デジタル技術の見本市である「CEATEC(シーテック)2025」が10月14日~17日に幕張メッセ(千葉県)で開催され、私も取材に行ってきました。
CEATECは2000年に第1回が開催され、当初はデジタル家電の見本市としてスタートしました。
当時は最新の薄型テレビやオーディオなどが技術を競っていました。
時代の流れとともに、2016年に脱・家電見本市を宣言して以降、Society5.0の実現を打ち出して、「CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT」と「共創」で未来の社会や暮らしを描く、デジタルイノベーションの展示会に舵を切っています。
具体的にはテクノロジーを活用することで、いかに人々の暮らしを豊かにできるかを発信しています。
Society5.0とは政府が打ち出したもので、「サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会課題を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。
デジタルの変革で便利な世の中になる、といった意味合いでしょうか。
26回目の今回の開催テーマは「Innovation for All」です。
主催者によれば先端の技術の披露にとどまらず、テクノロジーが社会や暮らしにいかに貢献できるかを具体的に示し、人々の共感と参画を促し、イノベーションの社会実装を加速させることを目指すということです。
810社の出展企業・団体が参加しました。
AI(人工知能)の関連技術や、それを活用したサービスなどを展示しているケースが多かったです。
会場はAIに特化した「AX(AIトランスフォーメーション)パーク」、暮らしに関するDX技術や外国の展示がある「パートナーズ&グローバルパーク」、スタートアップが集う「ネクストジェネレーションパーク」、それに一般展示の区域が広がっていました。
今回は、取材したブースのリポートです。
富士通(6702)
富士通(6702)
「人の能力を拡張させるAI」をテーマに出展。
人の動きをデータ化する「骨格認識AI」とその取得データを分析し、運動能力の向上に貢献する体験型デモンストレーションを展示していた。
会場にはプロでも攻略が難しいとされる「東急セブンハンドレッドクラブ」の名物バンカーを再現。
高低差約1.6メートル。
骨格認識AIとスイング解析アプリが参加者のバンカーショットのフォームを再現し、ショットにおける課題を把握。
さらにAIエージェント(自律的に課題を実行できるシステム)が、その解析結果をもとに個別の改善策を提案。
実際に“AIコーチ”のレッスン後に一発でグリーンオンする参加者も多数いた。
富士通の発表資料では「複雑かつ高度な動きをAIによって可視化・解析することで、スポーツや医療など多様な分野における能力の最大化を支援し、ウェルビーイングの向上に貢献する」などとしていた。
三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年10月20日まで
TDK(6762)
TDK(6762)
「アナログリザバーAIセンサシステム」を展示。
リザバーコンピューティングは特に時系列、つまり時間とともに変化する情報の処理に力を発揮する。
リザバーは「ため池」を意味するという。
リザバーAIチップを使い、比較的少ない学習で複雑なパターンを予測する。
このチップとTDKの加速度センサーを組み合わせ、「絶対に負けないじゃんけんマシン」のデモ機を公開。
対戦する人は親指にセンサーを付けてデモ機とじゃんけんをするが、リアルタイム(高速・高効率)計算で、何を出すかを学習して勝つか引き分けることを可能にしている。
つまり、高速推論でプレイヤーを先読みする。
センサシステムの具体的な商品化などは決まっていないというが、端末などのエッジAIでの活用を想定しているという。
なお、「エッジ向けアナログリザバーAIチップを用いたリアルタイム学習機能付きセンサシステム」が優れた技術などを評価する「CEATECアワード」の「イノベーション部門賞」を受賞した。
三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年10月20日まで
村田製作所(6981)
村田製作所(6981)
先ごろ閉幕した大阪・関西万博で話題になった「ふしぎな石ころ」を展示。
これは世界初のユニバーサルハプティック(振動)デバイス「echorb(エコーブ)」。
つるりとした手触りで光沢のある「石ころ」を握ると、心地よいモーター音とともに手のひらが振動する。
振動しつつ、前や手前に引っ張られているような感覚になる。
同社独自の3Dハプティックス技術で、引っ張られるような感覚の「力覚」、硬さや柔らかさという「圧覚」、触り心地の「触覚」を再現。
この再現のカギが「錯覚」で、あり得ないことを体験できる。
振動を使って脳に錯覚を引き起こすことで、新たな体験を生み出せる可能性が広がる。
三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年10月20日まで




