注目度が増す「PFAS」関連銘柄をピックアップ! 注目度が増す「PFAS」関連銘柄をピックアップ!

注目度が増す「PFAS」関連銘柄をピックアップ!

人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」と呼ばれる化学物質に警戒感が高まっています。
PFASとは炭素とフッ素が結びついた「有機フッ素化合物」の総称です。
人工的に作られた多数の種類があり、物質数は4,730種で、定義によってはさらに多いともいわれます。
PFASのうち、有害性が高いのが「PFOS(ピーフォス)」、「PFOA(ピーフォア)」で、最近では「PFHxS」などほかの物質でも健康影響が報告されているということです。

PFASはフライパンのコーティングや衣類の防水加工、ハンバーガーの包装紙、消化器の泡など様々な用途に活用されています。
水や油を弾き、熱にも強いなどの特性を有する便利な物質ですが、一方で自然界では分解されにくく、蓄積しやすいという特色があります。
特に水を通して世界中に広がっており、人間など生物の体に蓄積されます。
分解されにくいことで「永遠の化学物質」との異名があります。
国際がん研究機関(IARC)は2023年に、PFOAに「発がん性がある」、PFOSについては「発がん性がある可能性がある」との見方を示しました。
またPFASは全国各地の水道や河川、井戸水などから検出されている、とのことです。
(2023年12月5日、有害性指摘のPFAS 一部物質について発がん性評価引き上げ WHO:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231205/k10014277891000.html

米国においては今年の4月10日、含有基準を定めている米環境保護局がPFASの飲料水における基準を決めました。
米連邦政府がPFASで強制力のある基準を定めるのは初めてで、特にPFASの中でも毒性の強いPFOSとPFOAの基準値を、1リットル当たり4ナノ(ナノは10億分の1)グラムとしています。

欧州でも2023年2月に、欧州の化学物質規制であるREACH規制において、欧州5カ国(デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン)から共同で欧州化学品庁に提出され、2月に公表しました。
PFASに関連する規制は早ければ2025年中に発効する可能性があるとされています。
日本では2020年4月から水道水において、PFOSとPFOA2物質の合計で50ナノグラムという目標値(暫定)が定められています。
環境省は8月1日に、地下水に残ったPFASを取り除く実証実験の結果を初めて示しました。
汲み上げた地下水を粉末の活性炭フィルターに通して、PFAS除去する実験では処理後に検出できないまでに除去できた一方、実用化には費用面での課題が浮き彫りになったそうです。
水1立方メートルあたり、13.7円かかったとのことです。

関連銘柄をピックアップします。

クラレ(3405)クラレ(3405)

2018年に活性炭世界首位の米カルゴン・カーボン社を買収。
2024年6月にPFASの除去に有効とされる活性炭事業について経営説明会を開催。
同社が手掛けている粒状活性炭が、イオン交換樹脂やRO膜よりも持続可能で、費用対効果の高いPFAS分解方法である点などを発表した。
また、米国での飲料水のPFAS処理市場規模は、2030年には年間10億~20億ドル(1,500憶円~3,000億円)になると推定。
このうち活性炭が市場の75%を占めると想定している。
同社ではこのうち半分以上を取り込めると見込む。

クラレ(3405)

auカブコム証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2024年8月19日まで
EVERチャートを開く

島津製作所(7701)島津製作所(7701)

分析・計測機器大手。
水道水中のPFOS、PFOAの分析を行う質量分析計や、地表水に含まれるPFASのスクリーニング分析などと手掛けている。
決算説明資料ではEPA(米環境保護庁)に沿った分析を提案。
受託分析会社や水道局、アカデミアにLCMS(分析計)を販売。シェアは10%としている。

島津製作所(7701)

auカブコム証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2024年8月19日まで
EVERチャートを開く

クレハ(4023)クレハ(4023)

樹脂製品などに展開。
2024年5月にPFASを無害化する技術を持つ米スタートアップのクラロス・テクノロジーズに出資すると発表。
光反応を利用し、工場の生産工程で排出される産業廃水などに溶け込んでいる幅広い種類の低分子PFASを、無機フッ素や二酸化炭素などの安全な物質まで分解する完全無害化プロセスを開発している。

クレハ(4023)

auカブコム証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2024年8月19日まで
EVERチャートを開く

能美防災(6744)能美防災(6744)

火災報知器、消火設備などの防災機器大手。
2024年2月にPFASを含んでいない環境配慮型の泡消火薬剤を開発したと発表している。
高発泡消火設備「Perf-Ex(パーフェックス)」用として開発。
従来はPFAS含有の水成膜泡消火薬剤を用いなければ、高温・高煙濃度である火災環境下で十分な発泡性能や消火性能を確保できなかった。
成分の全面見直しでPFAS非含有でありながら高い発泡性能や消火性能を持たせることに成功したとしている。

能美防災(6744)

auカブコム証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2024年8月19日まで
EVERチャートを開く

室町ケミカル(4885)室町ケミカル(4885)

医薬品原薬の製造・販売。液体処理用のイオン交換樹脂にも展開。
PFAS除去用吸着剤に展開、PFAS除去用のイオン交換樹脂を開発中。
東京学芸大学と共同研究契約を締結。
同社の技術を用いてPFAS分析技術を確立へ。

室町ケミカル(4885)

auカブコム証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2024年8月19日まで
EVERチャートを開く

和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

最短10分で申込み完了!
無料口座開設はこちら

ページの先頭へ戻る