株式アナリストの鈴木一之です。
2025年が暮れようとしています。
今年も数多くの活躍銘柄が登場しました。
今年の株式市場で最大のニュースは、何と言っても日経平均が52,000円台まで上昇して史上最高値を更新したことでしょう。
デフレからの脱却、インフレ経済への突入に加えて、企業業績が想定していた以上に堅調だったことが株価上昇の要因です。
来たる2026年の相場展望はどのようになるでしょうか。
カギを握るのはやはり現在です。
目下のマーケットで議論されている数々の論点が、新春相場にもそのまま引き継がれるものと考えられます。
2026年の株式市場を展望する上で、国内外の投資家が最も注目している論点は次の3つです。
(1)AIは収益化できるのか(AIはバブルなのか)
(2)米国経済の成長は続くのか(インフレか、雇用減速・景気後退か)
(3)日本はデフレから脱却できるのか(高市政権の成長戦略の実現性)
生成AIに関する巨額投資が全世界的に注目を集めたまま越年します。
ハードウェアを供給するエヌビディアをはじめとした半導体、データセンター関連企業はこれまで驚くべき成長を遂げてきました。
(1)に関して、データセンター向け投資は鎮静化するどころか一段と熱を帯びており、「ハイパースケーラー」と呼ばれるマイクロソフト、グーグル、メタの投資額は5,000億ドルに達すると予想されます。
2026年はその巨額投資に見合う利益を関連する企業が本当に生み出せるのか否かが問われる年となりそうです。
成長が続いている間はよいのですが、決算発表時に少しでも期待に応えられない企業が出現すると、マーケットでの評価は厳しいものになりかねません。
(2)に関して、2025年は米国のトランプ政権による「トランプ関税」に翻弄された年でした。
年後半にかけて関税の影響は「想定していたほどには大きくない」と判明し、それが日本を含めた主要国での株式市場のプラス評価につながりました。
それが2026年には徐々に実体経済に本格的な影響を及ぼすものと見られます。
関税導入による物価への影響がインフレ懸念を呼び覚ます可能性が指摘されます。
同時に米国では雇用拡大の持続力が問われ始めています。
FRBは12月のFOMCにおいて、来年は「年1回」の利下げを、ドットチャートを通じてガイダンスしました。
しかし予想値はいつになく散らばっており意外とあっさり覆される可能性があります。
インフレ再燃か、景気減速か。
米国経済の行方は1年を通じて議論されていくような雲行きです。
(3)に関して。 日本は本当にデフレを脱却したのか。 そうだとしたら日銀の金融政策はどのような方向に向かうのでしょうか。
長期金利は30年ぶりの高い水準に達しています。
為替動向を気にしながらこの点の議論が年明け以降も続きそうです。
高市政権は日本の潜在成長率を高めるために、企業に対して設備投資を促す投資減税策を導入します。
そのためにプライマリーバランスの均衡目標の見直しに踏み切ります。
日本でも強まっている物価上昇を、企業はどこまで価格転嫁できるのか。
それに見合う賃金の引き上げを続けられるのか。
米国以上に日本経済の強さが問われる年となりそうです。
企業サイドからは自社株買いとガバナンス改革の継続によって株価上昇への勢いが続きそうです。
日経平均は1年を通じて下値が48,000円、上値が55,000円という強めの見通しを立てています。
物色対象としては、引き続きAI周辺の設備投資関連株、造船株、銀行株を考えています。
銘柄ピックアップ
ファナック(6954) ファナック(6954)ロボットの世界的メーカー。
工場の自動化、ロボット設備に特化しており、工作機械用のCNC装置では国内シェアで7割、世界シェアで5割を有する。
安川電機とともに世界4大ロボットメーカーとも称される。
12月に入ってエヌビディアとの協業を発表。
エヌビディアの組み込みコンピュータを同社のロボットに導入し「フィジカルAI」に進出する。
新たなAIの活路に世界が注目する。

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産業用の精密減速機、鉄道車両用ブレーキなど精密機器メーカー。
鉄道、航空、自動車、ロボット、建設機械、自動ドアなど、クライアントは多岐にわたる。
中でも産業用ロボットの関節として用いられる精密減速機は世界シェア6割を占める最大手でもある。
舶用エンジンの遠隔制御システムは国内45%、世界でも40%という高シェアを持つ。

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アルミ、銅、ニッケルなど非鉄金属を専門に扱う専門商社。
商社機能とともに製造部門も有する。
日商岩井(現・双日)の非鉄金属部門が分離独立して誕生した。
レアメタルの輸入大手であり、金属リサイクルも手がける。
銅市況が史上最高値を更新し、レアアースは中国が世界の7割を牛耳る現在、レアアースの調達先として同社の役割は一段と増していく。

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セキュリティに強い独立系システム開発会社。
リアルタイムの映像伝送システムや組み込みシステムにも取り組む。
主力製品は企業の社内データを不正アクセスから守るID認証サービス。
ランサムウェアの被害を防ぐ「ワンタイムパスワード」は必ずしも万全ではなく、同社が力を入れる「デジタル証明書」は総当たり攻撃にも有効である。
業績好調。

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以上
鈴木一之の市場交差点 ― 経済と社会、変化が交わる地点から考える
精密減速機(2025.12.11)
半導体素材メーカー(2025.11.13)
核融合発電(2025.10.17)
自動運転技術(2025.09.11)
活発化するスタンダード市場のTOB、MBO(2025.08.15)





