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トランプ2.0への警戒に緊張感高まる中で資金が向かった先は!?HOTな銘柄、COOLな銘柄 トランプ2.0への警戒に緊張感高まる中で資金が向かった先は!?HOTな銘柄、COOLな銘柄

トランプ2.0への警戒に緊張感高まる中で資金が向かった先は!?HOTな銘柄、COOLな銘柄

株式アナリストの鈴木一之です。
「HOTな銘柄、COOLな銘柄」の2025年1月号をお届けします。

新しい年がスタートしました。
トランプ大統領が2度目の大統領に就任する「トランプ2.0」が始まりますが、そこにはあまり喜びは感じられません。
むしろ世界中が戦々恐々としています。

1月の日経平均の月間騰落率は▲0.73%と2か月ぶりに反落しました。
1月20日の大統領就任式を控えてインフレを警戒するムードが市場には色濃く漂っています。

1期目の大統領職にあった時、トランプ氏は閣僚人事に苦労しました。
そのために2期目は相当に時間をかけて人事構想を練り上げている様子がうかがえます。
上下院による公聴会が何度も開かれ、少しずつ閣僚人事が固まっています。

果たして返り咲きのトランプ氏はどのような政策を打ち出してくるのでしょうか。
この1点に関して世界が固唾を飲んで見守っています。

日経平均の小幅マイナスに対して、TOPIXは1月相場では+0.14%の上昇となりました。
きわめて小さな値幅ですが2か月続けて上昇しています。
テクノロジー株の影響を受けやすい日経平均よりも、TOPIXは大型株の影響が大きく、それだけに終始堅調な値動きを保っています。

また小型株市場にも少しずつ投資資金が戻っています。
東証グロース市場250指数(旧・東証マザーズ指数)は月間でわずか+0.93%の上昇ですが、こちらも3か月連続の上昇となりました。
年ベースでは実に4年連続で下落した後に、徐々に回復の糸口をつかみつつあるようです。
少しずつですが投資マネーが流入しているように感じられます。

TOPIX、日経平均、グロース250

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今年の大発会は1月6日(月)でした。
海外市場に少し遅れて始まった2025年の株式市場の取引は、日経平均が▲587円のスタートとなりました。
3年連続で大発会はマイナスからのスタートです。

日本の長い年末年始の休みの間に、海外市場では軟調な動きが見られました。
トランプ次期大統領は就任式の直後から大統領令を150本発すると公言しており、その影響を世界中のマーケットが警戒しています。

マーケットの警戒心の根底には、「トランプ2.0」で予想される政策ではインフレが再び高進しかねないとの不安が存在します。
米国経済が底堅いことはけっこうなことなのですが、しかしFRBは景気を減速させて物価の上昇を抑えようと苦戦しています。
そのFRBの予想を上回るほどの強い統計データが早くも飛び交い始めています。

そこにトランプ政権で予想される「関税の発動、減税の継続、移民規制の強化」という経済政策がのしかかってきます。

インフレの再加速を警戒して米国では長期金利が上昇しています。
10年国債利回りは1月半ばに瞬間風速で4.8%台まで上昇しました。
それでもトランプ政権での「米国第一」主義を先取りして株価は今のところ堅調です。
S&P500は史上最高値に接近し、イギリスやドイツまでが新高値を更新しています。

大統領就任から100日間はメディアも政策に対しての厳しい論評を避ける「ハネムーン期間」とされています。
トランプ大統領自身も表立っては厳しいスタンスを見せず、持ち味の剛腕、傍若無人な態度は影をひそめ、経済とマーケットにはフレンドリーな姿勢を示していました。

実際に大統領就任式の翌日には、ソフトバンクGの孫正義会長とオラクルのラリー・エリソン会長、それにオープンAIのサム・アルトマンCEOを従えて、ホワイトハウスで記者会見に臨み、AI分野に5,000億ドル(78兆円)もの巨額の投資計画をぶち上げたことにも表れています。

大統領就執務室に巨大テクノロジー企業の経営陣が勢ぞろいするという光景は、世界中のマーケットに大きなサプライズをもたらしました。
年明け早々から生成AI用のデータセンター投資に関連する半導体株や電線株が大幅高となりました。

しかし常に2面性を持つトランプ政権では物事がすんなりと運ぶことはありません。
警戒心がくすぶっているところへ、翌週には突如としてカナダとメキシコ、中国に対して2月4日から関税を発動すると発言しました。

カナダ、メキシコの両国との間ではすぐに首脳同士の交渉が行われ、関税の発動は1か月間延期されることが決定しました。
しかし中国は交渉には応じず、宣告通りに10%の追加関税が課され、中国もその措置に対してすぐに15%の報復関税を発動しています。

