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ユニコーン企業とは?経済への影響は? ユニコーン企業とは?経済への影響は?

ユニコーン企業とは?経済への影響は?

ユニコーン企業とは?

近年、ユニコーン企業に関するニュースを耳にすることが多くなりました。
特にAIやフィンテック、eコマースなどの分野では、ユニコーン企業が次々と登場しています。

ユニコーン企業とは、設立から10年以内、企業評価額が10億ドル以上、未上場のスタートアップ企業を指します。「非常にまれな存在であり、急成長する可能性を秘めた企業」であることから、「ユニコーン」という神話上の生物に例えられています。

急成長の可能性を秘めた企業でも、上場したり創業11年以上経過した企業は、ユニコーンの定義からは外れます。

Facebook(現メタ)、Twitter(現X)、Airbnb、Uberなど成功を収めた企業の多くが、かつてはユニコーン企業の条件を満たしていました。今でも世界的な影響力をもつ企業として成長し続けています。

このようにユニコーン企業は、創業間もなく大きな成果をもたらす有望な企業であるため、未来の経済をけん引する存在として世界の投資家から熱い視線が向けられています。

ユニコーン企業の企業数やその評価に関するデータは、CBインサイツ、PitchBook(※)などいくつかの調査会社により公表されています。PitchBookによると、世界には2024年12月時点で1,400社以上のユニコーン企業が存在しています。

(※)両社ともユニコーン企業の情報を収集・分析して企業や投資家に提供していますが、CBインサイツは定期的なレポートを配信するのに対して、PitchBookは毎日データを更新しています。その点からも、PitchBook の方が最新の情報が反映されやすいと言えるかもしれません。

日本の代表的なユニコーン企業とは?

最近、日本のユニコーン企業として注目を集めているのは「Sakana AI」です。
2023年7月に設立された日本発のスタートアップで、設立からわずか1年で評価額が10億ドルを超え、ユニコーン企業の仲間入りを果たしました。

「Sakana AI」は、元GoogleのAI研究者であるデイビッド・ハ氏とライオン・ジョーンズ氏、そして外務省出身の伊藤錬氏によって設立されました。設立から短期間で急成長を遂げ、2024年9月には評価額が2,200億円に達したと報じられています。米国のAI関連の半導体大手NVIDIAをはじめとする多くの企業からの出資を受けており、2024年9月には三菱UFJフィナンシャルグループやNEC、KDDIなど大手企業から約300億円の資金を調達しました。
「Sakana AI」は、生成AI技術の開発を行っており、出資企業との連携を通じて、日本の産業や社会の課題解決を目指しています。

Sakana AIを含む日本のユニコーン企業8社を見てみましょう。

<日本のユニコーン企業一覧>

日本のユニコーン企業一覧

(参考)CBInsights https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies
※画像は筆者が作成

  • 株式会社Preferred Networks
    機械学習技術の開発を行い、自社開発のディープラーニングフレームワーク「Chainer」を中心に、AIシステムの構築や自動運転車などの分野で先進的な技術を提供しています。

  • スマートニュース株式会社
    ニュースアプリを提供し、政治・経済・芸能など多岐にわたるニュースをユーザーの興味に合わせて配信しています。AI技術を活用し、個人に合わせたニュース提供やフェイクニュースの検出機能も備えています。

  • Playco Japan株式会社
    世界初のインスタントプレイゲームを開発する企業です。アプリのダウンロードなしで誰でも簡単にゲームを楽しめ、「プレイを通じて世界の人々をより近づける」ことを目指しています。

  • 株式会社SmartHR
    クラウド型の人事・労務管理ソフトウェアを提供し、勤怠管理や給与計算、社員情報管理などを一元管理できるシステムを展開しています。AIによる給与計算の自動化なども行っています。

  • Spiber株式会社
    バイオテクノロジー企業で、タンパク質繊維の開発を行っています。天然素材では得られない高い強度や柔軟性を持つ繊維を製造し、衣服やスポーツ用品、自動車部品などに応用されています。社名の由来は「クモ(spider)」と「糸(fiber)」を組み合わせたもので、持続可能な素材の開発を目指しています。

  • OPN Holdings株式会社
    フィンテックソリューションを提供する企業です。オンライン決済やDXに特化しています。

  • GO株式会社
    タクシー配車アプリ「GO」を中心に、モビリティ産業の革新を目指しています。

  • Sakana AI株式会社
    AI技術を駆使したスタートアップで、自然界の原理を応用した生成AI基盤モデルを開発しています。金融、医療、製造業などのさまざまな業界において、データ分析や予測を行うサービスを提供します。

世界の代表的なユニコーン企業とは?

