ビルの老朽化や省エネに関する法律の改正などで、ビルオートメーションへの関心が高まっています。
2026年3月期の第2四半期(4~9月期)決算が一巡しましたが、関連企業の業績が好調である点も注目ポイントです。
ビルオートメーションとは、ビル(建物)内の空調、照明、セキュリティ、防災などの設備などについてIT(情報技術)を活用して自動化し、一元的に管理する仕組みです。
自動的に制御、監視、管理することで効率化し、省エネルギーや快適性の向上、建物管理の省力化を実現します。
まず、老朽化の面です。
国土交通省の建築着工統計調査によると、2005年度の建築着工床面積(非居住用)は約7,200万平方メートルだったのに対し、2024年度は約3,900万平方メートルと約20年で45%減となっています。
一方、2000年代初頭に建設された大型物件が改修の目安とされる築25年を超えてきており、既存ビルは空調、防災システム、エレベーターなど様々な改装案件が増加しています。
さらに老朽化しているバブル期の1990年代前半以降の物件についても継続的な改修案件があるもようです。
ビルを新築するには、材料費や人件費の高騰もあり困難な状況でもあるようです。
日本エレベーター協会によれば、2003年度のエレベーター保守台数は67万1,089台でしたが、2023年度は89万8,116台と20年間で34%増加しているそうです。
また、2025年4月に改正建築物省エネ法が施行され、原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物に省エネ基準の適合が義務付けられました。
政府が進める2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環です。
具体的には建築物の省エネ性能を“見える化”する「エネルギー消費性能の表示制度」などが導入されています。
ビルオートメーション関連への需要がさらに高まる格好となっています。
関連銘柄をピックアップします。
アズビル(6845) アズビル(6845)
制御・自動化機器の大手。
ビルオートメーション関連の売上高比率が約5割を占める国内最大手。
ビルシステム、ビル向けクラウドサービスやリニューアル、空調、入退室管理サービスなど幅広く展開している。
エネルギー管理サービスにも手掛ける。
2026年3月期第2四半期(4~9月)末の受注高は前年同期比8%増の1,006億円。
既設建物向け分野が伸びたことや、大型案件のあった海外事業が増加した。
省エネ、CO2排出量削減需要や、働き方に対するオフィス環境への関心が高かったとしている。
価格改定での採算改善もあり、セグメント利益は同36%増の61億円となっている。
2026年3月期通期の営業利益は前期比10%増の455億円を見込む。
期初の430億円から上方修正。
配当は11期連続増配で年26円を計画。

三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年11月25日まで
日本電技(1723) 日本電技(1723)
ビル空調計装(計測・監視・制御)工事の大手。
ビルの自動システムをトータルプロデュース。
オフィスビルや工場向けに空調自動制御の設計・施工・調整・メンテナンスまでを一貫して手掛けている。
アズビルとも提携している。
2026年3月期は売上高460億円(前期比7%増)、営業利益105億円(同15%増)を見込む。
営業利益は期初予想の92億円から第2四半期決算時点で上方修正している。
空調計装工事は、既設工事における大型改修工事を中心に上期に過去最高の受注高となった。
選別受注で採算も改善。

三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年11月25日まで
ユアテック(1934) ユアテック(1934)
総合電気工事会社。
オフィスビルや工場など様々な構築物の電気工事を行う。
空調管工事、電力設備工事、リニューアル工事なども手掛けている。
一般社団法人ビルディング・オートメーション協会の会員企業。
2026年3月期第2四半期(4~9月期)の営業利益は前年同期比67%増の58億8800万円。
売上高は同7%増。
配電線工事や国内配線工事が増加。
工事採算性も改善。
通期営業利益は167億円(前期比3%増)予想。
中期経営計画では高経年変化設備工事の受注や情報通信工事の拡大などで2028年度に営業利益200億円を目指す。

三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年11月25日まで
ジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544) ジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)
エレベーターの保守・保全、リニューアルで首位。
独立系で多様なメーカー製品を扱えることに強み。
全国でサービスを展開。
2025年3月期の国内保守契約台数は11万3,520台。
2006年3月期は9,200台で、約20年で10倍以上に伸びている。
メーカー・地域の制限なく高品質サービスを提供できる体制の確立や営業員数の増加などでシェアを伸ばしている格好だ。
会社側によると推定シェアは約10%。
2026年3月期の営業利益は前期比23%増の106億円を計画している。
連続最高益更新。
保全・リニューアル業務が想定以上で、第2四半期時点で従来予想比6億円の上乗せとなっている。

三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年11月25日まで
エレベーターコミュニケーションズ(353A・札証アンビシャス) エレベーターコミュニケーションズ(353A・札証アンビシャス)
エレベーターメンテナンス専業。
本社は東京。
国内主要エレベーターメーカーである三菱、東芝、日立、フジテックなどに対応。定期的な保守業務と、点検結果に基づき部品交換・修理、リニューアルなどを行う。
全国展開。
地震災害時に利用者がエレベーター内に貼られたQRコードを読み取って連絡するWeb復旧要請システム「Qサポ」を展開。

三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年11月25日まで