始まったばかりのトランプ政権の4年間は、1期目と同様に波乱万丈の展開となりつつあります。
易戦争が再燃する気配に対して市場は最大限の緊張感を持って臨んでいます。

続いて1月相場で上昇が目立った銘柄、「HOTな銘柄」をご紹介します。

1月相場ではこれまでになく個別銘柄の物色に傾く傾向が見られました。
やはりこれはトランプ政権の推し進める政策がわからないため、株式市場では個別材料に特化せざるを得ないということだったのでしょう。

上昇した銘柄も、下落した銘柄もいずれも個々の企業の持つ材料によって激しく株価が動いています。
かなりランダムになりますが、1月相場で目に留まった銘柄について述べてみます。

個別物色とはいえ、業績の好調な銘柄には引き続き買いが継続しています。

8月が決算期の良品計画(74537453、第37位、3,598円→4,122円、+14.6%)は1月10日に今期の第1四半期の決算を発表して好感されました。

売上高が1,976億円(前年比+21.3%)、営業利益が219億円(同+58.2%)と好調さを維持していることから株価が大きく上昇しています。
第1四半期の日本での売上高が前年比+25.0%も伸びていること、それに加えて不安視されていた中国を含む東アジア地区の売上高も+16.3%と堅調に推移しています。

シンプルな商品戦略がいずれの国・地域でも若い世代から根強い人気を集めているようです。

映画大手の東宝(96029602、第39位、6,154円→7,007円、+13.9%)も業績の好調さが好感されました。

1月14日に発表された第3四半期の決算では、売上高が2,341億円(+15.3%)、営業利益が528億円(+26.9%)と順調に拡大しています。
公開されるたびに大ヒットとなる「名探偵コナン」シリーズの最新作が今回も大入りとなりました。

このほかにも「キングダム 大将軍の帰還」、「変な家」、「ドラえもん のび太の地球交響楽」、「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」などがいずれもヒットを飛ばしています。

消費者は従来のようなモノへの消費よりも、体験型消費(いわゆる「コト消費」)により潤沢にお金を使っていると見られます。

ベイカレント(65326532、第10位、5,320円→6,645円、+24.9%)も業績の復調ぶりが顕著です。

かつて「ベイカレント・コンサルティング」として株式市場では大きな存在感を示していました。
それが最近は成長企業につきものの、コストが急増する成長の壁に突き当たっていたように見えます。

その壁を乗り越えつつある様子が今回の決算発表で見られたように感じられます。

1月14日にリリースされた第3四半期の決算では、売上高が835億円(+23.3%)、営業利益が287億円(+18.8%)となり、2四半期続けて2ケタの利益成長を示しています。

成長のために大量採用した若手コンサルタントが研修期を脱し、いよいよ収益獲得の時期に入りつつあると見られます。

同じように、自動車業界からの設計アウトソーシングが好調な図研(69476947、第22位、4,150円→4,905円、+18.2%)、リユース商材の販売が好調なトレジャーファクトリー(30933093、第26位、1,416円→1,659円、+17.2%)、Ⅴチューバーのエニーカラー(50325032、第44位、2,816円→3,190円、+13.3%)などが、いずれも好業績、好決算を発表して株価が堅調に推移しています。

株式

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話題性で言えばフジ・メディアHD(46764676、第9位、1,732円→2,191円、+26.5%)の株価急騰です。

子会社のフジテレビに出演するタレントと女性との間で生じた一連の事案に対して、メディアの報道が過熱しています。
そこから調査のための第三者委員会の設立、スポンサー企業によるCM広告出稿の取りやめ、長寿番組の放映中止、10時間に及ぶ記者会見などが相次いで実施され、事態は国民的な関心を集めることとなりました。

その間の株価は下落するどころか、連日のように大商いのうちに急騰してゆきました。
今回の出来事をきっかけに、旧態依然とした既得権益に乗る企業のガバナンスが改善されること、もともと社内には豊富なコンテンツがライブラリーとして揃っていること、などに投資家の目が向けられています。

鉄鋼セクターは総じて動きが乏しい中にあって、トヨタグループの愛知製鋼(54825482、第5位、5,180円→6,950円、+34.2%)の株価上昇も注目されました。

トヨタ自動車(72037203)の認証不正による生産停止などを受けて、愛知製鋼も業績は厳しいのですが、財務内容は良好、配当金も連続して増配、しかもPBR(株価純資産倍率)は0.4倍台とかなり割安な状態にあります。

そこに目をつけた旧村上ファンド系の複数の投資会社が昨年から大株主として登場しました。
親会社のトヨタ自動車が救済の手を差し伸べるのか、経営改革に向けた新たな動きが出てくるのか、思惑が先行して株価の上昇が続きました。

