2026年相場見通し
2026年の東京株式市場は国内経済の拡大やそれに伴う企業業績の伸びを背景に堅調な展開が予想されます。
また、米国経済についてはソフトランディングとなり、物価などが落ち着くことが期待されます。
高市内閣は「責任ある積極財政政策」を打ち出していますが、人手不足もあり2026年の春闘では今年度並みの賃上げが実施される見通しとなっており、実質賃金の上昇が軌道に乗るとみられます。
これまでは賃金の伸びよりも物価の上昇が勝っていたことで、個人消費の腰折れ懸念が残っていました。
消費の堅調は企業業績を拡大させ、設備投資意欲も高まることが想定されます。
デフレからの脱却が、経済や株価を押し上げる要因になりそうです。
企業業績では2027年3月期はトランプ関税の影響一巡もあり、大手調査機関では営業利益は今期予想に比べ12%の増益と試算しています。
2026年3月期の日経平均株価の1株利益は2,690円前後。
来期12%増益なら、単純計算で3,000円強となります。
仮にPER20倍まで評価すれば日経平均株価は6万円に乗せる計算になります。
リスク要因は米国経済の予想外のインフレや、景気の失速などがあげられます。
国内では高市内閣の支持率低下や急速な長期金利の上昇などが挙げられます。
なお、2026年の干支は「午年」です。
格言に「午尻下がり」とあるように、12支の中で年間パフォーマンスが悪いことに注意が必要かもしれません。
物色は高市政権が掲げる重点17分野が軸となりそうです。
特にAI・半導体、造船、防衛、デジタル・サイバーセキュリティなど経済安全保障に関係する分野が中心とみられています。
来年度予算や6月ごろに閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、市場の関心も高まる可能性があります。
上記以外はPBR(株価純資産倍率)1倍割れで配当利回りの高いバリュー株は来年も選好されそうです。
2026年に注目されそうなテーマと銘柄をピックアップします。
「フィジカル(物理的)AI」
ロボットが現実の世界を認識および理解し、最適な行動を起こすAIのこと。人の言葉を理解し、自律的に制御する。
生成AIを活用する。
安川電機(6506) 安川電機(6506)
産業用ロボットやモーションコントロール(制御)などに強みがある。
先端産業用ロボット「MOTOMAN NEXT」にはエヌビディアのAI半導体GPUが搭載されている。
2025年12月にソフトバンク(9434) ソフトバンク(9434) と協業し、ヒト型ロボットを活用したフィジカルAIに展開すると発表。

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ファナック(6954) ファナック(6954)
産業用ロボット世界大手。
工作機械用NC(数値制御)装置では世界首位。
2025年12月にエヌビディアと産業用ロボットのフィジカルAI実装を推進すると発表している。
エヌビディアの組み込みコンピュータを活用し、ロボットが人の指示を理解して、適切な動きをできるようにする。
国際ロボット展でデモを展示。

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「造船」
政府が造船復活を後押し。かつては世界首位だったが、今や中国がダントツトップ。
経済安全保障の観点から巻き返しを目指す。
米国との連携も視野。
名村造船(7014) 名村造船(7014)
造船の準大手。
大型タンカーからばら積み船、小型タンカーまで幅広く手掛ける。
2014年には当時上場企業だった佐世保重工業を子会社化。
海上自衛隊艦艇、米軍船艇の修繕需要の取り込みも進めているもよう。
M&Aで規模を拡大し、大型船の建造も可能になっている。

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中国塗料(4617) 中国塗料(4617)
塗料業界大手。
船舶用塗料では世界で2位。
社名の英文表記は「Chugoku Marine Paints」。
世界20か国で事業を展開している。
造船需要増を背景に、新造船向けの塗料が順調に拡大している。

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「サイバーセキュリティ」
2025年は飲料のアサヒグループホールディングス、日用品配送のアスクルなどがランサムウエア(身代金要求型)攻撃の被害を受けた。経済安全保障面からも高市政権ではサイバーセキュリティをさらに強化する方針。
網屋(4258) 網屋(4258)
セキュリティ関連の自社ソフトやサービス開発に強みがある。
データセキュリティ事業ではサーバー攻撃などを感知するログ管理ソフト「ALog」が主力製品。
9か国に14代理店を展開している。
ネットワーク構築サービスにも強みがある。

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グローバルセキュリティエキスパート(4417) グローバルセキュリティエキスパート(4417)
民間企業や官公庁の情報通信ネットワークを防御するサイバーセキュリティの専門企業。
コンサルティング、脆弱性診断、セキュリティソリューションなど、日本初のセキュリティ全体像を網羅した教育サービスを提供している。

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「バリュー株」
日本製鉄(5401) 日本製鉄(5401)
粗鋼生産で国内首位。
米USスチールを買収するなど世界でも大手。
2031年3月期に実力利益1兆円以上、ROE10%程度を目指す計画を発表。
期間中の下限配当は年24円(今期予想と同じ)。
PBR0.6倍、配当利回り約4%。

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三井化学(4183) 三井化学(4183)
総合化学大手だが、機能性材料に経営資源をシフト。
半導体微細化向けの防塵カバー「ペリクル」などに期待。
11月開催の経営概況説明会で株主資本配当率(DOE)を早期に4%に引き上げることを視野に入れることを表明。
現在は3%以上。PBR0.8倍、配当利回り3%台後半。

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