2026年も日本の株式市場は力強い上昇を続けています。
日経平均は2月9日(月)の取引時間中に+3,000円を上回る上昇幅を記録して57,000円の大台を突破しました。
史上最高値更新です。
高市早苗首相が決断した衆院選で、自民党が単独で議席数の3分の2以上を占める圧勝をしたことが株価上昇の大きな理由です。
加えてその前の週末に米国の株式市場が大きく上昇して、NYダウ工業株が史上初めて5万ドルの大台を突破したことも理由のひとつに挙げられます。
しかしそればかりではありません。
何よりも企業収益が安定していることが株高の大きな要因と見られます。
日本の場合、3月決算企業の7割近くが2026年3月期の業績見通しを上方修正すると見られています。
期初にトランプ関税の影響を厳しく見積もったスタンスが徐々に緩められている結果です。
好業績を背景に上場企業の間では、稼いだ利益を配当金の支払いや自社株買いを通じて株主に積極的に還元するスタンスが定着しています。
株式市場はこのような「積極的な株主還元」の姿勢を高く評価していると見られます。
総合重機の川崎重工業(7012) 川崎重工業(7012)を例に挙げます。
川崎重工業は2026年3月期の業績見通しを引き上げて、それまで▲7%減だった当期純利益の見通しを、第3四半期の決算発表を機に+2%増益の900億円にまで引き上げました。
データセンター向けに設置する分散電源としてのガスタービンの引き合いが増えていることが業績を牽引しており、第3四半期としては受注、売上、利益がそろって過去最高を更新することとなりました。
これによって減益と見ていた通期の見通しが一転して最高益更新へと変わったのです。
川崎重工はそれに合わせて、今期の配当金を前年比+16円増の166円まで引き上げました。
業績好調に加えて、配当金の支払い方針をそれまでの配当性向(30%)から、DOE(自己資本配当率)4%に変更したことが大きな理由です。
配当金の支払い基準として配当性向を採用している企業は、稼ぎ出したその年の利益の水準によって年間の配当金が左右されることになります。
それに対してDOE(自己資本配当率)が基準であれば、単年度の利益の増減から切り離され配当金の支払い額がかなり安定します。
企業はそれだけ将来の業績の安定した拡大に自信があると受け止めることができます。
配当性向を引き上げたり、自社株買いと合わせた総還元性向を高めたり、DOE基準を導入したりと、企業が配当金の支払いを手厚くする動きは今後もますます広がってゆくと見られます。
株式投資の魅力は、業績の伸びに支えられた株価の中期、長期にわたる値上がりにありますが、そのような株価の上昇が持続するには、安定した利益の伸び、そして安定した配当金の伸びが根底にあると考えられます。
キャピタルゲインはインカムゲインに支えられているのです。
DOEを中心に配当金の増額を重視する企業を取り上げてみます。
銘柄ピックアップ
住友金属鉱山(5713) 住友金属鉱山(5713)
銅、ニッケル、金、銀など産業の基礎となる金属製錬を手がける。
日本最大の菱刈鉱山で金を産出し、海外でもチリ、ペルー、豪州、インドネシアに良質の鉱山を多数保有する。
鉱山から金属資源を掘り出して製錬し産業資材、電子材料として供給するサプライチェーンを構築。
今期より新たな配当政策を採用。
配当性向は従来通り35%以上を維持しながら、自己資本比率が55%を上回る場合はDOE3.5%(従来は2.5%から引き上げ)を目安に配当金を支払う。
今期は104円→183円の大幅増配となる見通し。

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ローム(6963) ローム(6963)
カスタムLSIに強い半導体メーカー。
車載、産業機器向けのパワー半導体、アナログ半導体にも強み。
生産システムも自社で開発しており、開発から生産、販売、サポートまで国内外にそれぞれ拠点を配置。
製品の品質と信頼性を高めている。
2027年3月期~2029年3月期までの3年間の中期経営計画では、営業利益1,000億円以上、配当性向は30%以上を目指す。
配当金と自社株買いを合わせた総還元性向で100%以上、金額で2,000億円の株主還元を計画。
ROEの引き上げを目指す。

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アルプスアルパイン(6770) アルプスアルパイン(6770)
「電子部品のデパート」と称されたアルプス電気とカーナビのトップ企業であるアルパインが2019年に経営統合して誕生。
家電製品、情報端末、携帯電話、PC、ゲームなど幅広い分野に電子部品を供給しており、中でも自動車向けは特に強い。
自動車業界の事業環境が徐々に好転しつつあると見て、今後2年間のうちに有利子負債を300億円積み増してセンサー、ソフトウエア開発に力を入れる方針。
事業拡大に合わせて、現在3%としているDOEも引き上げてゆく方向にある。
旧村上ファンドが大株主に名を連ねる。

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しまむら(8227) しまむら(8227)
「ファッションセンターしまむら」を中心に、若者向けの「アベイル」、子ども服の「バースデイ」、雑貨の「シャンブル」、シューズの「ディバロ」を展開。
総店舗数は2200店舗を超える。
庶民的な店舗や品ぞろえからは想像できないほど経営のデジタル化に邁進。
基幹システムを自社で構築し在庫管理をリアルタイム化、店舗運営、マーケティングもデータ中心。
1月末に初の自社株買い(株式数の5.85%)を実施。
今期も最高益更新の見通し。
現在実施中の中期経営計画では配当性向35%、DOE3%を掲げる。

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以上
鈴木一之の市場交差点 ― 経済と社会、変化が交わる地点から考える
富裕層ビジネス(2026.01.16)
2026年の相場見通し(2025.12.29)
精密減速機(2025.12.11)
半導体素材メーカー(2025.11.13)
核融合発電(2025.10.17)





