iPhone12発売で注目が集まる5G関連銘柄
先週、米アップル社が新型のiPhone「12」を発表しました。
話題の一つが次世代通信規格の「5G」に対応していることです。
5Gとは「高速大容量」、「低遅延」、「同時多接続」が特徴です。
高速大容量では映画のダウンロードが短時間で可能になります。速度は4Gに比べて約100倍に。
低遅延とは通信の遅れが生じにくいことで対戦ゲームなどが円滑になります。
同時多接続は、環境が整っていれば、例えば家の中にある家電とも通信できるようになります。
アップルのティム・クックCEOは5Gによってゲームや医療、ビジネスなどの分野で新たなスマホの使い方を創出していく考えを示したそうです。
現在、商用化されている5Gサービスは、実はスマホだけの規格です。
今年7月に工場自動化のためのIoT(どこでもインターネット)や自動運転などスマホ以外の広範囲で使うための規格(専門用語でリリース16)が決まりました。
これらが動き出すのは来年とみられ、5Gの世界はさらに広がっていきます。
そこで、今回は、5G関連で優位性があるとみられる5銘柄をピックアップしてみました。
5G関連銘柄紹介
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村田製作所(6981)
積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界トップメーカー。
性能の高さに定評があります。
コンデンサとは電気を蓄えたり、放出したりする電子部品です。
電子回路や電源回路に使われます。MLCCは小型ながら静電容量範囲が広く、ノイズの除去や電源電圧の平準化、フィルタなど様々な回路に使われています。
一言でいえば、「スマホの高機能化に欠かせない部品」です。
5Gでは4Gに比べて機能が高度化するため、MLCCは一段とたくさん使われるようになります。
アンリツ(6754)
5G向けの通信系計測器で米キーサイトテクノロジーズ社とトップを競っています。
計測器は端末やその部品、基地局などが正常に作動するかどうかを調べる機器です。
現在はスマートフォンの量産用測定器への需要が活発。リ
リース16向けでは今後、まず通信用部品向け測定器から受注がくることが見込まれ、次に基地局用、そして通信キャリア向けに順次受注が来ると見込まれています。
同社の業績は中期的も拡大が続く見通しです。
アルチザネットワークス(6778)
通信計測器の開発業者で、携帯の基地局や交換機向けが主力です。
同社が注力している製品である『DuoSIM-5G』は5Gに対して最も強力な負荷をかけることができるテスト装置。
最先端の5Gネットワークでのパフォーマンステスト項目に対応できるように構築されているそうです。
これまで業績がさえませんでしたが、5G向けの寄与で20年7月に大幅営業増益で復配を達成。今期も増収増益見込みです。
伊藤忠テクノソリューションズ(4739)
伊藤忠系のシステムインテグレータ(SI)です。
SIとは情報システムの構築や運用などの業務を一括して請け負う業者のことです。
5Gでは膨大な通信量が想定されます。回線を太くするだけでなく、高速道路が交差するジャンクションのような役割で渋滞を解消し、情報が滞らないようにする必要があります。
同社はこのジャンクションに相当する部分のシステムの設計と構築を担当しています。高速大容量、低遅延を支える裏方のような存在ですが、業績面への寄与が期待されます。
コムシスホールディングス(1721)
電気通信工事の最大手で、基地局などネットワークの構築に強みがあります。
NTT系が売上高の5割強ですが、他のキャリア向けの工事も取り扱っています。
持ち株会社傘下に多くの通信系企業を擁しています。
総務省は今年6月に、23年度末までに携帯各社が整備する5G基地局数を、当初計画の3倍となる21万局超に引き上げる目標を公表しています。
また、地方自治体などは限定的な場所で5Gを活用する「ローカル5G」を行う意向です。同社のビジネスチャンスが増えていきそうです。
和島英樹
経済ジャーナリスト。
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
日経CNBC毎週水曜日「デイリーフォーカス」にレギュラー出演。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。