トヨタグループとは反対に、富士通(67026702)は子会社の富士通ゼネラル(67556755、第20位、2,327円→2,757円、+18.5%)の売却に動いています。

富士通ゼネラルは、給湯器のパロマを傘下に持つパロマ・リームホールディングス(非上場)がTOBを実施して子会社化することとなりました。
富士通は本業のシステムコンサルに経営資源を集中し、空調分野の富士通ゼネラルを切り離すという道を選択しました。

物流施設に特化した不動産事業を手がけるシーアールイー(34583458、第3位、1,258円→1,706円、+35.6%)もMBOによる非上場化の道を選ぶことで株価が急騰しました。
2025年も昨年と同様に、年明け早々から資本の移動が活発に見られています。

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ここでは1月相場で値下がりの目立った銘柄、COOLな銘柄を取り上げます。


「COOLな銘柄」も業績やコンプライアンスを重視した銘柄の選別が進んでいます。
12月相場でもそうでしたが、業績が悪化した銘柄、コンプライアンス上に難点のあった銘柄の株価は極端なまでに軟調です。

ヨシムラ・フード・ホールディングス(28842884、第3位、1,364円→1,020円、▲25.2%)は後継者不足に悩む中小の食品会社を買収して経営支援を行っています。

そこで子会社化した食品会社の社長や役員らが、会社側発表よりも前にヨシムラフードの株式を購入して利益を上げたとして札幌地検に告発されました。
このインサイダー取引の発覚によって、業績好調にもかかわらずヨシムラフードの株価は急落しています。

非上場企業のM&Aを仲介するM&A総研HD(95529552、第4位、2,037円→1,563円、▲23.3%)は業績不振で下落しました。

2023年3月に持株会社に移行し、M&Aの仲介事業以外にも業容を拡大させるべく新規に子会社を3社設立したこと、さらに競争が激しくなっているM&A仲介事業において人員を増やしていることが重なって、2025年9月期の第1四半期の業績は、売上高が41.7億円(▲14.7%)、営業利益が16.8億円(▲49.8%)と大幅に落ち込みました。

同様にM&A仲介を行っているストライク(61966196、第28位、3,655円→3,175円、▲13.1%)も第1四半期の業績悪化から株価が急落しました。

ただしストライクの場合、第1四半期のうちにM&Aの契約は締結されていても、M&Aの実行は第2四半期以降にずれこんだ案件が13組も発生しています。
そのことが今回の業績不振につながったようで、翌四半期になれば解消する可能性も残していると見られます。

第一工業製薬(44614461、第5位、3,830円→2,945円、▲23.1%)は界面活性剤、電池材料、ウレタンなどを幅広く手がけています。
第3四半期の業績は売上高で542億円(+18.9%)、営業利益で38.0億円(+617.5%)と引き続き好調でした。

しかし株価は大幅に下落しています。
株価が売られる理由はさほど見当たらないのですが、強いて挙げれば今通期の業績見通しを「据え置き」」とした点が嫌気されたのではないかと考えられます。

通期の業績見通しはどの企業も慎重に見ていたはずです。
それを第3四半期が経過しても「据え置き」とするのは、業績のモメンタムが弱いととらえられた可能性があります。

同社は今期から事業領域を「電子・情報」、「環境・エネルギー」、「ライフ・ウェルネス」、「コア・マテリアル」の4分野に区分けし直し、いずれの事業領域も業績は順調に伸びています。
さらに今回策定した2030年3月期までの中期経営計画も、売上高で1,000億円、営業利益を100億円と、利益ベースでは現状の2倍増を目指す野心的な計画となっています。

あらためてこれらの中長期的な見通しを冷静に評価し直すこともあると予想されますが、現状では「今期見通しの据え置き」を表明する企業は、概して株式市場の反応はネガティブに傾きがちというマーケットの地合いです。

株式

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以上

東証プライム市場
鈴木一之

鈴木一之

株式アナリスト

1961年生。
1983年千葉大学卒、大和証券に入社。
1987年に株式トレーディング室に配属。
2000年よりインフォストックスドットコム、日本株チーフアナリスト
2007年より独立、現在に至る。

相場を景気循環論でとらえるシクリカル投資法を展開。

主な著書
「賢者に学ぶ 有望株の選び方」(2019年7月、日本経済新聞出版)
「きっちりコツコツ株で稼ぐ 中期投資のすすめ」(2013年7月、日本経済新聞出版社)

主な出演番組
「東京マーケットワイド」(東京MXテレビ、水曜日、木曜日)
「マーケット・アナライズplus+」(BS12トゥエルビ、土曜13:00~13:45)
「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI、月曜日)

公式HP
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