皆さん、こんにちは。
小次郎講師です。
今回は「小次郎講師流、チャートで読み解く相場分析」の第8回となります。
今回は日経平均株価が下落していますので、今の株価の下落がどういった状況なのかを、チャートメンタルズ分析を使って分析していきます。
日経平均株価の動きを移動平均線大循環分析で分析
まずは『日経平均株価』のチャートを見てみましょう。
チャートを見ると昨年の11月から今年の2月16日までは非常にわかりやすい上昇相場となっていました。
第1ステージが継続し、帯に傾きが出て間隔が広がっていたのがよく分かります。
ところが、2月16日以降の動きに変化が出てきます。
どういった変化かというと、安定上昇の特徴である高値切り上げ、安値切り上げの動きから、高値を更新しなくなってきました。
ステージも第2ステージや第3ステージに一時移行するなど不安定な動きです。
帯の動きを見ても変化は明らかです。
間隔が広がりながら右肩上がりだった帯が、細くなり徐々に横ばいになってきました。
そして、直近相場を見ると、中期移動平均線が長期移動平均線を下抜けて下降期である第4ステージに移行してきました。
第4ステージは下降期ですので、当然のことですが、「買い」ではなく「売り」に優位性(エッジ)がある状態です。
さらに、2月16日からの動きに2本の平行な線を引いています。
この線のことをチャネルラインといい、高値と高値を結んだ線に沿って平行な線を安値からも引いたものです。
これは、トレンドの方向性とノイズを測るものです。
方向性とは現状の動きが上昇しているのか、下降しているのか、それとも、トレンドが無い状態なのかを確認するものです。
これで見ると第4ステージになる前から下降の動きになっていたのが分かります。
次に、ノイズとは、価格ウェイブのことで、価格は波打ちながら上昇したり下降したりします。
その波の打ち方が大きいのか小さいのかを見るのがノイズです。
一時チャネルラインを下回る動きになっていますので、トレンドの方向性に変化が出てきたのかもしれません。
そういう意味でも現在は非常に重要な局面となってきています。
なぜなら、売りに優位性(エッジ)が出てきたということはトレンドの大転換の可能性もあるからです。
では、ここからのポイントを確認していきましょう。
ポイントは価格の下に200日移動平均線が待ち構えています。
ここを下回ると大局の動きに変化が起きます。
逆に、ここでサポートされれば押し目の可能性が出てきます。
価格と200日移動平均線の関係が大注目だということを認識しておきましょう。
では、次に日経平均株価は下落していますが、米国の株価はどうなっているかを『ダウ工業株30種平均』の日足チャートで確認していきましょう。
上記では日経平均株価のチャートを見ましたが、ダウ工業株30種平均のチャートとは明らかに違いがあります。
どういった違いかというと、日経平均株価は下降期である第4ステージですが、ダウ工業株30種平均は上昇期である第1ステージを維持しているということです。
もちろん、直近は価格の下落により短期移動平均線が帯を試しにきています。
帯を試すというのは短期移動平均線が帯に接近する動きのことをいいます。
強い相場であれば帯でサポートされて第1ステージのまま上昇を続けます。
もしくは、第2ステージになるも直ぐに切り返して第1ステージに戻って上昇を続けます。
逆に、弱い相場であれば短期移動平均線は帯をあっさり下抜けていきます。
そのどちらになるのかを確認するときに、帯を試す動きがあるのです。
現状では帯でサポートされているようです。
このまま高値を更新していけば上昇トレンド復活です。今のところ、帯を試しにきていますので結果待ちといったところではありますが、日経平均株価のような状況ではないということが分かります。
今度は、ユーロ/米ドルの日足チャートを見てみましょう。
その前に、株式市場と米ドルの基本的な関係を確認しておきましょう。
世界に有事(戦争や紛争など)が起きたとか、株式市場が大きく下落するような局面のことを「リスクオフ」といいますが、そういった状況では「有事のドル買い」といいドルが買われやすくなります。
逆に、「リスクオン」という株式市場が上昇しやすい局面のときはドルが売られやすくなります。
では、今のマーケットを確認していきましょう。
2020年は上げ下げしながらもユーロ高ドル安の動きになっていました。
2021年に入ってからはその動きに変化が起きてユーロ安ドル高の展開になっていました。
一時は200日移動平均線を下回る動きになっていましたので、大局の変化が起きそうでしたが、そこから再び切り返して上昇期である第1ステージになってきました。
つまり、現状は200日移動平均線の上で推移していますので、大局もドル安の動きとなっており、ステージでもユーロが高くドルが安い状況であるということが確認できます。
最後に、景気や株価の先行指標となっていると言われている銅の価格を見ていきましょう。
チャートを見ると200日移動平均線が右肩上がりでステージも上昇期である第1ステージであることが分かります。
チャートメンタルズ分析では「世界は連動している」という話をしてきました。
世界的な異変が起きた場合は全てのマーケットが反応します。
しかし、今回のように日経平均株価が下がっても他のマーケットに異変が無い場合は、日本独自の材料で下落しているということが考えられます。
ということは、日経平均株価の第4ステージは注意をしなければいけませんが、大暴落に注意するといった局面ではないということが分かります。
ただし、この後、他のマーケットにも異変が起きれば考え方は変わります。
ここからどういった展開になるのかを、チャートメンタルズ分析という手法を活用して確認していきましょう。
小次郎講師流チャートで読み解く相場分析
日経平均・ナスダック・S&P500の動きを比較! (2021.04.28)
「ビッグチェンジ」を捉え、チャンスを生かそう! (2021.03.18)
米国債利回りと日経平均のトレンドを再確認 (2021.02.18)
日経平均は買いを継続?金(ゴールド)相場との連動を検証 (2021.01.21)
日経平均はトレンドの勢いが継続。コモディティ市場との連動性は? (2020.12.24)
ファイザー開発中ワクチンで市場はどう動く? (2020.11.19)
小次郎講師流チャートで読み解く相場分析!第1回 (2020.10.22)
執筆者:小次郎講師
本名:手塚 宏二
ライフワークは “日本に正しい投資教育” を根付かせること
株式会社手塚宏二事務所代表
チャート分析研究・トレード手法研究家・トレードコーチ
小次郎講師投資塾々長
日本テクニカルアナリスト協会認定 テクニカルアナリスト
■経歴
1954年(昭和29年)岡山県岡山市生まれ
チャート分析の第一人者として、投資セミナー、書籍などを通じて個人投資家向けの投資教育活動を精力的に展開。
■メディア
ラジオNIKKEIレギュラー番組
「小次郎講師のチャートラボラトリー」毎週木曜日17:30放送
・ホームページ
https://kojirokousi.com/
・twitter
https://twitter.com/kojiro_kousi
おすすめ記事
当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。