットを発売。
その後はアサリご飯とさばの味噌煮などを追加し、現在は和洋中15種類になっているそうです。
2022年にはニッスイ(1332)が「まんぞくプレート」シリーズ、ニチレイ(2871)は2023年から「三ツ星プレート」シリーズを投入しています。
若い人だけでなく、栄養バランスにも優れていることで中高年にも受け入れられているようです。
単品では味の素が冷食ギョーザを簡単に調理できる手法で売上高を伸ばしています。
油なし、水なし、凍ったままで、おいしい羽根つき餃子ができるというものです。
これは餃子に特殊な加工を施し、熱する前のフライパンに置き、そこから中火にするだけで簡単に調理できるようにしたことがヒットの要因です。
以下に冷食関連銘柄をピックアップします。
製粉業界の老舗。業務用に強み。冷食や健康食品など家庭用を強化。2015年ワンプレート冷食「よくばりシリーズ」を投入。2020年に新工場を稼働しラインナップを拡充。アナリストによればワンプレート冷食のシェアは約6割。大豆ミートを使った商品や和食など健康志向製品も手掛ける。
水産の大手。加工・商事のほか、養殖も手掛ける。冷食など食品事業にも展開。2022年9月にワンプレート冷食に参入。「まんぞくプレート」シリーズは有名シェフが監修。ごはんと、おかずはハンバーグ、豚の生姜焼きなど。
冷食、冷蔵倉庫で首位。2023年にワンプレート冷食「三ツ星プレート」シリーズを投入。デミグラスハンバーグ&ナポリタン、チキンステーキ&クリームパスタなどを展開。また、あんかけ焼きそばなどトレー入り個食関連も伸びる。
調味料最大手。シューマイ、から揚げ、チャーハンなど冷食にも展開。中でもギョーザは1972年の販売開始。同社冷食の第一弾でシェアトップ。2012年に油、水なしでパリッと焼けるタイプを投入。
水産の最大手。冷食でも業務用を中心にトップグループ。家庭用ではとんかつ、チャーハンなど幅広く展開。2023年におかずのみの「おかずプレート」を投入。ロールキャベツなどをラインナップ。
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