世界のユニコーン企業を企業評価額ベースでみてみると、ByteDance、SpaceX、OpenAI、Stripeが首位に並びます。(PitchBookのデータによる)。


  • ByteDance
    中国のByteDanceは、AIを活用したコンテンツ配信アルゴリズムにより、ユーザーの興味に応じた情報を提供することで急成長を遂げています。主に「TikTok」で知られており世界中で数億人のユーザーを抱えています。2024年12月現在の評価額は約3,000億ドルに達しており、2024年前半の約2,250億円から大きく上昇しています。

  • SpaceX
    宇宙産業に革新をもたらし、商業宇宙旅行や衛星打ち上げサービスを提供しています。イーロン・マスク氏によって設立され、再利用可能なロケット技術を開発することで、宇宙産業のコストを大幅に削減することに成功しています。2024年12月4日時点で、企業評価額は約3,500億ドルに達しました。これは、2024年前半の約2,000億ドルから大きく上昇したもので、非上場企業としては世界最高の評価額とされています。

  • OpenAI
    さまざまなAIモデルやサービスを提供しています。「ChatGPT」ではユーザーとの自然な会話を実現しています。また、画像生成AI「DALL・E」や音声認識サービス「Whisper」なども開発しており、これらの技術は多くのビジネスや個人の利用に役立っています。

  • Stripe
    Stripeは、オンライン決済処理サービスを提供する企業です。多くのスタートアップ企業がStripeのプラットフォームを利用しており、シンプルで使いやすいAPIが特徴です。Stripeは、特にeコマースの成長を支える重要な役割を果たしています。

米国には729社のユニコーン企業があり、これは世界全体の51.4%を占めています。
つづいて中国のユニコーン企業が313社で2位に位置し、その後にインド(61社)、英国(48社)、イスラエル(27社)が続いています(ユニコーン企業トラッカー」Pitch Bookより2024年12月2日時点)。

ユニコーン企業が増えている理由とは?

近年、ユニコーン企業が増えている背景としては、次のような理由が考えられます。

投資環境の整備

ベンチャーキャピタルの普及が進み、スタートアップ企業への投資が活発化しています。これにより、革新的なアイデアを持つ企業が大規模な資金調達をしやすくなり、急成長を遂げる土壌が整いつつあります。

テクノロジーの進化

AI、IoT(Internet of Things)などの技術により急速な進展がユニコーン企業の誕生を後押ししています。デジタル化が進む中では、テクノロジーを活用したサービスや製品が求められ、スタートアップが急成長する機会が増えているのでしょう。

グローバル市場の拡大

インターネットの普及により、企業はグローバルに商品やサービスを提供できるようになったことも、幅広い顧客基盤を築きやすくしています。

エコシステムの成熟

起業を支援するインキュベーター(資金提供、施設・専門知識の提供など)が成熟しており、起業家が事業を展開する環境が整っています。起業家に対して資金を提供し、事業の立ち上げやその後の成長を支援します。これがユニコーン企業の増加に寄与しています。

政府の支援

米国や中国では、政府の政策がスタートアップの成長をサポートしています。 補助金や法規制の緩和など、政府による支援策が起業家を後押しし、ユニコーン企業の育成を促進しています。

なぜ日本にはユニコーン企業は少ないの?

日本もユニコーン企業を創出していますが、そのスピードや規模は米国や中国には遠く及びません。

<ユニコーン企業 国際比較>

(単位:億ドル)
ユニコーン企業 国際比較

(出所)CB Insights 2024年5月、経済産業省「スタートアップ政策について」より
※画像は筆者が作成

その理由としては、以下のような環境が影響していると考えられます。

起業文化の違い

安定志向が強い日本では、起業家が育ちにくい環境があります。多くの若者は大手企業に就職することを選好し、起業を目指す人が少なくスタートアップが限られています。

資金調達の難しさ

日本では、ベンチャーキャピタルからの投資が米国や中国に比べて少ない状況です。 未上場企業への資金調達が難しいため、スタートアップが成長するための資金が不足しています。

政府の支援不足

日本では、政府によるスタートアップ支援が米国や中国に比べると十分とはいえず、その効果も限られています。このため、起業家が必要なリソースを得るのが難しい状況です。 必要なリソースとは、適切なスキルや経験を持った人材・ネットワーク、資金調達の方法、知識とノウハウの提供、さらにはメンターシップなどが含まれます。これらの支援が不足しているため、起業家は成長の機会を逃しやすくなっています。

2022年11月、日本政府は「スタートアップ育成5か年計画」を宣言し、将来的にユニコーン企業を100社、スタートアップを10万社創出するという目標を掲げました。この計画により、政府や民間の取組みが進むことで、起業を後押しする環境が整備され、ユニコーン企業の増加が期待されています。

スタートアップの増加とユニコーン企業の成長は、経済全体にポジティブな影響をもたらします。これにより、投資が呼び込まれ、資金の流入が新たなビジネスの創出を促進します。さらに、雇用の創出やイノベーションの推進、消費者の需要の増加といった好循環が生まれることで、日本の持続可能な経済発展が大いに期待されます。

執筆者:村松祐子

村松祐子


ファイナンシャルプランナー(CFP®  1級FP技能士)。金融・証券インストラクター。 1987年より、大手証券会社において外国株式の東京証券取引所上場に際し、販売促進に携わる。資料作成、および、顧客向け株式セミナー、社内勉強会の運営に従事。1990年より富裕層向け資産運用コンサルティングに従事したのち、 株式調査部に転籍、経済・株式の調査を経験、機関投資家向け週間マーケットレポートの作成に携わる。資産運用の相談、経済・市場調査の経験を踏まえ、それらを総括したサービスを提供するFPへ転身。現在、資産運用・株式投資の個人レクチャー、セミナーのほか、ライフ&マネープラン相談を実施している。一人ひとりに合った資産形成の提案には定評があり、自立した個人投資家の育成にも力を入れている。『FPコスモス』代表。htps://www.fp-cosmos.com/

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